世界初の洋上用CO2回収装置検証プロジェクトで排ガスからのCO2分離・回収に成功
PR TIMES / 2021年10月20日 19時15分
三菱造船、回収CO2純度99.9%以上と計画通りの性能を達成
◆ 8月から三菱造船の技師が乗船し実証試験を開始、現在は装置搭載船乗組員によるCO2回収装置の運転を継続中
◆ 三菱造船・川崎汽船・日本海事協会による、国交省の海洋資源開発関連技術高度化研究開発事業の対象プロジェクト
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三菱重工グループの三菱造船株式会社(社長:北村 徹、本社:横浜市西区)は、川崎汽船株式会社(以下、川崎汽船)ならびに一般財団法人日本海事協会と共同で進める洋上用CO2回収装置の検証プロジェクト“CC-Ocean(Carbon Capture on the Ocean project)”(注1)において、実船搭載したCO2回収小型デモプラントにて船舶エンジンより排出される排ガスからCO2を分離・回収した結果、回収CO2純度(注2)が99.9%以上と計画通りの性能を達成しました。
本プロジェクトは川崎汽船運航の東北電力株式会社向け石炭運搬船“CORONA UTILITY”(以下、本船)にて実施されており、得られたデータは洋上用CO2回収装置の実用化に向けたベンチマークとなります。今回搭載したCO2回収小型デモプラントは陸上プラント用装置を洋上用に転用したもので、計画通りのCO2回収率を洋上で得られたことから、舶用システムとしての実用化の可能性が高まりました。
8月上旬にCO2回収小型デモプラントを本船に搭載後、三菱造船の技師が乗船し同プラントの運転、メンテナンス、本船乗組員への操作指導に加え、排ガスおよび分離・回収したCO2の計測・分析、評価などを行いました。9月中旬から2021 年度末までは、一般乗組員が商用運航中にCO2回収を行う世界初の試みとして、本船乗組員が同プラントの運転、計測などを引き続き実施しています。三菱造船は、上記の実証試験で得られた知見を基に装置の安全性や操作性を検証し、今後の商用実機の開発に活用していきます。
三菱重工グループはエナジートランジション(低環境負荷エネルギーへの転換)に取り組んでおり、CO2エコシステムの構築はその中の柱の一つです。CO2を回収して貯留や転換利用するCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)は、カーボンニュートラル社会を実現するための有効な手段です。三菱造船では、パリ協定の発効により世界的に脱炭素化への意識が高まる中、船舶のみならず洋上設備からの温室効果ガス(GHG)排出削減についても継続して取り組むことで、世界規模でのカーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。
(注1)本プロジェクトは、国土交通省海事局の補助事業である「海洋資源開発関連技術高度化研究開発事業」の支援を受けて実施しています。
(注2)CO2回収装置で回収されたCO2の純度を指します。陸上プラントでは回収CO2純度が99.9%以上である場合、回収したCO2は肥料・メタノール増産といった化学用途、冷却用ドライアイスなどの一般用途、原油増産を目的としたEOR(Enhanced Oil Recovery)用途など多岐にわたって活用されています。
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