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老化角質が生きている表皮細胞に与える悪影響を発見

PR TIMES / 2023年9月10日 23時40分

化粧品技術の最も権威ある国際学会IFSCC Congress 2023 Barcelonaで発表。バリア機能の低下と肌の老化を促進する可能性。

株式会社ナリス化粧品(代表者:村岡弘義 本社:大阪市福島区)は、9月4日から7日にスペインのバルセロナで開催された化粧品の国際学会、IFSCC Congress 2023 Barcelonaにおいて、古い老化角質が過剰に存在すると、角層の下の生きている細胞に与える影響として、バリア機能の低下と肌の老化を促進する可能性が高いことを突き止め、研究内容を発表しましたので、以下にその内容をまとめます。IFSCC Congressは、世界中の化粧品技術者が一堂に会し、最新研究結果を発表・討論する国際的な学術大会です。



■研究の背景
当社は、1937年に「ふきとり化粧水」を発売以降、86年にわたり角層研究を行っています。当社ではこれまでの研究で、古い老化角質を取り除くことによって、肌のターンオーバーが促進することや、経皮吸収性が向上すること、またくすみやざらつきの解消、ニキビやシワの予防といった肌表面に現れる物理的作用について解明してきましたが、肌の内側に影響を及ぼす生理作用についての研究はほとんどありませんでした。今回の研究により、死んだ細胞の集まりである老化角質が、その下の生きている表皮細胞への影響を解明することで、肌を健康に保つ基本であるターンオーバーのメカニズムの本質に迫ることができると考えました。

[画像1: https://prtimes.jp/i/25614/293/resize/d25614-293-0781d4f06f7e2769eeb3-5.png ]



■研究内容
疑似的に古い老化角質が溜まった状態の肌をつくるため、表皮の3 次元皮膚モデルにヒトから採取した角層を添加し、添加していないものと比較して網羅的解析(トランスクリプトーム解析)を行いました。その結果、角層を添加することで特に角層の形成と細胞死に変化が起きていることが分かりました。

実際に角層を添加してから3 日目の状態を見てみると、角層を添加した皮膚モデルは、添加していない皮膚モデルよりも細胞の生存率が約 20%低下していました。さらに、角層を添加していない皮膚モデルの断面図では、皮膚モデルの角層がきれいに積み重なって層状に育っていた半面、角層を添加した皮膚モデルの断面図では、角層が厚くなり内側の層で多くの隙間ができていました。併せて、角層を添加した皮膚モデルでは水分の蒸散率が約20%高くなっていました。

[画像2: https://prtimes.jp/i/25614/293/resize/d25614-293-67433e452317573582dd-0.jpg ]


[画像3: https://prtimes.jp/i/25614/293/resize/d25614-293-60fae3d41404ef41ee0f-1.jpg ]


次に細胞のターンオーバーの鍵となる接着因子に着目しました。接着因子は、表皮で細胞同士をつなぎ止める役割を果たし、角層で接着を弱めることで老化角質が緩やかに剥がれ、ターンオーバーが進みますが、角層を添加した皮膚モデルでは、角層の下の表皮で接着因子が少なくなっていました。以上のことから、バリア機能が低下していることがわかりました。
[画像4: https://prtimes.jp/i/25614/293/resize/d25614-293-2ea25a912a99e3ef8104-2.jpg ]


最後に細胞死に関連する因子について確認しました。角層を添加することにより、鉄イオンが細胞内で増大していたこと、活性酸素量の増加・過酸化脂質の増加、活性酸素消去物質の元となる物質の減少、といった現象が明らかとなりました。これらのことを総合的に考えると、皮膚で発生しているという報告がなかった「フェロトーシス」※1という細胞死が発生していることが示唆されました。以上の事実から、老化角質は、角層を脆弱化することでバリア機能を低下させ、酸化ストレスによる細胞死が肌の老化を進めている可能性が高いことを突き止めました。
※1 細胞内の鉄イオンを触媒として活性酸素が発生し、過酸化脂質が蓄積することで細胞が死に至る細胞死。

[画像5: https://prtimes.jp/i/25614/293/resize/d25614-293-580be5b58604738598bc-3.jpg ]




■発表タイトル:A new functional aspect of the stratum corneum: Its debilitating effect on living epidermal cells 
和文: 角層の新たな機能的側面:生きた表皮細胞に対する衰弱作用
■発表者:株式会社ナリス化粧品  森田哲史


研究者プロフィール
[画像6: https://prtimes.jp/i/25614/293/resize/d25614-293-40929d603b9ad79ac9a1-4.jpg ]

森田 哲史 (もりた さとし)
株式会社ナリス化粧品 
研究開発部 研究開発課 基盤技術研究グループ 

― 略歴 ―
2000年 京都府立大学大学院 農学研究科 修了。
株式会社ナリス化粧品に入社。
化粧品開発に4年、OEM営業に0.5年、研究業務に19年

化粧品開発では、訪問販売主体の会社にしては、店頭販売商品、OEM商品に関わり、OEM営業や研究部門の管理業務にも携わるなど異色の経歴を持つ。近年は研究業務に携わり、『好奇心と興味を持って楽しむ』をモットーに、皮膚生理・皮膚科学の研究から原料開発まで幅広く業務に従事している。

― 過去の研究例 ―
● LED光が皮膚に与える影響の検討 (2006年5月 研究皮膚科学会)
●The Prunus lannesiana Flower Extract Up-regurates the Expression of Genes Related to Cell Proliferation, and Improves Aging Skin. (2006年10月 IFCSS 2006 大阪大会)
● Curcuma zedoaria Extract Inhibits Melanin Biosynthesis Induced by Activation of c-kit. (2006年10月 IFCSS 2006 大阪大会)
● シマホオズキ果実抽出物のシワ改善作用 (2012年3月 農芸化学会)
● ショウガ科Curcuma Zedoaria塊根抽出物のメラニン産生抑制活性に関する研究 (2012年9月 生薬学会)
● 共焦点レーザー顕微鏡により観察された真皮乳頭突起構造と皮膚性状の相関解析 (2014年7月 美容皮膚科学会)
● 皮膚の加齢変化に対する真皮乳頭突起形状の関与 (2016年7月 加齢皮膚医学研究会)
● Protein modification leading to serious skin desquamation loss (2020年10月 IFSCC2020 横浜大会 )

【研究者コメント】
これまでの研究では、角層ケアをすることによって肌に起こる良い現象について研究することが多かったのですが、今回は逆の発想で、角層ケアをしない肌はどうなるのか、という着眼点で研究を進め新たな知見を得ました。角層ケアをする人は増えている傾向にありますが、まだまだ角層のメンテナンスをすることの重要性が広く理解されているとは言い難い状況です。この研究が、少しでも角層ケアへの理解を深められるきっかけとなればうれしいです。


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