「権力」と「メディア」その癒着の原点は「戦時統制」にあった!!『言論統制というビジネス―新聞社史から消された「戦争」―』本日発売
PR TIMES / 2021年8月25日 14時45分
新たに発掘された「戦争の視点」
株式会社新潮社は8月25日、『言論統制というビジネス 新聞社史から消された「戦争」』(新潮選書)を刊行いたします。
[画像1: https://prtimes.jp/i/47877/308/resize/d47877-308-8bf3fd0c4c07bbff69e9-0.jpg ]
第二次大戦後、新聞社はこぞって言い始めた。
「軍部の弾圧でペンを曲げざるを得なかった」と――。
しかし、それは真実か?
当局に迎合するだけの「記者クラブ」を作り、
政府の統制組織に人を送り込み、自由な報道を自ら制限した新聞社。
「報道報国」の名の下、「思想戦戦士」を自称しつつ、
利益と特権を追い求めたメディアの空白史を検証する。
〈本書の読みどころ〉
現代も生き続ける「情報統制」の遺物――〈記者クラブ〉
諸外国のメディアからしばしば「奇異な存在」として指摘される日本の「記者クラブ」制度。
諸官庁の一隅に設けられたその施設は、当局に認められたメディアのみが利用を許され、そこでは居ながらにして、最低限の情報を得ることができる。日々の紙面、放送時間を埋めるためには必要不可欠なものとされるが、果たしてそれをジャーナリズムと呼ぶことができるのか?
この「便利な仕組み」は、日露戦争の陸軍で確立されたが、まだこの頃は反骨の記者たちが入り込むことが出来た。しかし第二次大戦下、ついには当局が認める新聞社、記者のみに限定されるようになり、以来、現在に至るまで・・・。
週刊誌報道の後追いばかりの昨今の大メディアの体たらくの源流はこんなところにあった!
日本からすべての新聞が消えかけた!?
かつて日本には1万以上の新聞社があった。だが、大戦中、紙やインクの不足、さらには情報統制のために、軍部から新聞社の統合案が浮上した。究極の目標は「すべてを一社にまとめろ!」だ。
もちろん、すでに全国シェアを誇っていた朝日、毎日、読売の全国紙は抵抗。ただ一方で、全国紙は地方紙の吸収、統合には余念がなかった。このままではすべての地方紙がなくなってしまう!
そこで動いたのが本書の主人公の一人である同盟通信社社長の古野伊之助。古野は当局に食い込みながら、各県に一紙のみは残すべきだと暗闘し・・・現在の「一県一紙」の体制が出来上がった。
なぜ戦争で新聞は儲かるのか?
ネットメディア、テレビはもちろんのこと、ラジオも一局のみだった戦時中、新聞がメディアの中心だった。だから、戦地に行った父、兄弟、息子たちのことが気になれば、新聞や、新聞社が現地で撮ってきた写真、映像を見るしかない。戦況に一喜一憂しながらも、戦勝報道を見れば、当然のことながら嬉しくなるし、その新聞を購読するようになってしまう。 戦争は新聞社にとって一大ビジネスチャンスだったのだ。
読者に募金を呼びかけ、そのお金で軍へ戦闘機を献納した新聞各社の仁義なき「販売合戦」の実像。
反戦、反権力なんて言っていては商売にならないメディアの実態は、現代を彷彿させるか!?
[画像2: https://prtimes.jp/i/47877/308/resize/d47877-308-8f46b9447d0ec67d734e-1.jpg ]
■著者紹介・里見脩(さとみ・しゅう)
1948年、福島県生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得満期退学。博士(社会情報学)。
時事通信社記者、四天王寺大学教授、大妻女子大学教授を経て、現在は大妻女子大学人間生活文化研究所特別研究員。主な著作に『新聞統合 戦時期におけるメディアと国家』(勁草書房)、『ニュース・エージェンシー 同盟通信社の興亡』(中公新書)、『岩波講座「帝国」日本の学知』第4巻(共著、岩波書店)、『メディア史を学ぶ人のために』(共著、世界思想社)など。
【タイトル】言論統制というビジネス―新聞社史から消された「戦争」―
【著者名】里見 脩
【発売日】2021年8月25日
【造本】選書判(288ページ)
【本体定価】1,705円(税込)
【ISBN】978-4-10-603871-6
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/603871/
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