2021年上半期の倒産件数、3083件 半期ベースで2000年以降最少
PR TIMES / 2021年7月9日 12時15分
負債総額は6280億7600万円、上半期で4年連続の減少
帝国データバンクは、2021年上半期における負債1000万円以上の法的整理について集計を行った。
<主要ポイント>
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2021年上半期の倒産件数は3083件と、前年同期を大きく下回り半期ベースで過去最少
2021年上半期の負債総額は6280億7600万円と、上半期としては4年連続の前年同期比減少
負債額最大の倒産は、(株)東京商事(東京都、特別清算、5月)の約1004億円8300万円
業種別にみると、7業種中5業種で前年同期を下回った。なかでも建設業(530件、前年同期比16.4%減)、製造業(324件、同25.0%減)、卸売業(397件、同31.0%減)は、半期ベースで過去最少となった
主因別の内訳をみると、「不況型倒産」の合計は2341件(前年同期比26.2%減)、構成比は75.9%(同4.5ポイント減)を占める
負債規模別にみると、負債5000万円未満の倒産は1894件(前年同期比21.2%減)、構成比61.4%を占める
地域別にみると、全地域で前年同期比2ケタの大幅減少。上半期の全地域減少は、2010年上半期以来11年ぶり。また、近畿(776件、同23.6%減)、東北(106件、同48.5%減)、九州(228件、同32.1%減)の3地域にて半期ベースで過去最少を更新
態様別にみると、会社更生法は2件、破産は2806件、民事再生法は107件となった。特別清算は168件で唯一の増加、構成比は5.4%で過去最高
「人手不足倒産」は50件(前年同期比41.2%減)発生、2年連続の前年同期比減少
「後継者難倒産」は239件(前年同期比0.4%増)発生、4年連続の前年同期比増加
「返済猶予後倒産」は209件(前年同期比19.9%減)発生、3年ぶりの前年同期比減少
調査結果
■件数:半期ベースで過去最少
2021年上半期の倒産件数は3083件(前年同期3943件)。官民による企業支援策が倒産発生抑制に大きく寄与し、前年同期を大きく下回り半期ベースで2000年以降最少となった。
四半期別では、第1四半期は前年同期から23.7%減、第2四半期も19.7%減となり、ともに大幅な減少幅を記録した。なお、上場企業の倒産は発生しなかった。
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■負債総額:上半期としては4年連続の前年同期比減少
2021年上半期の負債総額は6280億7600万円(前年同期6316億7900万円、前年同期比0.6%減)と、上半期としては4年連続の減少となった。
四半期別では、第1四半期は前年同期比13.4%の増加に転じるも、第2四半期は同11.1%の減少となった。負債額最大の倒産は、観光地などでホテル・レジャー施設を運営していた(株)東京商事(東京都、特別清算、5月)の約1004億円8300万円となり、令和最大の倒産となった。
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■業種別:7業種中5業種で前年同期比減、うち3業種は過去最少
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業種別にみると、7業種中5業種で前年同期を下回った。なかでも建設業(530件、前年同期比16.4%減)、製造業(324件、同25.0%減)、卸売業(397件、同31.0%減)は、半期ベースで過去最少となった。また、サービス業(709件、同24.0%減)では、前年同期から大幅な反動減となった宿泊業(36件、前年同期80件)などが件数を押し下げた。
一方、運輸・通信業、不動産業の2業種では前年同期を上回った。
■主因別:「不況型倒産」の構成比75.9%
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主因別の内訳をみると、「不況型倒産」の合計は2341件(前年同期比26.2%減)となった。構成比は75.9%(同4.5ポイント減)を占めた。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計
■規模別:負債5000万円未満の構成比61.4%、小規模倒産が多くを占める
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負債額別にみると、負債5000万円未満の倒産は1894件(前年同期比21.2%減)となった。負債5000万円未満の倒産を業種別に見ると、サービス業(509件)が構成比26.9%(同1.0ポイント増)を占め最多、小売業(502件)が同26.5%(同1.7ポイント減)で続く。
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資本金規模別では、資本金1000万円未満(個人事業主含む)の倒産は2078件(前年同期比21.9%減)、構成比は67.4%(同0.1ポイント減)を占めた。
■地域別:全9地域で大幅減少、3地域は過去最少
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地域別にみると、全地域で前年同期比2ケタの大幅減少となった。上半期における全地域減少は、2010年上半期以来11年ぶり。関東(1165件、前年同期比10.9%減)は卸売業を中心に減少。東京都は初の600件割れとなった。近畿(776件、同23.6%減)は、過去最少だった2000年上半期(874件)を大幅に下回った。全府県でも減少し、このうち大阪府(431件)と京都府(94件)はともに過去最少。ほか、東北(106件、同48.5%減)、九州(228件、同32.1%減)も半期ベースで過去最少を記録するなど、3地域が過去最少を更新した。
■態様別:「特別清算」は168件で唯一増加、構成比は5.4%で過去最高
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態様別にみると、会社更生法は2件、破産は2806件(構成比91.0%)、民事再生法は107件(同3.5%)となった。特別清算は168件(同5.4%)で唯一の前年同期比増加、構成比も過去最高。
■特殊要因倒産
人手不足倒産:2021年上半期は50件(前年同期比41.2%減)、2年連続の前年同期比減少
[画像11: https://prtimes.jp/i/43465/315/resize/d43465-315-e008f13bc14219f123b9-9.jpg ]
後継者難倒産:2021年上半期は239件(前年同期比0.4%増)、4年連続の前年同期比増加
[画像12: https://prtimes.jp/i/43465/315/resize/d43465-315-42134fdd36d617945270-10.jpg ]
返済猶予後倒産:2021年上半期は209件(前年同期比19.9%減)、3年ぶりの前年同期比減少
[画像13: https://prtimes.jp/i/43465/315/resize/d43465-315-1de0821d3b7d216175cf-11.jpg ]
今後の見通し
■2021年上半期の倒産 件数は過去最少、負債は低水準ながら大型倒産は増加に転じる
2021年上半期(1~6月)の倒産件数(3083件、前年同期比21.8%減)は4年連続で前年同期から減少し、半期ベースで過去最少となった。業種別では、7業種中5業種が前年同期を大きく下回った。民間金融機関の受付は今年3月末に終了したものの、実質無利子・無担保の特別融資、いわゆる「ゼロゼロ融資」をはじめ、コロナ対応の補助金など各種資金繰り支援の効果は持続している。実際、飲食店(301件、前年同期比24.4%減)や宿泊業(36件、同55.0%減)の倒産件数は、コロナ禍の人流減少でマイナス影響が続いた2021年上半期で減少傾向となった。一方、不動産業(137件、同26.9%増)は、コロナ禍の人流減少がテナント撤退を招き、影響を受けた不動産賃貸・管理業態を中心に大幅に上回り、運輸・通信業(143件、同8.3%増)も観光バス業態や軽貨物運送などで増加傾向となった。
負債総額(6280億7600万円、前年同期比0.6%減)は4年連続で前年同期を下回り、上半期としては過去最小。また半期ベースでは2020年下半期に次いで過去2番目の低水準となった。負債規模別では、負債5億円以上10億円未満の倒産(93件、同32.1%減)の減少幅が特に大きく、この中堅規模レンジを中心に官民をあげたコロナ対応の各種資金繰り支援策が奏功した。一方、負債100億円以上(6件)は前年同期(5件)を上回り、大型倒産は増加に転じた。
■事業再構築の手段として活用増える特別清算、構成比は過去最高に
法的整理の態様に目を向けると、「特別清算」の活用が顕著になっている。2021年上半期の特別清算(168件)は前年同期から28.2%増加、全体に占める構成比(5.4%)は半期としては過去最高を記録した。グループ企業の再編に加え、過去の設備投資の失敗など過剰債務を抱えた企業が収益性の高い事業を第二会社に移管して事業再構築を図る場面で、特別清算は活用される。実際、2021年上半期においても外部企業とスポンサー契約を締結し、こうした再建スキームに基づき会社分割で設立された新会社に事業移管し再構築する事例が、製造業や卸売業を中心に散見された。今後も収益力のある製造部門や販路を生かした事業再構築の手段として、特別清算が存在感を増す可能性が高い。
他方、民事再生法(107件、前年同期比26.2%減)に基づく事業再生は大きく減少し、上半期としては過去最少となった。事業再生ADRなど私的整理による事業再生の利便性拡大のほか、法的整理でも再生の簡易化に向けた法整備が検討されており、動向が注目される。
■課題となる「過剰債務」解消、原材料価格高騰の影響にも注目
コロナ禍のなかで生じた企業の過剰債務などの課題解決やコロナ後を見据えた施策展開が急務となるなか、成長分野の拡大や生産性向上を目指す「成長戦略実行計画」が6月に閣議決定された。今後、スピード感をともなう施策展開の可否が注目される。
他方、足もとでは6月下旬から新型コロナ感染再拡大の様相を呈し、人流抑制など感染防止策の発出状況によっては、夏季に繁忙期を迎える対面型業態を中心にマイナス影響が懸念される。さらに、木材・燃料をはじめとする原材料価格の高騰、半導体不足の深刻化などを背景に、企業の6月の仕入れ単価DIは61.1(TDB景気動向調査)と13カ月連続で上昇。2018年10月(61.3)以来2年8カ月ぶりの高水準となった。
一方で、多くの企業は販売単価への転嫁が難航している状況にあり、今後の収益性や資金繰りへ与える影響に注目したい。 長期化するコロナ禍にこうしたマイナス要素も流入するなか、過剰債務を抱えたまま売り上げが回復しない企業の息切れ型の経営破たん、あるいは私的整理による事業再生が難航した末の法的整理の増加で、年末に向けて倒産件数が上昇局面に転じる可能性は否定できない。
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