感染者数の急増で景気に急ブレーキ ― 2021年8月調査
PR TIMES / 2021年9月3日 17時15分
豪雨や長雨の影響も下押し圧力、個人消費関連の落ち込み大きく
株式会社帝国データバンクは、全国2万4,458社を対象に2021年8月の国内景気動向を調査・集計し、景気DIとして発表いたしました。
<調査結果のポイント>
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2021年8月の景気DIは前月比1.5ポイント減の39.2となり、3カ月ぶりに悪化した。国内景気は、感染者数急増に記録的大雨の影響も加わり、一時的な足踏み状態となった。今後は、緊急事態宣言等で一時停滞するものの、緩やかな回復が続くと見込まれる。
全10業界中、『その他』を除く9業界が悪化。緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の影響や、各地で悪天候が続いたことで、特に個人消費関連の業種が大きく落ち込んだ。また、自動車工場で減産や稼働停止がみられるなか、『製造』も3カ月ぶりに悪化した。
全10地域が3カ月ぶりにそろって悪化した。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が33都道府県に拡大・延長されたなか、40都道府県で悪化。人の動きが再び抑制され、個人消費関連の落ち込みが目立った。規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」すべてが3カ月ぶりにそろって悪化した。
2021年8月の動向 : 一時的に足踏み
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2021年8月の景気DIは前月比1.5ポイント減の39.2となり、3カ月ぶりに悪化した。
8月の国内景気は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置について33都道府県への拡大や延長が実施されたことに加え、豪雨・長雨による影響も下押しした。人流抑制策が強化されるなかで、小売業や個人向けサービス業などの個人消費関連が再び大きく落ち込んだ。さらに金属や木材、半導体などの材料不足や価格高騰は、企業の収益環境を悪化させる要因となった。他方で、ワクチン接種の普及が進むなか、海外経済の回復にともなう輸出の増加や好調な半導体関連、郊外での住宅購入の活発化などはプラス要因となった。
国内景気は、感染者数急増に記録的大雨の影響も加わり、一時的な足踏み状態となった。
今後の見通し : 一時停滞ののち緩やかに回復
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今後の国内景気は、新型コロナウイルス変異株の動向が最大の懸念材料となろう。海外でも感染が再拡大しており、再び輸出が減少に転じることになれば大きな下押し圧力になる可能性もある。また、原材料など仕入価格の上昇や半導体不足に加えて、政局の動向や中東情勢など地政学的リスクも注視する必要がある。特に企業の業績回復に対する二極化傾向の広がりはマイナス要因となりうる。他方で、ワクチン接種の普及とともに経済活動は緩やかに正常化に向かうとみられる。設備投資の増加傾向のほか、5Gの本格的普及や自宅内消費の拡大、海外経済の回復、SDGsに対応した投融資などはプラス材料となろう。
今後は、緊急事態宣言等で一時停滞するものの、緩やかな回復が続くと見込まれる。
業界別:全10業界中9業界が悪化、特に個人消費関連の業種で大幅減に
全10業界中、『その他』を除く9業界が悪化。緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の影響や、各地で悪天候が続いたことで、特に個人消費関連の業種が大きく落ち込んだ。また、自動車工場で減産や稼働停止がみられるなか、『製造』も3カ月ぶりに悪化した。
『小売』(32.7):前月比2.7ポイント減。3カ月ぶりに悪化し、景気DIは全10業界で最も低い水準となった。各地で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出される一方、記録的な大雨の影響も重なった。そうしたなか、百貨店やコンビニエンスストアが含まれる「各種商品小売」(同8.3ポイント減)やアパレルなどの「繊維・繊維製品・服飾品小売」(同3.6ポイント減)などが大きく落ち込んだ。また、半導体不足の影響で商品の供給面に制約がみられる「自動車・同部品小売」(同3.7ポイント減)や「家電・情報機器小売」(同3.9ポイント減)も悪化した。
『サービス』(39.1):同2.4ポイント減。3カ月ぶりに悪化し、景気DIは再び40を下回った。多くの地域で緊急事態宣言などの人流抑制策が発出されるなか、「飲食店」(同4.9ポイント減)、「旅館・ホテル」(同3.0ポイント減)、「娯楽サービス」(同5.6ポイント減)といった個人消費関連の景況感が再び悪化。特に、「飲食店」「旅館・ホテル」は10台と厳しい水準が継続している。また、イベントや展示会の中止による影響が続く「広告関連」(同0.7ポイント減)や、宿泊業・飲食サービス向けなどの新規求人数が落ち込んでいる「人材派遣・紹介」(同3.5ポイント減)なども悪化した。
『製造』(41.5):同1.2ポイント減。3カ月ぶりに悪化。金属や木材、半導体などの材料不足、価格高騰が続き、『製造』の仕入単価DIは65.3(同0.3ポイント増)と12カ月連続で上昇。他方で、『製造』の生産・出荷量DIは51.1(同2.7ポイント減)と7カ月ぶりに低下した。そうしたなか、自動車メーカーの減産の影響を受け「輸送用機械・器具製造」(同2.4ポイント減)や、外食向けや酒類が厳しい「飲食料品・飼料製造」(同2.7ポイント減)が大きく悪化した。一方、半導体製造装置などが含まれる「機械製造」(同0.7ポイント増)は14カ月連続の改善。また、医療用機械器具などが好調な「精密機械、医療機械・器具製造」(同0.4ポイント増)も50を上回る水準を維持した。
『農・林・水産』(37.0):同1.5ポイント減。2カ月連続で悪化。『農・林・水産』の販売単価DIは53.9(同2.6ポイント増)と大きく上昇。記録的な大雨の影響で野菜の供給不足や価格高騰が悪材料となった。また、対象地域が拡大された緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の影響で飲食店向けの需要がより落ち込み、畜産も悪化した。他方、輸入木材の不足が続き国産木材の需要が高まるなか、森林組合は高水準を維持した。
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