2021年7月の倒産件数、449件、8月としては過去最少 ― 全国企業倒産集計
PR TIMES / 2021年9月8日 20時15分
負債総額は946億2100万円、3カ月ぶりの前年同月比増加
帝国データバンクは、2021年8月における負債1000万円以上の法的整理について集計を行った。
<主要ポイント>
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倒産件数は449件(前年同月比31.5%減)と、2000年以降8月としては過去最少。また、3カ月連続で月別の過去最少件数となり、資金繰り支援による倒産抑制の効果が続く
負債総額は946億2100万円(前年同月比36.3%増)と、3カ月ぶりの前年同月比増加
負債額最大の倒産はユーロテックジャパン(株)(和歌山県、民事再生)の約72億円
業種別にみると、全業種で2カ月連続の前年同月から2ケタ減少。なかでも、建設業(78件、前年同月比27.1%減)、製造業(50件、同26.5%減)、卸売業(60件、同31.8%減)、不動産業(11件、同56.0%減)の4業種では、8月として過去最少を更新した
主因別にみると、「不況型倒産」の合計は352件(前年同月比32.2%減)と、2カ月連続で減少した。構成比は78.4%(同0.8ポイント減)を占める
負債規模別にみると、負債10億円以上の倒産は合計24件(前年同月比60.0%増)と大幅に増加し、2020年7月以来13カ月ぶりの20件台となった
地域別にみると、9地域中8地域で前年同月比減少。北海道(6件、前年同月比45.5%減)は過去最少、関東(171件、同27.8%減)、中部(57件、同40.0%減)、近畿(103件、同43.7%減)、中国(20件、同33.3%減)の4地域が、8月としては過去最少
人手不足倒産は10件(前年同月比47.4%減)発生、2カ月ぶりの前年同月比減少
後継者難倒産は29件(前年同月比26.1%増)発生、2カ月ぶりの前年同月比増加
返済猶予後倒産は37件(前年同月比21.3%減)発生、3カ月連続の前年同月比減少
■件数・負債総額:倒産件数は449件、8月としては過去最少
倒産件数は449件(前年同月比31.5%減)と、2000年以降8月としては過去最少だった。また、3カ月連続で月別の過去最少件数となり、資金繰り支援による倒産抑制の効果が続く。
負債総額は946億2100万円(前年同月比36.3%増)と、中規模以上の倒産増加の影響で3カ月ぶりの前年同月比増加となった。
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■業種別:2カ月連続、全業種で前年同月比2ケタの大幅減
業種別にみると、全業種で2カ月連続の前年同月比2ケタ減少となった。なかでも、建設業(78件、前年同月比27.1%減)、製造業(50件、同26.5%減)、卸売業(60件、同31.8%減)、不動産業(11件、同56.0%減)の4業種では、8月として過去最少を更新した。うち建設業では、職別工事業(32件)と総合工事業(29件)が8月として過去最少。卸売業では、繊維製品卸売業(6件)が2000年以降で過去最少となった。
一方、サービス業(99件、前年同月比34.4%減)は3カ月連続で減少が続いたものの、宿泊業(10件)では、昨今の長期的な需要低迷も背景に2カ月連続の増加となった。
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■主因別:「不況型倒産」は352件、構成比78.4%
主因別にみると、「不況型倒産」の合計は352件(前年同月比32.2%減)と、2カ月連続で減少した。構成比は78.4%(同0.8ポイント減)を占めた。
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※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計
■規模別:負債10億円以上の倒産は24件、2020年7月以来13カ月ぶりの20件台
負債規模別にみると、負債5000万円未満の倒産は259件、前年同月比40.5%の大幅減となった。一方、負債10億円以上の倒産は合計24件(前年同月比60.0%増)と大幅増、13カ月ぶりに20件台となった。
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資本金規模別では、資本金1000万円未満(個人事業主含む)の倒産が284件(前年同月比35.9%減)、構成比は63.3%を占めた。
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[画像8: https://prtimes.jp/i/43465/347/resize/d43465-347-12e36f555a02d5fe801a-2.png ]
■地域別:9地域中8地域で前年同月比減少、関東など4地域が8月としては過去最少
地域別にみると、9地域中8地域で前年同月比減少となった。なかでも北海道(6件、前年同月比45.5%減)は2000年以降で過去最少となったほか、関東(171件、同27.8%減)、中部(57件、同40.0%減)、近畿(103件、同43.7%減)、中国(20件、同33.3%減)の4地域が、8月としては過去最少となった。都道府県別では東京都(84件)をはじめ、大阪府(51件)、愛知県(24件)など10都道府県で、8月として過去最少を記録した。
一方で、四国(13件、前年同月比62.5%増)は、小売業などが件数を押し上げ、12カ月ぶりに増加に転じた。
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■態様別:「破産」は413件、構成比92.0%
態様別にみると、破産は413件(構成比92.0%)、特別清算は18件(同4.0%)となった。
民事再生法は18件で、うち7件を個人事業主が占めた。
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■特殊要因倒産
人手不足倒産:10件(前年同月比47.4%減)発生、2カ月ぶりの前年同月比減少
[画像11: https://prtimes.jp/i/43465/347/resize/d43465-347-c1a6df4cc7b889f56fdf-9.png ]
後継者難倒産:29件(前年同月比26.1%増)発生、2カ月ぶりの前年同月比増加
[画像12: https://prtimes.jp/i/43465/347/resize/d43465-347-695b700521f7d6a1b00c-8.png ]
返済猶予後倒産:37件(前年同月比21.3%減)発生、3カ月連続の前年同月比減少
[画像13: https://prtimes.jp/i/43465/347/resize/d43465-347-3f7d2232590e24d7f9f3-6.png ]
※特殊要因倒産では、主因・従因を問わず、特徴的な要因による倒産を集計
今後の見通し
■新型コロナウイルス関連倒産、1年半で2000件を確認 大型倒産も散発
2021年8月の倒産件数は、前年同月から31.5%減の449件となった。8月としては過去最少で、引き続き倒産の発生は大幅に減少した。一方で、負債総額は946億2100万円となり、前年同月から36.3%増加した。事業再編による旧会社の清算、コンプライアンス違反が発覚した企業が巨額の負債を抱えて倒産するケースもある一方で、ホテルなどの宿泊業、病院、雑貨店など、コロナ禍での急激な業績悪化に耐えられずに経営破綻を余儀なくされた「新型コロナウイルス関連」の大型倒産が複数発生したのが、8月の大きな特徴だ。
その新型コロナ関連倒産は、9月3日に累計で2000件目の発生を確認した。初めて発生が確認された2020年2月から1000件までは約1年を要したが、それから半年ほどで倍増することとなり、増加ペースには衰えが見られない。当初は直接的な影響を受けた飲食店、宿泊業など観光産業が多くを占めていた新型コロナ関連倒産だが、緊急事態宣言の発出・延長など経済活動の制限が長期化するにつれて影響範囲も急速に拡大。直接的な影響が薄かった建設業などでもコロナ禍で事業に支障を来すケースが増え、近時の急増を招く要因になっている。
■ 最低賃金、半導体不足…コストアップに迫られる今秋 コロナ禍での経営再建に重し
今秋は多くの中小企業でコストアップに直面する機会が増えるもようだ。その一つが「最低賃金の引き上げ」。中央最低賃金審議会は、コロナ禍の影響を考慮して目安を決めなかった前年から一転し、時給額で2002年度以降最大となる28円の引き上げを決めた。過去、大きく引き上げられた2018年度(全国平均+26円)では、大半の企業が引き上げ額を肯定的に受け止めていた。ただ、当時はアベノミクスによる経済対策、インバウンド消費の拡大もあって企業業績が改善していた時期であり、多くの中小企業で経営体力が摩耗する昨今とは事情が異なる。賃金アップは労働者の待遇や生産性の改善を促すほか、消費を底上げする「カンフル剤」の側面もあるが、コロナ禍で経営不振に陥る企業では逆に再建を阻む「重し」にもなりかねない。
また、天候不順による農産品の不作が懸念されるほか、半導体や木材など、多岐に渡る産業で必要となる原材料が不足しており、価格高騰による生産活動への悪影響にも注視したい。特に、多くの製造業で生産に欠かすことができない「半導体」不足による悪影響が最も懸念されよう。上場企業を対象に適時開示情報などから集計・分析を行った結果、半導体不足へのマイナス影響は8月時点で既に上場115社で判明し、その多くを製造業が占める。裾野産業の広い自動車や家電メーカーの多くで減産や生産停止などを強いられるなか、年後半にかけて、多くの取引企業に経営面で悪影響が及ぶ可能性がある。
■蓄積続く「歪み」、政策支援で倒産減も潜在リスクは残ったまま 出口戦略が課題に
倒産件数の歴史的低水準が続くなか、今後も倒産の急激な増加は想定しにくい。今秋に控える衆議院総選挙の結果がどうなるにせよ、企業支援の政策は現状から大きな変更があるとは考えづらく、2021年後半にかけても倒産動向は比較的落ち着いた推移をみせるだろう。
ただ、倒産減少は好況による企業の業績改善ではなく、金融機関による柔軟な金融支援、政府による各種経済支援に依る部分が大きい。TDBが保有する企業データを基にした分析では、倒産動向の先行指標となる企業の「休廃業・解散」発生リスク自体は高止まりしており、潜在的な経営破綻リスクは抜本的に取り除かれていない。長期にわたる企業への金融支援継続も、事業が改善せずリスケを繰り返す「倒産予備軍」企業を生み出し続け、支援を受けない健全な企業が過度な競争に巻き込まれる状況を作りかねない。倒産抑制の一方、水面下で通常の経済活動では存続できない企業が延命し、健全な経済活動を阻害する「歪み」が着実に蓄積され続けている。
コロナ禍を迎え1年半が過ぎようとするなか、これまでの助成金やリスケ中心の経済支援から、本業立て直しや新事業への転換支援など、コロナ禍でも持続可能な中小企業経営の出口戦略を本格的に考える時期に突入する。しかし、その舵取りを誤れば「歪み」が一斉に表面化し、支援に頼り切りの企業から破綻が増加する危うさを抱えたままである点は変わりない。
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