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RCEP:インド交渉会合――各国は有害な知財条項の削除を

PR TIMES / 2017年7月24日 14時26分

東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉会合が、インド南部ハイデラバードで開催中だ。国境なき医師団(MSF)は、この貿易協定で提案されている有害な知的財産条項案の削除を繰り返し要求している。この条項により、世界中の何百万人もの人が安価なジェネリック薬(後発医薬品)を入手できなくなる恐れがあるためだ。



[画像: https://prtimes.jp/i/4782/374/resize/d4782-374-586344-0.jpg ]

日韓政府が推し進める医薬品の知財関連条項

交渉国の中で、日本と韓国は引き続き知財条項を推進すると見られ、製薬企業の市場独占がますます拡大し、ジェネリック薬メーカーの競争力は弱体化すると予想されている。インドには、多くのジェネリック薬メーカーがあり、手頃な価格の医薬品を調達する側、その薬を使って治療する側、また治療を受ける患者にとっても必要不可欠な存在となっている。

国境なき医師団日本の事務局長ジェレミィ・ボダンは、「インドをはじめとしたRCEP交渉国は、命をつなぐための薬を手頃な価格で製造・輸出・使用する能力を持っています。これを制限してしまうのは、国際公衆衛生上も得策ではありません。もし2000年代初めにこのような条項によって知的財産権が支配されていたとしたら、HIV治療薬の値段は下がらず、HIVとともに生きる数百万人の人びとは命を落としていたでしょう。日本には、将来起こり得る同様な危機を回避するため、重要な役割を果たす余地があります。RCEPから命を脅かす知財条項を削除すればそれは可能です」と指摘する。

提案されている有害な知財条項には、多国籍製薬企業はRCEP加盟国政府に訴訟を起こすことができる規定が含まれている。手頃な価格で医薬品普及を徹底しようとした政府に対し、数百万ドルを請求できるという内容だ。こうした条項によって、特許による独占は現行制度で義務付けられている20年から延長でき、それによってジェネリック薬の販売を特許権侵害と告発するだけで停止できるようになる。

こうした条項は多国籍製薬会社による独占の長期化・強化・拡大につながり、ジェネリック薬による市場競争に制限や遅延をもたらすことで、人びとが命をつなぐために必要な薬の価格を、より長期にわたってつりあげるものである。

市場競争を阻む「データ保護」

MSF必須医薬品キャンペーンの薬剤師、ジェシカ・バリーは、「日本と韓国が求めている『データ保護』についても懸念しています。それは少なくとも5年間、競合メーカーによる市場参入を阻止する条項で、具体的にはジェネリック薬製造に必要な医薬品の承認を制限する形をとって行われます。企業は特許切れの医薬品についても独占権を主張できるようになり、人びとは生きていくために必要な薬を買うのもままならなくなり、到底受け入れられません」と訴える。

医薬品市場に過剰な独占が存在している国の多くでは、高い薬価に苦悩している。例えば、米国では特許が付与された抗がん剤の価格が10年前の倍近くにはねあがり、月平均5000米ドルから1万米ドルかかっている。

「インドは抗がん剤を含めた、ジェネリック薬の重要な供給元です」とユニオン・フォー・アフォーダブル・キャンサー・トリートメント(The Union for Affordable Cancer Treatment)の理事を務めるジェームス・ラブ氏は話す。「インドには多様な医薬品の製造能力があり、インド特許法は薬のマイナーチェンジによる特許付与期間の延長を制限し、ジェネリック薬の国内での使用と、輸出を目的とした強制実施権取得を可能にしています。私たちはRCEPの複数の条項によってこのインド法の変更が余儀なくされ、命をつなぐための薬が手に届かないものになるのではないかと懸念しています」

MSFはハイデラバードにいるNGO、地域の公衆衛生の専門家と、HIVとともに生きる人びとのネットワークに参加して、命を脅かすRCEPの提案について反対を表明していく。

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