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【プレスリリース】リーマンショック後の子どもの貧困 ユニセフ 報告書『不況の中の子どもたち』発表

PR TIMES / 2014年10月28日 19時3分

日本:改善傾向が見られたものの、格差は拡大



・本信は、ユニセフ本部発表の情報に基づき、日本ユニセフ協会が編集したものです
・ユニセフ本部発表原文と報告書(英語)の閲覧をご希望の際は、日本ユニセフ協会
広報室にお問い合わせください

【2014年10月28日 ローマ/ジュネーブ/ニューヨーク発】

ユニセフが本日発表した報告書は、リーマンショックがおきた2008年以降、先進国に
おいて、260万人(増加分660万人から減少分400万人を相殺した数)の子どもたちが
貧困に陥り、現在も推計で約7,650万人が貧困状態で暮らしていることを明らかに
しました。

この報告書、『イノチェンティ レポートカード12 不況の中の子どもたち:
先進諸国における経済危機が子どもの幸福度に及ぼす影響』は、日本を含むOECD
およびEUの計41の先進国を、2008年以降のそれぞれの国の子どもの貧困レベルの増減
の度合いで順位づけしています。また、教育、就労、職業訓練のいずれにも参加
していない15歳から24歳の若者(ニート)の割合についても、その推移をたどります。
さらに、人々が経済状況や将来への希望についてどのように感じているのか、
「ギャラップ世界世論調査」の結果を用いた分析も行っています。

報告書は、リーマンショック直後の早い時期にいくつかの国でとられた景気刺激策は、
子どもを保護するために効果があった一方で、2010年までに、ほとんどの国が景気
刺激策から歳出削減に急激な政策転換を図ったため、特に地中海地域において、
子どもたちに負の影響をもたらしたと指摘します。「多くの先進国では、家計所得の
「大後退(great leap backwards)」がおきました。長期にわたって、子どもたち
や子どもたちが住む地域社会に、影響を残すことになるでしょう」と、ユニセフの
ジェフリー・オマリー政策・戦略局長は語ります。

「ユニセフの調査は、社会政策の強さが貧困削減のための決定的な要因であることを
示しています。すべての国が、経済状況がよい時も悪い時も子どもを守る、強い社会的
セーフティーネットを備えることが必要です。先進国は、子どもの貧困を撲滅する
ことに明確にコミットし、経済の悪化を相殺する政策を打ち出し、子どもの幸福を
最優先する‘模範’を示すべきなのです」(オマリー局長)

■ 日本の評価
リーマンショック以降、多くの先進諸国の子どもの状況が悪化する中、日本では、
「子どもの貧困率」、「ニート率」、「生活意識」ともに、子どもの状況を示す指標
が改善する傾向が見られた国のひとつです。しかし、このランキングは、あくまで変化の
“方向性”を見たものであり、各指標の絶対値に関する順位ではありません。事実、
日本の「子どもの貧困率」や「生活満足度」の絶対値は、決して先進諸国の中でも良い
値を示しているわけではありません。さらに、貧困の深刻度を示す「貧困ギャップ」は、
日本では、2008年から2012年にかけて増加したことも指摘されています。

■『不況の中の子どもたち』日本解説版ユニセフ・イノチェンティ研究所と国立社会保障・
人口問題研究所の阿部彩氏が共同で作成しました。今回の報告書の結果を、日本の子ども
の状況を中心に解説しています。


この他、報告書の主な内容は以下のとおりです。


・分析対象となった41カ国中23カ国で、2008年以降子どもの貧困が増加しました。
アイルランド、クロアチア、ラトビア、ギリシャ、アイスランドでは、50%以上
の増加でした。

・ギリシャでは2012年、子どものいる世帯の世帯所得の中央値は、1998年レベルにまで
低下しました。14年分の成長が失われたことになります。同じように、アイルランド、
ルクセンブルグ、スペインは10年、アイスランドは9年、イタリア、ハンガリー、
ポルトガルが8年を失ったことになります。

・不況は、15歳から24歳の若者に特に大きな打撃を与え、多くの国でニートが急激に
増えています。EUでは2013年に、スイスの全人口にほぼ相当する750万人の若者が
ニートでした。

・米国では、1982年の不況の時よりも、今回の不況の方が極度の子どもの貧困が増加
しました。社会的セーフティーネット策は、就業している貧困家庭を支援することは
できましたが、失業状態にある極度の貧困家庭にはあまり効果がありませんでした。
経済危機が始まって以来、50州のうち34州で子どもの貧困が増加しました。2012年
には、2008年より170万人多い2,420万人の子どもが貧困状態にありました。

・18カ国では、同じ期間に子どもの貧困が減少しました。オーストラリア、チリ、
フィンランド、ノルウェー、ポーランド、スロバキアでは、30%近く低下しました。

「経済状況が似通った国が取った社会政策的対応は、実に多様で、それらが子どもに
与えた影響も様々であったことが、この報告書によって示されました」(オマリー局長)


* * *

■『イノチェンティ レポートカード』とは?
ユニセフ・イノチェンティ研究所は、ほぼ毎年1冊の割合で、「レポートカード
(通信簿の意)」シリーズを発行しています。今回発表された『不況の中の子どもたち:
先進諸国における経済危機が子どもの幸福度に及ぼす影響』は、シリーズ12冊目の報告書
です。過去のレポートカードは、以下からご覧いただけます。

http://www.unicef.or.jp/library/library_labo.html
http://www.unicef-irc.org/publications/series/16/ (英文)

■子どもの貧困率の測定方法について
本報告書では、2008年の相対的貧困ラインを固定基準点と定め、これを基準として子ども
の貧困の絶対的な経年変化を測定しています。この方法は、国民全体の所得が変動し、
個々人が自分と他人の所得を比べるだけでなく危機前の自らの状況と比べたりする景気後
退期において、その影響を測定するためにとりわけ有効です。


■本プレスリリースに関するお問い合わせ
日本ユニセフ協会 広報室 TEL:03-5789-2016  FAX : 03-5789-2036
jcuinfo@unicef.or.jp
Dale Rutstein, UNICEF Rome, Tel: + 39 3357582585, drutstein@unicef.org
Patrizia Faustini, UNICEF Rome, Tel: +39 0552033253, pfaustini@unicef.org
Christophe Boulierac, UNICEF Geneva, +41-799-639-244, cboulierac@unicef.org
Elissa Jobson, UNICEF New York, Tel: +1 646 589 1382, ejobson@unicef.org

■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進
するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、
その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子ども
たちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのため
に活動しています。(www.unicef.org)

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する36の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの
任意拠出金で支えられています

■ユニセフ・イノチェンティ研究所(UNICEF Office of Research - Innocenti)
について
ユニセフ・イノチェンティ研究所は、世界の子どもたちの権利を推進するユニセフの
アドボカシー(政策提言)活動を支え、また現在および将来におけるユニセフの活動
分野を特定し研究するため、1988年、イタリアのフィレンツェに設立されました。
その主な目的は、子どもの権利に関する様々な問題について国際社会の理解を深めること、
世界各国において子どもの権利条約が完全に履行されるよう促進することです。

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国36の国と地域にあるユニセフ国内委員会
のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ
活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)

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