2050年の全国の各市町村の姿が一瞬でわかる「未来カルテ2050」無料ダウンロード開始
PR TIMES / 2020年7月7日 17時40分
人口・高齢化・産業・医療・介護・保育など、地方自治体の将来を見据えた政策に活かす情報基盤「未来カルテ」更新版
千葉大学大学院社会科学研究院 倉阪秀史教授らは、人口減少・高齢社会のインパクトを地域レベルで実感できるよう、2050年の各自治体の姿を視覚化する「未来カルテ2050」を発行するプログラムを、7月7日に公開しました( http://opossum.jpn.org/ )。これは、2017年に公開した2040年の姿を予測する「未来カルテ」を更新したプログラムです。
「未来カルテ」について
人口減少や高齢化に対して何も対策せず、現在の傾向が継続した場合の、産業構造や、保育、教育、医療、介護の状況、公共施設・道路、農地などの維持管理可能性、住宅の供給可能性、再生可能エネルギーによる自給可能性などの分野について、将来の状況をシミュレートして数値で視覚化するプログラムです。
[画像1: https://prtimes.jp/i/15177/421/resize/d15177-421-534098-1.jpg ]
本研究プロジェクトのウェブサイト(http://opossum.jpn.org/)からダウンロードして市町村コードを入力すれば、誰でも指定した市町村の「未来カルテ」を入手することができるほか、その市町村が属する都道府県のデータや全国のデータとも比較が可能です。
「未来カルテ」には、国勢調査や国立社会保障・人口問題研究所の人口予測などの各種統計データを用いて、5年ごとの推移をシミュレーションした結果が掲載されます。また、再生可能エネルギー、廃棄物、公共施設・道路などについては、実績データを掲載し、近年の傾向を把握することができます。
2017年9月に、2040年の各自治体の状況を予測した「未来カルテ」を初公開し、10月末から無料ダウンロードを開始し、これまでに2万回以上ダウンロードされました。
このたび公開した「未来カルテ2050」では、以下の内容について更新しました。
1)予測する社会の時間軸を2040年から2050年に延ばしました。
2)住宅供給可能性、エネルギー自給可能性、廃棄物などの新しい項目を追加しました。
3)出生率向上ケース、若者回帰ケースなどの政策変数を選択できるようにしました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/15177/421/resize/d15177-421-798375-3.jpg ]
「未来カルテ」は、自治体の政策・総合計画の検討に活用されるだけでなく、中学生・高校生や自治体職員、地域住民の勉強会など将来の課題に気づくための各種研修プログラムなどで活用されることを想定しています。
「未来カルテ」を開発した背景
人口減少・高齢社会においては持続可能性を支える各部門の人材不足が深刻化する見込みです。
社会をささえる各種資本基盤(注)(人、人工物、自然、人と人とのつながり)が健全な状態に保たれていることが、社会の持続可能性の前提です。人口減少・高齢社会では、介護、医療、保育、教育、建設業、農林水産業などで、これらの資本基盤の維持管理(手入れ)を行う人材不足が深刻化していきます。
そのため、人口減少・高齢化に備えて、長期的な視点から、各自治体において過剰な資本基盤を抱えないようにコンパクト化を進めるとともに、その維持管理を行う人材を育成する必要があります。しかし、人口減少・高齢化が将来的にもたらすインパクトは十分実感されているとは言えません。
また、温暖化防止のためのパリ協定に掲げられた目標を達成するためには、2050年には脱炭素社会を実現することが求められています。2050年という時間的視野を持って、地域のエネルギーを活用し、域外のエネルギーを購入することによって流出していた地域の富を地域の課題解決のために戦略的に活用することへの取り組みが必要です。
このように、持続可能な社会の実現に向けて、人口減少・高齢化のインパクトを実感し、戦略的に対応していくことができるよう「未来カルテ」を開発しました。
「未来カルテ」は気づきのための手段です。現在の傾向を政策によって変えることができれば、「未来カルテ」で示された未来を変えることができます。
「未来ワークショップ」について
「未来ワークショップ」は、未来カルテの情報を踏まえて、中学生・高校生や自治体職員がグループにわかれて、2050年の未来市長として課題と政策を考え、今から対応しておくべきことを現市長に政策提言するワークショップです。これまでに18市町村で開催しました。7月8日からは、福岡県田川市の市職員が参加する「たがわ未来ワークショップ」を5週間に分けてリモートで開催します。
[画像3: https://prtimes.jp/i/15177/421/resize/d15177-421-319628-4.png ]
■未来ワークショップ詳細こちら http://opossum.jpn.org/work-shop/
「未来カルテ2050」の発行主体について
「未来カルテ」発行プログラムは、科学技術振興機構社会技術研究開発センターの研究開発領域「持続可能な多世代共創社会のデザイン」の研究開発プロジェクト「多世代参加型ストックマネジメント手法の普及を通じた地方自治体での持続可能性の確保」(通称:OPoSSuM)(研究代表者:倉阪秀史(千葉大学大学院人文社会科学研究科教授)、研究開発期間:2014年11月~2020年3月)によって開発されました。
「未来カルテ2050」は、この成果を社会実装するために2017年2月に設立された、特定非営利活動法人地域持続研究所(理事長:倉阪秀史)によって発行されました。
「未来カルテ2050」には、環境研究総合推進費「基礎自治体レベルでの低炭素化政策検討支援ツールの開発と社会実装に関する研究」(2-1910)(研究代表者:倉阪秀史、研究予定期間:2019年4月~2021年3月)の成果物の一部が含まれます。
「NPO法人地域持続研究所」は今後も「未来カルテ」の普及、「未来ワークショップ」の開催支援などを進めていきます。
用語解説
注)資本基盤
資本基盤とは、「有用性をもたらすメカニズムを備えた存在で有用性を与えることによってなくならないもの」と定義されます。人的資本基盤(ひとストック)、人工資本基盤(ものストック)、自然資本基盤(しぜんストック)、社会関係資本基盤(しくみストック)の4つの種類があります。資本基盤は、「手入れ労働」(メンテナンス、ケア)によって、より長期間使用できるようになり、また、時間当たりのサービス提供量を増やすことができます。「手入れ労働」は、対象に応じた適切な手入れを行わなければならないため一定の技術を要するうえに、大量生産を行うことができず、大きく利潤を上げることができないという特徴があります。人口減少下において、「手入れ労働」に相当する業種(保育、教育、介護、医療、建設、農林水産業など)でいち早く人材不足がおこるおそれがあります。
本件に関するお問い合わせ
千葉大学大学院社会科学研究院教授 倉阪 秀史(クラサカ ヒデフミ)
Tel & Fax 043-290-3585 (倉阪研究室)
E-mail:recpa@chiba-u.jp
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