国境なき医師団、イタリア・マルタ両国に対し、救出した移民・難民の上陸許可を要請
PR TIMES / 2019年8月14日 19時40分
国境なき医師団(MSF)と市民団体「SOSメディテラネ」は8月13日、イタリアおよびマルタの海事当局に対し、地中海上で救助した移民・難民らが安全に上陸できる地点を両国が連携して示すよう公式に要請した。
MSFとSOSメディテラネは8月9日から4日間、地中海中部で海難捜索・救助活動をし、計356人を救出した。現在、共同運航する「オーシャン・バイキング」号に全員を乗船させている。これまでリビア当局に安全な上陸場所を要請してきたが反応はなく、次に地理的に近いイタリアおよびマルタに要請した。
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国際法に準じた安全な上陸地点が必要
「生存者のなかには、リビアを通過する間、心身共に暴力を振るわれ、まだ苦しんでいる人たちがいる。リビアでは紛争が続き、大勢の移民と難民がなすすべもないまま、戦線近くの収容所に閉じ込められている」。同船でMSFのプロジェクト・コーディネーターを務めるジェイ・バーガーは話す。「すでに十分すぎるほど苦しんできた人たちだ。この人たちを迅速に上陸させられる安全な場所を求める」
オーシャン・バイキングが救助を行った4日間、リビアの共同救助調整センター(Joint Rescue Coordination Centre)は、同船からの再三の連絡には一切応えず、生存者をリビアに連れ戻すよう繰り返した。これは国際法違反であり、MSFとSOSメディテラネは、いかなる事情があろうとも、生存者をリビアに連れ戻さない。
リビア当局が国際法の要件を満たす安全な上陸地点を示さないため、同船は現在北に向かい、MSFとSOSメディテラネは、欧州各国の当局に対し、国際法に従って、乗船者全員が上陸できる安全な場所を直ちに示すよう求める。
生存者の大半が強制労働や拷問を経験
「細心の注意を払って状況を判断し、救助活動にあたった。海事当局は何ら情報共有することはなかった」。同船で海難捜索救助活動コーディネーターを務めるニック・ロマニウクは話す。「無線連絡がとれたのは、遭難したゴムボートを見つけた欧州連合(EU)の航空機3機のうち1機と一度だけだった。国というものが、命を救う義務をどれだけ後回しにしているか、よく示している」
生存者の大半が、移動の間に、恣意的に勾留されたり、強奪されたり、奴隷のように働かされたり、拷問に遭ったりしていた。18歳未満も103人おり、同船で無事保護されているが、うち92人は保護者がいない。
「未成年も含めて生存者らは、電気ショックで拷問され、銃身や棒で叩かれ、熱で溶けたプラスチックを押しつけられたと打ち明ける。リビアにいた間に受けた傷や傷痕がどれほど痛むか訴えている」。同船に乗船しているMSFのルカ・ピゴッツィ医師は話している。
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