【埼玉県】廃棄物再資源化技術の開発
PR TIMES / 2024年11月2日 17時45分
- 使用済みハンドルからマグネシウム合金を回収 -
[画像1: https://prtimes.jp/i/104306/498/resize/d104306-498-832449-pixta_109826524-0.jpg ]
埼玉県産業技術総合センターは、国立大学法人富山大学と共同で、自動車の使用済みハンドルからマグネシウム合金を低コストで分離できる技術を開発いたしました。
この技術は、これまで産業廃棄物として処分されていた使用済みハンドルのマグネシウム合金の再資源化を可能とし、SDGs、サーキュラーエコノミー*の推進に寄与することが期待されます。 今後は、実用化に向け、企業への技術移転を進めてまいります。
*サーキュラーエコノミー:生産活動や消費活動などのあらゆる段階で資源の効率的・循環的 な利用を図る経済活動のこと。
1 使用済みの自動車ハンドルについて
自動車のハンドルは、軽量化による操作性と、衝撃吸収によるドライバーの安全性を両立させるために、マグネシウム合金を埋め込んだポリウレタン樹脂で形成されています。
接着性の高さや凹状となっているマグネシウム合金の形状から、ポリウレタン樹脂を物理的に取り除くことは難しい上(図1)、マグネシウム合金を取り出すために、ポリウレタン樹脂を分離せずに焼却した場合には、有害なガスが発生するなど課題が多く、使用済みのハンドルは産業廃棄物として処分されています(図2)。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/104306/498/104306-498-203f6576b6e638e02fa0f7543f3b41c1-701x369.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1 ハンドルの断面構造(※Mg:マグネシウム合金、UL:ポリウレタン樹脂)
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/104306/498/104306-498-c453c09bc5d110770488b7978a2d11e1-508x363.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2 処分前の使用済みハンドル
2 マグネシウム合金の回収技術について
(1)技術開発の現状と課題
ポリウレタン樹脂を溶液によって溶解し分離する方法は、溶液とマグネシウム合金の反応による発火などのおそれがあります。また、レーザーの熱によってポリウレタン樹脂を気化させる方法は、コストが高く、大量処理に向かないなどの課題があり、実用に至っていません。
(2)開発した技術
マグネシウム合金と反応せずにポリウレタン樹脂を分離する溶液を新たに開発しました。
この溶液は両者の接着面への浸透性に優れる溶液と、ポリウレタンとの親和性の高い溶液を混合し、効率良く確実に剥離を促進するものです。溶液処理後、かくはんなどの物理的な力を加えることで分離が可能となります。
低コストで大量に処理できる上、回収後に再度成形したマグネシウム合金の強度などに問題が無いことも確かめられました。
これらのことから、使用済みのハンドルのマグネシウム合金の再資源化に道を開くものと期待されます(図3)。
なお、本技術は、埼玉県と国立大学法人富山大学で共同特許出願を行ってい ます。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/104306/498/104306-498-6e6f1913e5eb15b1bfd9e8b93d0d942d-740x386.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図3 使用済みハンドルからの Mg 回収方法
3 今後の展開
希望する企業に技術の移転を進め、技術改良など実用化に必要な支援を行ってまいります。
なお、本技術は、一般社団法人軽金属学会の主催により11月8日から10日に開催される軽金属学会第 147回秋期大会の中で、当センターが国立大学法人富山大学と共同で発表する予定です。
4 問合せ先
産業技術総合センター 生産技術・事業化支援室 田中、栗原
電話 048-265-1421 FAX 048-265-1334
mail h6513112@pref.saitama.lg.jp
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