白麹菌に含まれる成分が美肌機能に関わることを発見
PR TIMES / 2020年1月30日 17時25分
-株式会社ファンケルとキリンホールディングス株式会社の共同研究成果-
株式会社ファンケル(本社:神奈川県横浜市/代表取締役社長 CEO 島田和幸 以降ファンケルと表記)は、 キリンホールディングス株式会社(本社:東京都中野区/代表取締役社長 磯崎功典 以降キリンと表記)との間で、2019年の資本業務提携を契機に両社で協働し共同研究を始めております。このたび、キリンが保有する白麹菌※1に含まれる成分「14-デヒドロエルゴステロール(以降「14-DHE」と表記)」が、美肌機能に関わるタンパク「アルギナーゼ1※2」の活性を高めることを発見しましたのでお知らせします。
<研究背景と目的>
キリンは、自社が保有する「白麹菌(Aspergillus kawachii )」 に含まれるステロール類※3の「14-DHE」に、経口摂取で高い肌質の改善効果があることを確認しています。しかし、どのように肌に働くかというメカニズムは未解明でした。そこで、この「14-DHE」の肌質改善に関するメカニズムの解明と皮膚への効果を視野に入れてファンケルと共同研究を始めました。
<評価方法と結果>
ファンケルは、従来から皮膚表面に多く存在する「アルギナーゼ1」が、角層の保湿機能や肌の酸化、糖化の制御に関わり、肌の明るさやシワなど美肌に導く重要なタンパクであることを確認しています(図1、2)。このタンパクに着目し、「14-DHE」を評価しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/17666/520/resize/d17666-520-216954-0.jpg ]
図1 「アルギナーゼ1」の皮膚内の機能
[画像2: https://prtimes.jp/i/17666/520/resize/d17666-520-481032-1.jpg ]
白麹菌の菌体抽出物から精製された「14-DHE」を、培養したヒト表皮角化細胞に添加し、「アルギナーゼ1」の酵素活性を測定しました。その結果、「14-DHE」を添加していない細胞のコントロールと比較して「14-DHE」を添加した細胞は、「アルギナーゼ1」の高い活性を確認しました(図3)。これにより、「14-DHE」は美肌タンパクの「アルギナーゼ1」を活性化させる働きがあることが分かりました。「アルギナーゼ1」は、皮膚の保湿機能、酸化や糖化を制御する機能など、老化による皮膚機能の低下を正常化する働きがあり、美肌タンパクと言われています。「アルギナーゼ1」の活性化が進むと、美容機能が高まり美肌効果が大いに期待できます。
[画像3: https://prtimes.jp/i/17666/520/resize/d17666-520-620810-2.jpg ]
<今後の展開>
今回、「白麹菌」の菌体抽出物に高含有する「14-DHE」に、美肌に関わるタンパク「アルギナーゼ1」の活性を高めることを確認しました。「14-DHE」は、「アルギナーゼ1」の活性を高めることで従来の対処的なエイジングケアではなく、肌に対して根本的なアンチエイジング効果のあるオールマイティーな成分として期待できます。今後は「14-DHE」の機能研究をさらに進め、アンチエイジング機能を期待して中高年向けの化粧品や日やけ止めなど幅広い製品への応用を検討するとともに、ファンケルの2021年の主力化粧品のリニューアルに使用する予定です。
【用語説明】
※1 白麹菌:
黒麹菌株から突然変異株として分離され、胞子の色が白黄色であることから白麹菌と呼ばれている。黒麹菌と同様に焼酎をつくる際に使用されている。
※2 アルギナーゼ1:
シミの原因となる活性酸素の発生を抑え、メラニン産生が起こらないようにバランスを調整し、シミを防ぐ力があるタンパク。肌表面に多く局在する。身体の炎症時に増加し、正常化させる機能を持つ。ファンケルでは、長年研究を行い、1.紫外線による皮膚の赤み増加を抑制、2.メラニン刺激因子やコラーゲン分解酵素を抑制、3.酸化によるバリア機能の低下や炎症の拡大を抑制、の三つの働きについて解明している。
※3 ステロール類:
ステロール骨格を持つ化学物質の総称で、植物由来はフィトステロール、動物由来はコレステロールと呼ばれる。生物にとって細胞膜を構成したり、生体内で情報伝達をするなどの生理機能にとって重要な働きを持つ物質。
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