圧電薄膜MEMSデバイスの製品化を発表
PR TIMES / 2014年10月1日 9時42分
poLight(R) 社(ノルウェー)がSTの圧電MEMS技術を採用し、モバイル・カメラ向けの革新的なオートフォーカス機能を実現
多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーで、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)のトップ・メーカーかつコンスーマ・携帯型機器向けMEMSセンサの主要サプライヤであるSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、革新的な圧電MEMSデバイスの製品化を発表しました。このイノベーションは、STが長年培ってきたMEMS製品の設計・製造におけるリーダーシップをベースとして、圧電技術(1)が適したアプリケーションにおいて多数のビジネス機会を創出します。STの圧電薄膜(Thin-Film Piezoelectric、TFP)MEMS技術は、カスタマイズが容易な基礎的なプロセス・プラットフォームです。STは、同技術により、世界中の顧客と共に、特定アプリケーションに最適化されたMEMS製品の共同開発が可能になります。
STの圧電薄膜プロセスを最初に活用するpoLight社は、革新的なTLens(R)(Tuneable Lens)を開発しました。同製品は、圧電アクチュエータを使用して高分子透明フィルムの形状を変化させ、人間の眼球の合焦機能を模倣しています。TLensは、これまで高価で消費電力の大きい大型ボイス・コール・モータ(VCM)に依存していたカメラ用オートフォーカス(AF)機能にとって、理想的なソリューションです。
STのグループ・バイスプレジデント 兼 カスタムMEMS事業部 ジェネラル・マネージャであるAnton Hofmeisterは、次の様にコメントしています。「STのアグラテ工場の8インチ工程において、圧電アクチュエータならびにセンサの製造が可能になりました。この工程は、これまで数十億個のモーション・センサを製造し、MEMSセンサの世界的トップ・サプライヤという当社の主導的地位の確立に貢献しています。STの圧電薄膜MEMS技術は、コストと利益の新たなシナリオを作りだし、数多くのアプリケーションを実現することで、これまでの状況を一変させるでしょう。」
poLight社の最高マーケティング責任者(CMO)であるChristian Dupont氏は、次の様にコメントしています。「当社は、スマートフォン向けの新しいカメラ用オートフォーカス機能であるTLensの製造に、STの圧電薄膜MEMS技術を採用します。例えば、TLensを搭載したカメラは、バッテリ消費量を20分の1に抑えながら、10倍の速度で瞬時にフォーカスすることができます。さらに、撮影後の再フォーカスとビデオ録画用の安定した連続オートフォーカスも可能です。この画期的な製品は、当社の革新的な技術と、要件を満たす強力な圧電アクチュエータを量産できるSTの圧電薄膜プロセスの最適化能力を組み合わせています。これは、当社のお客様であるスマートフォン・メーカーにとって重要な要素です。」
STの新しい圧電薄膜MEMSプラットフォームのパイロット・ラインは、部分的にヨーロッパのLAB4MEMSプログラムによる資金提供を受けています。同技術により、市販用プリンタ、産業用プリンタ、3Dプリンタのインクジェット・プリントヘッドをはじめ、多数の重要なアプリケーションにアクチュエータを展開できる可能性がある他、環境発電などの分野に向けた圧電センサの開発も可能になります。
STは、2015年中頃に量産を開始することを目標にしています。
(1)圧電気現象とは、何らかの物質が外部の機械的圧力を受けて電位を生じる物理現象(圧電効果または「正」圧電効果)、あるいはその逆に何らかの物質が電界の印加によって軸に沿って伸縮する物理現象(「逆」圧電効果)です。圧電気現象は単純なガスライターから走査型トンネル顕微鏡などの複雑な医療機器にまで広く利用されていますが、現状は、多くの機器が高価で大型のセラミック圧電材料を採用しています。STの圧電薄膜MEMS技術は、低消費電力で反応速度の速い圧電効果を実現するだけでなく、半導体プロセス製造によるコスト優位性も兼ね備えています。
STマイクロエレクトロニクスについて
STは、「センス & パワー、オートモーティブ製品」と「エンベデッド・プロセッシング ソリューション」の多種多様なアプリケーションに半導体を提供する世界的な総合半導体メーカーです。エネルギー管理・省電力からデータ・セキュリティ、医療・ヘルスケアからスマート・コンスーマ機器まで、そして、家庭、自動車、オフィスおよび仕事や遊びの中など、人々の暮らしのあらゆるシーンにおいてSTの技術が活躍しています。STは、よりスマートな生活に向けた技術革新を通し、「life.augmented」の実現に取り組んでいます。2013年の売上は80.8億ドルでした。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト( http://www.st-japan.co.jp )をご覧ください。
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