コスト高騰で6.5%が「すでに限界」、うち2.5%は企業の「存続危機」 半数超は事業継続が可能も「厳しい」
PR TIMES / 2022年11月15日 13時15分
コスト高騰による企業への影響アンケート
原材料費や光熱費、輸入コストなど、企業におけるさまざまなコストの高騰が続いているなか、帝国データバンクが実施した調査 によると、コストの上昇分を販売価格に全く転嫁できていない企業は2割近くに及ぶ。一方で、7割の企業で多少なりとも価格転嫁はできているが、総じてみると、コストが100円上昇した場合に企業は36.6円しか販売価格に反映できておらず、企業の利益確保が厳しい状況を映し出している。
そこで、帝国データバンクは、コストの高騰による企業への影響についてアンケート調査を実施した。
<調査結果(要旨)>
さまざまなコストの高騰による主要な事業への影響について、「影響はあるが、現時点では余裕がある」とした企業は33.4%だった一方、半数超が「厳しいが事業の継続は可能」(54.3%)としていた。さらに、「すでに限界」とした企業は6.5%となり、うち2.5%が「企業の存続危機」に陥っていることが分かった
「すでに限界」とした企業の割合を規模別にみると、「大企業」では2.1%、「中小企業」では7.2%、うち「小規模企業」では11.4%と、企業規模が小さいほど高くなっている。内訳をみると、「小規模企業」で「すでに限界であり、企業の存続危機に陥っている」とした企業は約5%に及んだ
「すでに限界」と回答した企業を主な業種別にみると、「建材・家具、窯業・土石製品製造」が12.5%と全体を6.0ポイント上回った。また、「化学品製造」が12.2%、「不動産」および「飲食料品・飼料製造」がそれぞれ9.4%となった
■アンケート期間は2022年11月4日~9日、有効回答企業数は1,452社(インターネット調査)
コスト高騰で半数超の企業が厳しい状況、6.5%が「すでに限界」
[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/568/resize/d43465-568-6ba78d72173bc43c28b9-2.png ]
さまざまなコストの高騰を受け、主要な事業についてどのような状況か尋ねたところ、「影響はあるが、現時点では余裕がある」とした企業は33.4%だった。一方、半数超が内部留保の取り崩しやコストの削減などで対応し、「厳しいが事業の継続は可能」(54.3%)と認識していた。さらに、「すでに限界」とした企業は6.5%となった。内訳をみると、「すでに限界のため、別の仕入先を検討中」(2.5%)、「すでに限界のため、主力部門以外の強化・主力部門の縮小/撤退、または業態転換を検討中」(1.5%)のように、対策を打とうとしている企業もみられたが、2.5%の企業が「すでに限界であり、企業の存続危機に陥っている」と考えていた。
他方、「影響を受けていない」は3.7%、「分からない」は2.0%となった。
「小規模企業」の11.4%が「すでに限界」、うち5%近くが存続危機に陥っている
[画像2: https://prtimes.jp/i/43465/568/resize/d43465-568-fc4f861e8f7f3145c1ac-0.png ]
「すでに限界」の企業を規模別にみると、「大企業」では2.1%と全体(6.5%)を4.4ポイント下回った。他方、「中小企業」では7.2%、うち「小規模企業」は11.4%となり、企業規模が小さいほどすでに限界に達した企業の割合が高まっている。内訳をみると、特に財務力が比較的弱い「小規模企業」で「すでに限界であり、企業の存続危機に陥っている」とした企業は約5%に及んだ。
企業からは、「弱小企業においては価格転嫁も思うようにいかないなか、国からも賃金アップの要請があり、苦しい状況である」(塗料製造)といった声があがっていた。
建材や家具、化学品メーカーで1割超が「すでに限界」
[画像3: https://prtimes.jp/i/43465/568/resize/d43465-568-e9f953ff850cc7aeeb78-1.png ]
「すでに限界」とした主な業種別をみると、「建材・家具、窯業・土石製品製造」が12.5%と全体(6.5%)を6.0ポイント上回った。また、「化学品製造」は12.2%、「不動産」および「飲食料品・飼料製造」はいずれも9.4%となった。企業からは、「原材料の値上げ分のコンクリートへの価格転嫁が遅れるなか、電気料金についても驚くほどアップした請求が来ている」(生コンクリート製造)や「材料や資材費の高騰分を、十分に価格転嫁できていない」(工業用プラスチック製品製造)といった声が聞かれた。
さらに、「すでに限界」と「厳しいが事業の継続は可能」を合計すると、「飲食料品・飼料製造」(81.1%)は8割超となり、多くの企業で厳しい状況にある様子がうかがえた。また、「建材・家具、窯業・土石製品製造」(78.1%)も8割近くにのぼった。企業からは「すでに限界に達しているが、価格転嫁できるよう努めている」(乳製品製造)といった声があがっていた。
本アンケートの結果によると、さまざまなコストの高騰の影響により半数超の企業が「厳しいが事業の継続は可能」と考えていた。また、企業の6.5%が「すでに限界」に達しており、なかでも2.5%は存続危機に陥っている。
一方で、約3割はコスト高騰の影響を受けているものの、経営状況については余裕が持てている。ただし、こうした企業においても価格転嫁による需要減や今後のコスト高騰の継続によるさらなる影響を懸念している声が多数聞かれ、引き続き注視する必要があろう。
このような状況下、岸田政権発足後2度目となる経済対策が10月28日に閣議決定された。具体的な内容として、家庭や企業への電気料金の補助や、公正取引委員会の執行体制の強化などといった適正な価格転嫁に向けた環境整備の推進があげられている。
こうした対策に加え、業態転換に関する支援策のほか、企業の生産性や商品の付加価値の向上につながる投資や研究開発への支援策など、多方面にわたる対策のさらなる強化が求められよう。
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