1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

アラビアガムがビフィズス菌を増やす仕組みを解明―鹿児島大学との共同研究からー

PR TIMES / 2021年3月22日 14時15分

~科学雑誌『Applied and Environmental Microbiology』誌掲載~

森永乳業は、鹿児島大学の藤田准教授と共同で、離乳期以降の腸内でビフィズス菌が糖を利用する仕組みについて、研究を進めております。このたび、腸内のビフィズス菌ロンガム種の一部を増殖させることが知られているアラビアガム※1(アカシア属植物の樹液に含まれる高分子多糖)に関する研究から、以下の2点が明らかになりました。
1.ビフィズス菌ロンガム種がアラビアガムを利用して増殖するには、本研究の過程で新たに発見された「GAfase※2」という酵素が不可欠であること
2.「GAfase」はアラビアガムの末端構造を分解することで、アラビアガム利用に重要な役割を果たしていること



1.研究背景
 ビフィズス菌は赤ちゃんの腸内に数多く棲息することから、母乳に含まれるオリゴ糖(ヒトミルクオリゴ糖)がビフィズス菌を増やす仕組みについて、これまでに多くの研究が行われてきました。一方で、離乳期以降、ヒトは様々な食べ物を摂取するようになるため、腸内に届く糖(食物繊維)は複雑かつ多岐に渡るようになります。そのため、腸内でビフィズス菌がそれらの糖を利用する仕組みについては、断片的な知見が蓄積されてはいますが、不明な点が多いのが現状です。

PDF版はこちら
https://prtimes.jp/a/?f=d21580-20210322-6087.pdf

2.研究内容
◆研究方法
 ビフィズス菌ロンガム種12株を用いてアラビアガムのみを糖源として含む培地で培養し、アラビアガムを利用して増殖できるかについて評価しました。また、この12株が保有する遺伝子の解析、およびアラビアガム利用に関わると推測された酵素の性質を調査しました。
◆研究結果
1.ビフィズス菌ロンガム種がアラビアガムを利用して増殖するには、「GAfase」という酵素が不可欠である評価した12株のうち、2株だけがアラビアガムを利用して増殖することができました。12株が保有する遺伝子を解析したところ、この2株のみが保有する遺伝子群が認められ、その遺伝子群の中には糖の分解に関わる酵素の遺伝子が2つ存在していました。この2つの酵素と既知の酵素とを比較したところ、1つはこれまでに報告のない酵素であったことから、GAfase(ジーエーエフアーゼ)と名付けました。
2.「GAfase」はアラビアガムの末端構造に作用することで、アラビアガムの利用に重要な役割を果たしている
遺伝子組換えGAfase※3を作製し、アラビアガムへの作用について確認したところ、GAfaseはアラビアガムの末端構造を分解して短い糖を切り出すことが分かりました。切り出された短い糖は、ビフィズス菌ロンガム種の菌体内に取り込まれ、さらに分解されてエネルギー源となります。このようにGAfaseはビフィズス菌ロンガム種のアラビアガムの利用に重要な役割を担っていることが明らかになりました(図1)。

[画像: https://prtimes.jp/i/21580/572/resize/d21580-572-450634-0.jpg ]

図1.ビフィズス菌ロンガム種がアラビアガムを利用する仕組み

3.まとめ
 今回、ビフィズス菌ロンガム種がアラビアガムを利用する仕組みが解明されたことにより、ビフィズス菌の糖の利用に関する知見が蓄積されたと考えております。将来、このような研究が発展し、ビフィズス菌の糖の利用に関して、その全貌や、他の腸内細菌あるいは宿主との相互関係についても明らかになることが期待されます。
 本研究成果※4は、科学雑誌『Applied and Environmental Microbiology』誌(2021年3月5日付Web版)に掲載されました。
 森永乳業では、鹿児島大学との共同研究を含め、乳児期~老年期の腸内におけるビフィズス菌の糖の利用に関する研究を継続してまいります。客観的なデータを積み重ねることにより、人々の健康に貢献できる正しい情報と優れた素材を発信できるよう、努めてまいります。

<参考>
※1 アラビアガム
アカシア属植物の樹液に含まれる高分子多糖で、増粘多糖類やコーティング剤として食品や医薬品に利用されています。また、成人腸内のビフィズス菌の一部を増やすことが報告されており、サプリメントとしても販売されています。

※2 GAfase
正式名は3-O-α-D-galactosyl-α-L-arabinofuranosidaseです。本研究の過程で新たに発見され、機能が解明されました。

※3 遺伝子組換えGAfase
大腸菌の遺伝子にビフィズス菌ロンガム種のGAfase遺伝子を組み込み、GAfaseを産生させ、精製して試験に用いました。

※4 論文タイトル
「Novel 3-O-α-D-Galactosyl-α-L-Arabinofuranosidase for the Assimilation of Gum Arabic Arabinogalactan Protein in Bifidobacterium longum subsp. longum」

企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください