大きな話題になった「『ごんぎつね』の読めない小学生たち」の石井光太さんが解説。児童文庫レーベル・キミノベルから「ごんぎつね」収録の『新美南吉童話集』が発売!
PR TIMES / 2023年2月14日 14時15分
株式会社ポプラ社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:千葉均)は、日本を代表する児童文学作家・新美南吉による「ごんぎつね」や「手ぶくろを買いに」など時代を超えて愛される作品を収録した『新美南吉童話集』を2023年2月14日に児童文庫レーベル・ポプラキミノベルより刊行いたします。
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書誌ページ>> https://www.kiminovel.jp/book/niminankichi/
Amazon>>https://www.amazon.co.jp/dp/4591176908?tag=poplarsha-22&linkCode=osi&th=1&psc=1
2022年、「『ごんぎつね』の読めない小学生たち」*が話題になりました。子どもたちの国語力の低下について書かれた衝撃的な内容です。著者は、常に子どもたちの”今”に向き合っている作家の石井光太さん。そんな石井光太さんが、まさに話題の「ごんぎつね」の解説を務めた、児童文庫『新美南吉童話集 ごんぎつね 手ぶくろを買いに』がポプラ社キミノベルから発売されました!
実は本書の刊行はかなり以前に決まっていました。どなたに解説をお願いしようかと悩んでいる時に、「『ごんぎつね』の読めない小学生たち」のことを知り、まさに、その悩みが解決しました。解説は石井さんしかいない。そんな思いでご依頼したところ、早々に快諾を頂き、解説を寄せて頂くことが実現しました。石井さんの素晴らしい解説とともに、新美南吉の童話世界を自信をもってお届けします。
*2022年文春オンライン読まれた記事NO.1/『ルポ誰が国語力を殺すのか』(文藝春秋)収録
https://bunshun.jp/articles/-/59661
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本書は、学校教科書にも掲載されているほど著名な童話作家・新美南吉の童話集。「ごんぎつね」をはじめ、「手ぶくろを買いに」「おじいさんのランプ」など、南吉の代表作全11編が収録されている最新刊です。どこかユーモアがあり、どこか切ない――けれども、とてもあたたかい南吉の世界。
石井さんは、そんな新美南吉の世界の本質について「『ごんぎつね』を読めない小学生たち」へのアンサーともいえるような、深みのあるわかりやすい解説を添えてくれています。
※本書に掲載されたその解説を一部抜粋して紹介します。
『新美南吉童話集 ごんぎつね 手ぶくろを買いに』――石井光太さんによる解説(抜粋)
解説──人生は生きるに値する。
石井光太(作家)
小枝の間から白い絹糸のように降る雪、生まれて初めて棲み処から外に出て雪が目に入った時の驚嘆、冷えた手に母がはーと吹きかけてくれる吐息の温かさ。
『手ぶくろを買いに』の冒頭を読むだけで、新美南吉の物事にする想像力の逞しさに驚かされます。
これは彼のどの作品にも通じることです。きつねであれ、でんでん虫であれ、盗人であれ、その目線になって世界を見つめ、物事を知覚し、表現する力が、彼のあらゆる物語の基盤となっているのです。
(中略)
本書に収められた作品に通底するのは、自分の意思ではどうにもならない不条理な現実と、そこで生きる者たちの悲しいほどのすれ違いです。
(中略)
南吉は幼い頃から厳しい現実の中で家族と何度もすれ違い、悲しみを抱えてきました。社会の冷酷さを誰よりもわかっていたはずです。そうした経験が、童話にも反映されているのです。
ただ、それを描くだけだったならば、一連の作品が今に至るまで読み継がれることはなかったはずです。南吉の優れているのは、生きることへの希望を決して失わないことです。どれだけ不条理な世の中であっても、人とのつながりが生きることの光になるのだということを示してみせるのです。
(中略)
そう、南吉が描いているのは、たとえ現実が思い通りにいかなくても、人は誰かのやさしさ、理解、希望に支えられて存在しているということなのです。
――だからこそ、人生は生きるに値する。
南吉は作品を通してそんなことを訴えているのではないでしょうか。
(中略)
しかし、南吉は人の温かさというものを明確な言葉では表現しません。『手ぶくろを買いに』の最後はお母さんぎつねの「ほんとうに人間はいいものかしら」という言葉で終わりますし、『きつね』はふとんの中で文六とお母さんが一緒になって涙を流して幕を閉じます。
なぜでしょう。
人が持つ温かさというものは、一つの言葉では表現しきれないものだからです。あくまでその人が感じ取るものなのです。だから、南吉ははっきりと書くのではなく、母と子の姿を描き表わすことで、行間からそれをつたえようとしたのです。
行間から伝えられたメッセージは、読む人によってどれだけ大きく感じられるかが違います。読者の感性だけでなく、その時々の気持ちや境遇、あるいは何と重ね合わせるのかによっていろんな形で感じ取れるのです。
南吉の童話が、時代を超えて子供から大人にまで読まれているのは、そのためではないでしょうか。今読んで感じたことが、十年後、二十年後に読む時にはまったく違う感動になり、その都度の人生の希望になる。
一連の童話を通じて、南吉はどんな年齢の、どんな状況の人にも、生きることは尊いことだと教えてくれるのです。
※太字は編集部分。解説全文は、本書でご覧ください。
子どもも、昔子どもだった大人も、読む度に違う新たな感動と希望
新美南吉の世界は、石井さんが解説されているように、小学生の子どもたちにとって、また、大人にとっても、どこか心のもやもやを”希望”に変えてくれる、ぬくもりいっぱいの世界です。
どこか混とんとしている時代の今こそ、改めておすすめしたい一冊です。
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著者プロフィール
作/新美南吉
1913 年、愛知県生まれ。本名は新美正八。中学の頃から文学に興味を持ち、文芸誌「オリオン」を出す。童話雑誌『赤い鳥』(1932 年)に「ごん狐」が掲載され、同年、東京外国語学校英文科に入学。1936 年、卒業して貿易会社に勤めたが、病気のため帰郷。その後、高等女学校の教諭になる。1942 年、病気悪化のなか、数々の代表作を発表。主な作品に「手ぶくろを買いに」「おじいさんのランプ」「和太郎さんと牛」他多数。1943 年、29 歳で死去。
絵/tama
2013 年頃から、かわいらしさの中にちょっぴりの毒気とシュールさを感じさせるイラストを制作している、ハンドメイド作家&イラストレーター。擬人化した動物たちを描くことが得意。
解説/石井光太
1977年東京都生まれ、作家。 著書に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体』『絶対貧困』『レンタルチャイルド』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『本当の貧困の話をしよう』『こどもホスピスの奇跡』『格差と分断の社会地図』など多数。単行本最新刊は『ルポ 誰が国語力を殺すのか』
※Twitterより
ドキドキとワクワクが揃うキミノベルの“名作”
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今年の3月に2周年を迎える児童文庫レーベル・キミノベルでは、定番の古典名作のほかに、映画ノベライズ等、今まで児童文庫で紹介されてこなかった作品をラインナップしています。『星の王子さま』や『坊っちゃん』『注文の多い料理店』等の不朽の名作、『E.T.』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『いまを生きる』『ジュラシック・パーク』等の映画ノベライズ、ロングセラーの隠れた名作『おちゃめなふたご』等、バラエティあふれる作品が揃っています。
今後も小説にとどまらず、映画や舞台など幅広いジャンルから、胸を躍らせてくれる名作を、届けていく予定です。ぜひ、親子で楽しんでください。
キミノベル名作>> https://www.kiminovel.jp/books/search/?keyword=%E5%90%8D%E4%BD%9C
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