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NEC、Beyond5G/6G向けミリ波分散アンテナの小型化・低消費電力化を実現する光ファイバ無線システムを開発

PR TIMES / 2024年6月17日 12時45分

~障害物の多い環境でのミリ波通信の安定化に貢献~



NECは、Beyond 5G/6Gに向けて、安定したミリ波通信ネットワークを安価に構築することが可能な1-bitファイバ伝送方式の光ファイバ無線システムを開発し、その実証に成功しました。本方式を用いることで、安価な汎用デジタル通信向け電気-光変換器を用いて、高周波アナログ信号の伝送が可能になり、小型な分散アンテナユニットを低コストに実現することができます。
これにより、高層ビル、地下街、工場、鉄道、また屋内など、遮蔽物の多い環境で、安定したミリ波通信環境を安価に実現することが可能となります。
本成果は、6月16日(現地時間)から米国ワシントンDCで開催される国際会議「IEEE MTT-S International Microwave Symposium (IMS2024)」で発表されます。

●開発の背景
ミリ波技術を活用した高速ワイヤレス通信はBeyond 5G/6Gのキー・テクノロジーとして期待されています。特にモバイル通信トラフィックの約80%は屋内で発生するため、屋内対策としてミリ波の検討が進んでいます。
しかしミリ波帯は大きな伝搬損失と高い直進性を有するため、十分なQoS (サービス品質)を実現するために基地局と端末間の見通しを確保することが必要となります。端末と直接データの送受信を行う分散アンテナユニット(以下、DA:Distributed Antenna)を高密度に設置し、遮蔽物を回避することは、この課題解決に効果的であるものの、DAのサイズ、消費電力、必要量を設置するためのコストが大きな課題となっています。
そこでNECはDAの小型化、低消費電力化、低コスト化を実現できる、光ファイバ無線システム(以下、RoF)とその伝送方式を開発しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/78149/616/resize/d78149-616-e8d8cf0de8ee4c771235-0.png ]

図1 光ファイバ無線システムを用いたミリ波モバイルネットワーク

●従来の光ファイバ無線(RoF)の課題と、解決に向けたアプローチ
従来のRoFは、図2に示すように、デジタルRoFシステム(以下、デジタルRoF)とアナログRoFシステム(以下、アナログRoF)に分類されます。デジタルRoFは、無線ユニット(RU:Radio Unit)で生成されるデジタル信号をDAにファイバ伝送します。デジタルRoFで用いられるDAには、デジタル信号を処理するデバイス(DSP)やデジタル-アナログコンバータ(DAC)を装備する必要があるため、消費電力が大きくコストも高くなります。アナログRoFは、RUで高周波アナログ信号を生成し、DAにファイバ伝送する方式を用いています。アナログRoFにおいては、DAにはDSPやDACが不要となり構成が簡素化される一方で、電気-光変換器には、アナログ信号向けの高い線形性が求められる専用の変換器が必要となります。このことは、デバイスコストを押し上げる要因となります。
そこでNECは、1-bitファイバ伝送方式と、それを用いた1-bit RoFシステム(以下、1-bit RoF)を開発しました。1-bitファイバ伝送方式は、高周波アナログ信号を1-bitパルス信号に変換してファイバ伝送する方式で、フィルタを介すことで、所望のアナログ信号を再生することができます。本方式を用いた1-bit RoFでは、デジタルRoFと同様、デジタル通信向けの安価な汎用電気-光変換器を用いることが可能となり、同時にアナログRoFのように、DAにDSPやDACを必要としません。すなわち、1-bit RoFは、デジタルRoFとアナログRoFの長所を兼ね備えることができるシステムになります。
[画像2: https://prtimes.jp/i/78149/616/resize/d78149-616-c07a959d403ec4198f63-1.png ]

図2 光ファイバ無線システムの種類

●1-bit RoFシステム実現のための取り組み
1-bit RoFの実用化には、1-bitパルス信号に変換する1-bit変調器の、信号対雑音・歪特性が低いという課題がありました。今回、ダウンリンク向けの1-bitファイバ伝送方式として、雑音・歪特性に優れたベクトル分解方式(注1)を開発しました。また、アップリンクにおいては、1-bitファイバ伝送で発生する信号歪をキャンセルし、元の信号を再生する、デジタル再生方式を開発しました。これにより、ダウンリンク・アップリンクの双方向において、1-bitファイバ伝送時の信号対雑音・歪特性の劣化を抑制することに成功しました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/78149/616/resize/d78149-616-d8c35b062bca69591c10-2.png ]

図3 提案の1-bit光ファイバ無線システム

また、今回開発した1-bit RoFシステムが、モバイル通信規格へ適合することを確認するため、新たに無線ユニットと小型DAで構成される40GHz帯向け光ファイバ無線試作機(注2)を開発しました。実証の結果、適合が確認(注3)されました。

[画像4: https://prtimes.jp/i/78149/616/resize/d78149-616-ae8132d54d8e9c9f7641-3.png ]

図4 40GHz帯分散アンテナユニット

これにより、小型・低コストなDAを高密度に設置することが可能となります。また、DA-端末間の見通しが確保できるようになり、ミリ波通信環境の改善が期待できます。

●今度の展開
ミリ波分散アンテナの小型化、低消費電力化、低コスト化を実現する、1-bitファイバ伝送方式を開発しました。本方式を適用した光ファイバ無線システムは、高層ビル、地下街、工場、鉄道、また屋内など、遮蔽物の多い環境でも、安定したミリ波通信ネットワークを安価に構築することが可能となり、beyond5G/6Gに向けて、ミリ波を用いた高速・大容量通信の普及を促進することができます。
今後も、beyond 5G/6Gに向けた高速・大容量の開発を継続してまいります。

●発表予定
本研究成果は6月16日(現地時間)から米国ワシントンDCで開催される国際会議IEEE MTT-S International Microwave Symposium (IMS2024)のPhotonic-Enabled Systems and Solutionsのセッションにおいて、「1-Bit Digital Radio-over-Fiber System with Hybrid Architecture for 40-GHz Band」の講演タイトルで発表されます。

講演時間:6月18日午前8時40分(現地時間)
講演タイトル:1-Bit Digital Radio-over-Fiber System with Hybrid Architecture for 40-GHz Band
会議Webサイト:https://ims-ieee.org/

【謝辞】
本研究は、総務省委託研究「電波資源拡大のための研究開発(JPJ000254)」の成果の一部です。


(注1)ベクトル分解方式:無線信号を、振幅が一定の2本の信号に分解する方式。別名をアウトフェージング方式。https://jpn.nec.com/techrep/journal/g23/n01/230110.html
(注2)DA小型化を実現するために、アップリンク向けの1-bit変調器として、5Gbpsで動作可能なΔΣ変調器ICを、汎用CMOSプロセスで開発した。ICのサイズは2x1.5mm。
(注3) OTA測定において、3GPP標準化規格に適合することを確認。

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