三菱重工の技術を用いた欧州初のCO2回収プラントが稼働開始 イタリアのCCSプロジェクト向け
PR TIMES / 2024年9月18日 13時21分
◆ 伊Eni社がラヴェンナ県で運営する天然ガス供給設備で、年間約2万5,000トンのCO2を回収
◆ MAIRE社傘下のNEXTCHEM社との協業により、三菱重工として初めて伊企業にCO2回収技術を供与
◆ 従来の排ガス源と比較してCO2濃度が著しく低い排ガスからの回収に成功
[画像1: https://prtimes.jp/i/25611/620/resize/d25611-620-31cea1d7fd8b20ad3fcd-0.jpg ]
三菱重工業がCO2回収技術「KM CDR Process(TM)」を供与したCO2回収プラントが、イタリアのラヴェンナ県・カサルボルセッティ(Casalborsetti)にある天然ガス供給設備で稼働を開始しました。燃焼排ガスからのCO2回収においてフルスケールでのプラント稼働は、欧州初となる事例です。同国最大の総合エネルギー企業であるEni社(エニ、Eni S.p.A.)がSnam社(スナム、Snam S.p.A.)と共同で立ち上げたイタリア初のCO2回収・貯留(CCS)プロジェクト「ラヴェンナCCS ※1」の第一段階として、年間約2万5,000トンのCO2排出量が削減される見込みです。
当社は、イタリア大手エンジニアリング会社のMAIRE社(マイレ、MAIRE S.p.A.)傘下のNEXTCHEM社(ネクストケム、NEXTCHEM S.p.A.)を通じ、本プロジェクト向けにCO2回収技術ライセンス※2の供与ならびに基本設計パッケージ(PDP:Process Design Package)を提供しています。NEXTCHEM社は技術インテグレーターとして、同じくMAIRE社傘下のKT社(ケーティー、Kinetics Technology S.p.A.)との協業により、CO2回収プラントの設計・調達・建設(EPC)取りまとめを手掛けて納入したものです。
この回収技術は、ターボコンプレッサ駆動用天然ガスタービンの排ガス中に含まれるCO2の最大96%を回収するもので、排ガス中のCO2濃度が3%未満であることや排ガスが低圧であることを踏まえると目覚ましい成果といえます。将来的には、本プロジェクトで得られた技術的知見を、CO2濃度が低い他の排ガス源から出されるCO2の回収にも活用することが期待されます。
本プラントの稼働開始は、産業分野の脱炭素化における重要な一歩であるだけでなく、Eni社とSnam社が推進するラヴェンナCCSプロジェクトを大きく前進させることとなります。本プラントで回収されたCO2は、パイプラインで輸送され、水深約3,000m級の海底にあるEni社のPorto Corsini Mare Ovest枯渇ガス田に圧入・貯留されます。この枯渇ガス田 は、今後ラヴェンナCCSプロジェクトの第二段階としてさらに開発が進められ、2030年までに年間最大400万トンのCO2の貯留が可能となる見通しです。
三菱重工グループは2040年のカーボンニュートラル達成を宣言し、エネルギー需要側・供給側双方の脱炭素化に向け戦略的に取り組んでいます。このうちエネルギー供給側の脱炭素戦略である「エナジートランジション」における柱の1つが、多種多様なCO2排出源と貯留・利活用をつなげるCCUSバリューチェーンの構築です。この柱を引き続き強化することに努め、独自のCO2回収技術を活用したCCUS事業を強力に推進するとともに、ソリューションプロバイダーとして温室効果ガス排出削減に地球規模で貢献し、環境保護に寄与するソリューションの開発をさらに進めていきます。
※1 ラヴェンナCCSプロジェクトについて、詳しくは以下のプレスリリースをご覧ください。
https://www.eni.com/en-IT/media/press-release/2024/09/eni-snam-launch-ravenna-css-italy-s-first-carbon-capture-storage-project.html
※2 CO2回収技術ライセンス契約について、詳しくは以下のプレスリリースをご覧ください。
https://www.mhi.com/jp/news/22042501.html
三菱重工グループのCO2回収技術について
三菱重工グループは、1990年から関西電力株式会社と共同でCO2回収技術KM CDR Process(TM)やAdvanced KM CDR Process(TM)の開発に取り組んでいます。2024年9月現在、これらの技術を用いたプラントを18基納入しています。Advanced KM CDR Process(TM)には、アミン吸収液KS-1(TM)に技術改良を加えたKS-21(TM)が採用されています。KS-21(TM)は、KS-1(TM)と比べて再生効率に優れ劣化も少ないといった特長を持ち、優れた省エネルギー性能と運用コストの低減および低いアミンエミッションが確認されています。
【三菱重工グループ「CO2回収技術」製品情報はこちら】
https://www.mhi.com/jp/products/engineering/co2plants.html
[画像2: https://prtimes.jp/i/25611/620/resize/d25611-620-3f5ce4cdd58d3d01ec34-1.jpg ]
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