マンダム、アルムKが細胞の感覚センサーTRPV1、TRPA1の活性を抑制することで、痛みや刺激を感じにくくすることを発見
PR TIMES / 2020年7月20日 13時40分
株式会社マンダム
株式会社マンダム(本社:大阪市、社長執行役員:西村元延 以下マンダム)は、肌を健康に美しく保つ技術の開発を目的として、また、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市、理事長:米田悦啓、以下「医薬健栄研」)は効果性が高く痛みの少ないワクチン技術へ応用することを目的として、痛みや炎症の制御技術の開発に共同で取り組んでいます。
今回、マンダムと医薬健栄研モックアップワクチンプロジェクトの石井健招へいプロジェクトリーダー(東京大学医科学研究所 教授)は、細胞の感覚センサーTRP(トリップ)チャネル(※1)の一種であるTRPV1、TRPA1の活性がアルムK(アルミニウムイオン)により抑制されることを発見しました。また、アルムKの濃度が高く、pHが低い方がTRPV1、TRPA1の活性を抑制する効果が高いことも見出しました。TRPV1、TRPA1は痛みや刺激を感じるセンサーとして知られていましたが、アルムKによりそれらの活性を抑制することで、痛みや刺激を緩和する傾向があることが確認できました。
1. アルムKは痛みや刺激、炎症を抑制する効果がある
温泉成分などで知られるアルムKは、痛みや炎症を抑制する効果があると言われていましたが、そのメカニズムはわかっていませんでした。これまでのTRPチャネルの研究でアルムKが皮膚に存在するTRPM4を活性化し、表皮角化細胞の免疫を制御することを見出しています。そこで、今回、アルムKの皮膚感覚への影響を調べるため、感覚神経に発現するTRPチャネルへの影響を調査しました。
2. アルムKは痛みセンサーともいえるTRPV1、TRPA1の活性を抑制する
痛みや刺激の物質に反応する受容体であるTRPV1、TRPA1に関して、マンダムではこれまでさまざまな働きを報告してきました。今回、感覚神経に発現するTRPチャネルのうちTRPV1、TRPA1の活性がアルムKにより抑制されることを見出しました。また、その抑制効果はアルムKの濃度に依存すること(高濃度条件下で高くなること)(図1)が、またpHに依存的に変化すること(酸性条件下では高く、中性付近では低いこと)(図2)がわかりました。pHに依存的に変化することについては、酸性条件下でアルムKが溶解しやすいことが原因であると考えています。
3. アルムKは皮膚の痛みや刺激感を緩和する傾向がある
日本人男女11名(男性5名、女性6名)に対し、マイクロニードルのシート(※2)(アルムKの配合有り、無し)を左右の目元に30分間貼付し、貼付15分後から30分後の刺激感の強さを比較評価しました。
その結果、「アルムK配合有り」と「アルムK配合無し」のサンプルを比較して、どちらかといえば「アルムK配合無しの方が刺激感が強い」と答えた人の割合は64%、「アルムK配合有りの方が刺激感が強いと答えた人」、「差がないと答えた人」の割合はそれぞれ18%(図3)となりました。
これにより、アルムKがTRPV1、TRPA1の活性を抑制することで、痛みや刺激感を緩和することが示唆されました。
今回の成果を、医薬健栄研では皮膚の免疫機構やTRPチャネルと炎症の関係を解明し、効果性が高く痛みの少ないワクチン技術へ応用し、マンダムでは不快な感覚刺激のない快適な化粧品の開発に応用していきます。
また、これまでの研究で、アルムKにはTRPM4を活性化することで表皮角化細胞からの炎症シグナルを抑制する効果があることも見出しています。(2019年5月28日リリース)
なお、本研究成果については 2019年3月17日~19日に誌上開催された「第97回日本生理学会大会」において発表しました。
本研究を遂行するにあたり、自然科学研究機構・生命創成探究センター(旧 岡崎統合バイオサイエンスセンター)富永真琴教授に協力いただいております。
(※1)TRP=Transient Receptor Potential。
さまざまな感覚受容に関与する陽イオンチャネルファミリーで、化学物質や温度などを感知して電気信号に変換するセンサー
【マンダムのこれまでの取り組み】
1.TRP チャネルを感覚刺激センサーとして化粧品評価に応用 (2007年10月9日)
2.皮膚感覚とTRPチャネル活性の相関関係を解明 (2010年9月22日)
3.ヘアカラーの刺激メカニズムの解明とそれを低減できる炭酸イオンの発見 (2010年12月6日)
4.メントールの不快感を低減できるユーカリプトールの発見 (2012年3月8日)
5.冷たいと感じる温度が変化するメカニズムを解明(2012年10月18日)
6.清涼成分による不快刺激を低減できる天然由来成分ボルネオール発見(2013年12月16日)
7.低浸透圧液が鼻腔や眼の中に入ることで刺激になるメカニズムを解明(2015年7月9日)
8.メントールによる鎮痛のメカニズムを解明(2015年12月10日)
9. 「イソボルニルオキシエタノール」に清涼成分による不快刺激の低減効果を発見(2018年11月20日)
10.細胞の感覚センサーTRPM4が表皮角化細胞の免疫反応を制御していることを確認(2019年5月28日)
(※2)マイクロニードルのシート
美容成分そのものを微細な針(マイクロニードル)状に成型した美容シートで、目元や口元などの気になるところに貼って使用するもの
【参考資料】
図1.アルムKの濃度によるTRPV1、TRPA1活性抑制作用
[画像1: https://prtimes.jp/i/6496/636/resize/d6496-636-414256-0.jpg ]
図2.アルムKのpHによるTRPV1、TRPA1活性抑制効果
[画像2: https://prtimes.jp/i/6496/636/resize/d6496-636-511672-1.jpg ]
図3.アルムKの皮膚における刺激感評価
[画像3: https://prtimes.jp/i/6496/636/resize/d6496-636-860386-2.jpg ]
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