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深刻な物資不足に直面するガザ──冬の到来を前に、人道状況のさらなる悪化を懸念

PR TIMES / 2024年12月3日 18時45分



[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4782/707/4782-707-9c23bbe42f629624a7b875c0e501300d-760x506.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
栄養失調のためガザ地区のナセル病院に入院している女児=2024年10月31日 (C) MSF

パレスチナ・ガザ地区へ搬入される人道援助物資の量が、これまでの最低レベルまで落ち込んでいる。食料、水、テント資材、医療物資などの不足が極めて深刻で、国境なき医師団(MSF)は、これから冬を迎えるにあたり医療・人道状況がさらに悪化することを懸念、ガザ地区への援助物資搬入量の大幅拡大と、安全性の確保、全域で即時かつ持続的な停戦を改めて求める。
物資搬入の厳しい制限、トラックの略奪も
「重要な物資が不足し、一部の施設では患者を断らざるを得ない状況になっています」と、ガザ地区で緊急対応コーディネーターを務めるキャロライン・セガンは語る。

「イスラエル当局が援助物資の搬入を制限したり妨害したりしているため、MSFが提供できる医療は非常に限られています。また、援助物資を運ぶトラックが略奪されることもあり、イスラエル当局が許可したわずかな援助物資でさえも、必要とする人に届けることが難しくなっています。最終的に被害を受けるのは患者なのです」

国連によると、2024年10月は、昨年10月の戦闘激化以来ガザ地区への人道援助物資の搬入が最も少ない月だった。11月も改善の見込みは薄い。

昨年10月7日以前は1日あたりトラック500台相当の物資が入っていたのに対し、現在は1日あたり40台相当しか入っていない。
子どもの鎮痛剤も足りない
MSFが活動する医療施設も、物資不足の影響を受けている。

セガンはこう伝える。
「患者は深刻な感染症にますますかかりやすくなっています。ガザ南部・ハンユニスのナセル病院でMSFが支援している熱傷病棟では、ガーゼや包帯といった基本的な外傷ケアに必要な物資さえも底をつきつつあります。そのため、包帯交換の間隔を広げざるを得ず、患者の感染症のリスクが高まっているのです」

ガザ中部のデールバラハでは、MSFが開設した仮設病院で外来診療や小児入院治療を行っているが、現在、小児用の抗菌薬や鎮痛剤が不足している。これにより、呼吸器感染症などの治療が難しくなっているほか、小児患者の痛みを抑えることが適切に行えない状況になっている。

また、高血圧の治療薬も不足しており、多くの患者が治療を受けられず、脳卒中などの急性合併症の危険にさらされている。

さらに、ナセル病院でMSFは、診断と適切な抗菌薬投与に必要な臨床細菌検査室を設置できずにいる。低温輸送が必要な物資が、検問所で常にイスラエルの職員に開けられ、被害を受けているためだ。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4782/707/4782-707-73a00aa5dcec671b0dee5fe125ca1ccc-760x506.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
MSFがガザ中部のデールバラハに設置した仮設病院=2024年10月16日 (C) MSF

食料と水の供給が困難に
食料の不足が深刻なため、入院患者に十分な食事を与えられないという課題にも直面している。小麦粉や燃料の不足により、複数のパン屋が閉店し、営業を続けている店も苦しんでいる。 栄養失調が懸念されるため、MSFはガザ市の診療所や仮設病院で、子どもを対象とした栄養スクリーニング検査を開始した。

さらに、MSFは淡水化装置や発電機の輸入許可をイスラエル当局からまだ受けていないため、水や衛生に関する支援を増やすことが難しいという課題もある。

「ガザでは清潔な飲料水が不足しています。淡水化装置に代わる手段としては給水車による給水しかなく、MSFも行っていますが、これは非常にコストがかかります。イスラエルから燃料の割り当てが厳しく制限されており、燃料費が高いのです。 先週、私たちはこの問題のために給水車の活動を半分に減らさなければなりませんでした」とセガンは語る。
大量の援助物資を安全に搬入できるように
過去1年にわたってイスラエルが援助を徹底的に制限し、妨害したことが、ガザの状況の深刻な悪化をもたらしている。そして今もなお、必要不可欠な物資の供給が阻まれたままだ。
こうした制限は絶望と不安定な環境を生み出し、略奪や犯罪の増加につながり、援助活動をさらに妨げている。 11月の数週間で、MSFの物資を積んだトラックを含む数台の車両が襲撃され、積荷を奪われた。
一方で、搬入許可が下りたものの、搬入の安全性が確認できるまで検問所で差し止められている物資もある。

「命を守るために必要な物資が、イスラエル当局によって搬入が止められるたびに、あるいは略奪されるたびに、患者たちが苦しむことになるのです」とセガンは言う。

ガザの人びとは、小麦粉、せっけん、卵といった基本的な物資が何カ月も大幅に不足しているにもかかわらず、生き延びようとしてきた。寒い冬、大雨、洪水、そして飢えにより、医療ニーズが高まり、人びとが限界まで追い詰められてしまうことを、MSFは懸念している。

セガンはこう訴える。
「人道援助団体は何カ月も前から、援助物資の供給が極めて不足していることが、ガザの状況をさらに悪化させると警鐘を鳴らしてきました。状況は今、転換点を迎えています。ガザの人びとのニーズに応えるためには、大量の援助物資を安全に搬入できるようにすることが不可欠です。さもなければ、これから冬にかけて致命的な被害が懸念されます。

そして、これ以上の死や苦しみ、社会の崩壊を防ぐために、ガザ地区全域で即時かつ持続的な停戦が必要です」
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4782/707/4782-707-37e0fe607c9e183496256ae1924f9157-760x507.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
避難生活を送る人びとのテントが並ぶガザ南部・ハンユニス=2024年11月7日 (C) Ibrahim Nofal


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