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NEC、人工衛星の無線通信装置の消費電力を大幅に削減するAIを活用した波形歪補償技術を開発

PR TIMES / 2025年1月21日 12時45分

~ 回路設計の自動化により開発期間を大幅に短縮~



 NECは、人工衛星の無線通信装置の増幅器の消費電力を約30%削減できる、AIを活用した波形歪補償技術を開発しました。本技術は無線通信装置の低消費電力化・小型化・低コスト化に貢献し、近年注目されている小型衛星への搭載が容易になります。さらに、今回併せて開発した自動回路設計ツールを用いることで、通常数カ月かかる歪補償の回路設計 を約1時間で完了できます。これにより無線通信装置の開発期間を大幅に短縮できます。本技術は、人工衛星だけではなく、地上系ネットワークの無線通信機器へも展開可能な技術です。

 近年、通信インフラが十分に整備されていない地域での高速インターネット需要や、気候変動などの地球環境のモニタリングといった用途で、通信衛星や観測衛星の活用が拡大しています。それに伴い、衛星用の無線通信装置の需要も増加していますが、装置に求められる要件は厳しく、特に装置の小型化と消費電力の削減が求められています。

 衛星用の無線通信装置の送信部では、増幅器の消費電力が装置の消費電力の大部分を占めています。増幅器の電力効率が悪いと、装置の消費電力が増えるだけでなく、無駄になった電力を衛星外に放熱するための放熱機器が大型化するため、装置サイズが大きくなってしまう課題がありました。
今回NECは、AIを活用した増幅器の波形歪補償技術を開発しました。

【技術の特徴】
1. 無線通信装置の増幅器の消費電力削減
 AIを用いた歪補償回路の演算を効率化する独自の手法により、従来の衛星搭載の歪補償回路と比べて回路規模をコンパクトに実現しました。また、AIの活用により歪補償能力を向上させ、増幅器における歪特性と電力効率のトレードオフを改善しました。その結果、従来と比べて、消費電力を約30%削減しました。これにより、放熱部品の容積の削減ができ、衛星の小型化、低コスト化に貢献します。

[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/78149/805/78149-805-34cc83332b01007cf694fd1778d60934-567x369.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1. 衛星用増幅器の消費電力


2. 自動回路設計ツールによる開発期間の大幅短縮
 本技術の回路実装と、複数の回路の統合・最適化を自動化する自動設計ツールを開発しました。これにより、通常数カ月かかるニューラルネットワークの回路設計等を約1時間で完了することができ、開発期間の大幅短縮を実現しました。本ツールを活用することで、衛星用の無線通信装置のリアルタイム検証を短期で行うことができ、さらに、回路設計の自動化により、他の無線通信装置への展開が容易になります。

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/78149/805/78149-805-2e2e4720f260ca5fc3021faccff7307b-567x145.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2. AIを活用した波形歪補償技術の回路設計・実装フロー


 NECは、今回開発したAIを活用した波形歪補償技術を適用し、人工衛星に搭載する無線機器を小型化・省電力化することにより、非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)の発展に大きく貢献します。また、並行して地上系ネットワークへの展開も行っていきます。

以上

<本件のお問い合わせ先>
NEC  グローバルイノベーション戦略統括部
URL:https://jpn.nec.com/cgi-bin/cs/opinion_form4.cgi

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