ユニセフ『レポートカード14』日本語版発表、SDGsで見る日本の子どもの課題【プレスリリース】
PR TIMES / 2017年7月20日 18時4分
NYでは閣僚級会合に日本も参加
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【2017年7月20日 東京 発】
日本ユニセフ協会は、本日、ユニセフ(国連児童基金)イノチェンティ研究所が発表した『レポートカード14 未来を築く:先進国の子どもたちと持続可能な開発目標(SDGs)』の日本語版を発表しました(オリジナル版発表は本年6月15日)。これは、国連で2015年に採択されたSDGsのうち、子どもに関連が深いと考えられる目標に焦点をあて、先進国の子どもたちの状況を分析、順位付けした初めての報告書です。
日本語版の巻頭には、データの提供でご協力いただいた、阿部 彩 首都大学東京教授(子ども・若者貧困研究センター長)による、日本の子どもに関する解説も掲載しています。日本では、健康、教育の分野では比較的良い結果が見られたものの、貧困や格差の面では決して喜べる順位ではありませんでした。また、他の先進国に比べ、若者の自殺率の高さや環境問題に関する認識の低さといった問題も浮き彫りになりました。
阿部教授は、「順位に一喜一憂することはない」としつつも、日本語で「通信簿」を意味する本報告書=「レポートカード」において「日本の子どもが決してよい“成績”とはいえない指標が多数存在すること、特に底辺に属する子どもたちの状況が厳しいことがわかりました」と述べています。そして、環境問題の認識等に関しては、「日本の子どもたちが、国内や世界で自分とは異なる環境におかれている子どもたちへの関心と共感をもつこと」の重要性も指摘しています。
ニューヨークの国連本部では、19日まで、持続可能な開発のための国連ハイレベル政治フォーラム(閣僚級)が開かれ、SDGsの進捗状況を報告する「自発的レビュー」には、日本を含む44カ国が参加しました。本報告書は、「今日のすべての子どもの幸福度/生活の質の改善は、公平性と持続可能性を達成するために不可欠です。子どもに関する指標の前進は、その他の指標の前進も促進するはずなのです」と訴えます。国際比較の観点から日本の課題も示すこの報告書が、日本国内で子どもに焦点をあてたSDGs関連施策の取り組みがさらに進められるきっかけとなれば幸いです。
* * *
■レポートカード14で扱われている、SDGs目標と【日本の順位】
目標1: 貧困の撲滅【23位】
子どもの相対的貧困率(中央値の60%が基準)、社会移転による子どもの貧困率の削減幅、多次元の貧困状態にある子どもの割合
目標2: 飢餓の解消【1位】
食料の確保が不安定な世帯に属する子どもの割合(15歳未満)、肥満児の割合(11-15歳)
目標3: 健康【8位】
新生児死亡率、自殺率(15-19歳)、複数の精神上の問題症状があると答えた子どもの割合(11-15歳)、過去1カ月以内に酒に酔ったことがあると答えた子どもの割合(11-15歳)、10代の出産率(15-19歳)
目標4: 質の高い教育【10位】
読解力・数学・科学分野(PISAテスト)で基礎的習熟度に達する子どもの割合(15歳)、就学前教育・保育参加率(就学1年前)
目標5: ジェンダー平等【-】
15歳までに性的暴力を受けたと答えた女性(18-29歳)の割合、大学教育は女子よりも男子にとってより大切と答えたおとなの割合、日常的に家事を行う子どもの割合の男女差
目標8: 質の高い就労【1位】
ニート率(15-19歳)、世帯内に就業者がいない子どもの割合(18歳未満)
目標10: 格差の縮小【32位】
子どものいる世帯の所得分布の上位10%の総所得が下位40%の総所得に占める割合、相対的所得ギャップ(下から10%にあたる所得と中央値とのギャップ)、社会経済的背景によるPISAテストスコアの差
目標11: 持続可能な都市と 住環境【33位】
大気汚染(PM2.5年間平均濃度)
目標12: 責任ある消費と生産【36位】
7つのうち5つ以上の環境問題についてある程度またはよく知っていると答えた生徒(15歳)の割合
目標16: 平和で包摂的な社会【8位】
殺人による子どもの死亡率(19歳以下)、過去1カ月以内に2回以上いじめを受けたと答えた子どもの割合(11-15歳)、15歳までに身体的暴力を受けたと答えた女性(18-29歳)の割合
注: 比較の対象は最大で41カ国です(ただしデータの入手可能性により、指標ごとに比較対象国数は異なります)。詳しくは報告書をご覧ください。ジェンダー平等については、データが限られるため順位付けは行われていません。
■『レポートカード14 未来を築く:先進国の子どもたちと持続可能な開発目標(SDGs)
(原題Building the Future: Children and the Sustainable Development Goals in Rich Countries)』
ユニセフ・イノチェンティ研究所が、2000年以降ほぼ毎年1冊の割合で発行している、先進国の子どもに関する『レポートカード』シリーズの最新刊。「持続可能な開発目標(SDGs)」のうち、子どもに最も関連が深いと考えられる10の目標に焦点をあて、特に先進国の子どもの状況を分析するために選択された25の指標について、各国を順位付けしています。調査対象国は、欧州連合(EU)または経済協力開発機構(OECD)に加盟する41カ国。
* * *
■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)
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