幻の短編「天使」を含む、安部公房の初期作品をまとめた『(霊媒の話)題未定 安部公房初期短編集』が3月28日に発売。
PR TIMES / 2024年2月27日 9時45分
安部公房生誕100年記念
安部公房生誕100年に当たって3月に刊行する遺作『飛ぶ男』に続き、4月に『(霊媒の話より)題未定 安部公房初期短編集』を新潮文庫より刊行いたします。本作は処女作である「(霊媒の話より)題未定」や、2012年に発見された幻の短編「天使」を含む、初期作品11編をまとめた短編集になっています。
太平洋戦争末期、満州で過酷な日々を過ごしたその青年は、引き揚げ船の中で何を思い、何を未来に残したのか……。やがて世界に名を馳せることとなる作家。その思想の萌芽を鮮烈に伝える本作は3月28日(木)に発売です。
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■作家・安部公房の誕生
安部公房は1923(大正13)年に東京に生まれ、少年期を満州で過し、1948(昭和23)年に『終りし道の標べに』で文壇デビューを果たしました。本作はそのデビュー前後の19歳から25歳までの生前未発表作、全集未収録作を含む短編集になっています。この時代、多くの作家がデビュー前に同人誌などで作品を発表する中で、安部公房はデビュー前、同人誌に掲載経験のない珍しい作家でした。
■処女作「(霊媒の話より)題未定」
これまではデビュー作『終りし道の標べに』が処女作であると考えられてきました。しかし『安部公房全集』を作成するための遺品整理の際に、「(霊媒の話より)題未定」が発見され、その原稿に書いてあった1943年3月という日付により、本作が処女作であると判断されました。このタイトルは200字詰めの原稿用紙の4行目に「(霊媒の話より)」と副題があり、5~6行目に「題未定」と大きく書かれていたそうです。田舎町や村々を巡る曲馬団の少年パー公が、定住を切望する物語には、幽霊や偽家族などが登場し、後の作風をすでに見ることが出来ます。
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大井埋め立て地にて(撮影:新潮社)
■2012年に見つかった幻の短編「天使」
全集未収録の「天使」は、『安部公房全集』が完結した後の2012年、実弟の井村春光氏宅で発見されました。1946年11月、満州から引揚げてきた直後の書簡に「船の中から「天使の国」と言ふ短編を書き始めてゐる」とあり、そこに要約されているストーリーが本作とほとんど一致することから、本作はコレラ患者の影響で1か月の船中生活を余儀なくされた、引揚げ船の中で寄稿された作品だと推定されています。
■芥川賞受賞作『壁』に繋がる「キンドル氏とねこ」
「キンドル氏とねこ」は1949年3月の執筆だとされています。これまでの作品とは異なった文体と“カルマさん”という人物への言及もあることから、芥川賞受賞作「壁―S・カルマ氏の犯罪」の模索が始まっていたことが推測されます。「壁」はこの断章の半年後に着手し、一年後に完成しました。
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『壁』(新潮文庫)
「(霊媒の話より)題未定」や「天使」、「キンドル氏とねこ」を含む、生前未発表のまま残されていた10編と、敗戦で混乱する奉天を舞台とした「鴉沼」を採録した本作は、やがて世界に名を馳せ、日本を代表する作家のひとりとなる、安部公房の幕開けともいえる初期短編集になっています。
■目次
(霊媒の話より)題未定
老村長の死(オカチ村物語㈠)
天使
第一の手紙~第四の手紙
白い蛾
悪魔ドゥベモオ
憎悪
タブー
虚妄
鴉沼
キンドル氏とねこ
解題 加藤弘一
解説 ヤマザキマリ
■著者略歴
安部公房(1924-1993)
東京生れ。東京大学医学部卒。1951(昭和26)年「壁」で芥川賞を受賞。1962年に発表した『砂の女』は読売文学賞を受賞したほか、フランスでは最優秀外国文学賞を受賞。その他、戯曲「友達」で谷崎潤一郎賞、『緑色のストッキング』で読売文学賞を受賞するなど、受賞多数。1973年より演劇集団「安部公房スタジオ」を結成、独自の演劇活動でも知られる。海外での評価も極めて高く、1992(平成4)年にはアメリカ芸術科学アカデミー名誉会員に。1993年急性心不全で急逝。2012年、読売新聞の取材により、ノーベル文学賞受賞寸前だったことが明らかにされた。
■書誌情報
【書名】(霊媒の話)題未定 安部公房初期短編集(新潮文庫刊)
【著者】安部公房
【発売日】2024年3月28日(木)
【定価】825円(税込)
【ISBN】978-4-10-112126-0
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/112126/
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