最強の男ドネアと戦った西岡の勇姿再び・・・「西岡利晃 vs ノニト・ドネア」10月15日(月)夜9:00~[WOWOWプライム]にてリピート放送!
PR TIMES / 2012年10月15日 15時36分
13日(日本時間14日)、米国カリフォルニア州カーソンのホームデポ・センターで行われたS・バンタム級頂上決戦、WBC名誉王者の西岡利晃(帝拳)対WBO王者ノニト・ドネア(フィリピン)の12回戦は、9回1分54秒、ドネアのTKO勝ちという結果に終わった。36歳という年齢での敗北から考えて引退が決定的となった西岡だが、その功績が色褪せることはない。
リングに上がった西岡には集中力や緊張感だけでなく、ある種の高揚感も見てとれた。
西岡の表現を借りるならば「ワクワク」ということになるのだろうか。最高の相手と最高のリングで対峙することを素直に喜んでいる様子が感じられた。
しかし、試合はドネアの完勝といえる内容だった。左フックを警戒して右ガードを上げる西岡をドネアは手数で圧倒、毎回のようにポイントを重ねた。前半は深追いをせずにカウンターを警戒させておいて距離を保ち、6回には鋭角的な左アッパーでダウンを奪うなど、随所にドネアの巧さ、強さが光った。劣勢の西岡が攻勢に出てきた9回には、ドネアはロープを背負いながら相手を誘い込み、絶妙のタイミングで右ストレートをヒット。事実上、この一撃で試合を終わらせた。
敗れた西岡の右目周辺は赤く腫れていたが、表情そのものは晴れ晴れとしていた。
「中盤から後半に勝負をかけるつもりだった。(ドネアの)パンチはそれほどでもなかったけれど、ダウンにはびっくりした」というリング上でのコメントも、さばさばしたものだった。この試合のみならず、やるべきことをやり切ったという充足感があったのかもしれない。それは、今回のドネア戦に限定したものではなく、18年におよぶボクサー生活そのものに対する思いといえるのかもしれない。
西岡の残した功績は世界規模で評価されるべきものだが、とりわけ日本ボクシング界に残した足跡は大きなものといえる。
アキレス腱断裂など数々の挫折を乗り越えて32歳で戴冠。昨年は元2階級制覇王者を相手に日本人世界王者として初の聖地ラスベガスでの防衛にも成功した。3年前には敵地メキシコで世界的な強豪ジョニー・ゴンサレスにも3回TKO勝ちを収めている。4連続KOを含み36歳までの4年間に7度の防衛も見事だ。一時代を築いた名王者といっていいだろう。これはボクシングという格闘競技に真摯に向き合ってきた結果といえる。後輩たちへの良き教科書となったはずだ。
白井義男氏が日本人として初めて世界王座を獲得してから60年が経過。日本のジムが生んだ世界王者は70人を超えたが、いまだに世界戦の多くは国内で行われることが多く、海外の選手や関係者からは「井の中の蛙」と揶揄されているのが現状だ。「鎖国」と切り捨てる海外の識者もいるほどだ。
そんななか西岡は今回のドネア戦を含め海外で3度の世界戦に臨んだ。堅く厚い扉をこじ開け、日本人ボクサー全体のイメージと評価をアップさせた。西岡本人のみならず陣営の勇気と決断は最大限の評価に値しよう。
西岡は「これからは日本のボクサーも積極的に海外に出て活躍する時代」と言い続け、それを自身で体現してきた。この日、ドネアに敗れはしたが、その背中は後輩たちに「誰か次の扉を開けてくれよ」と発破をかけているようにも見えた。
最強の男ドネアと戦った西岡の勇姿は、10月15日(月)夜9:00~WOWOWプライムでリピート放送される。
Written by ボクシングライター原功
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