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アジア・太平洋地域:食生活と栄養に深刻な格差【プレスリリース】

PR TIMES / 2021年1月20日 19時15分

国連4機関による報告書



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【2021年1月20日 バンコク(タイ) 発】

ユニセフ(国連児童基金)、FAO(国連食糧農業機関)、国連WFP(国連世界食糧計画)、世界保健機関(WHO)が本日共同で発表した最新の報告書によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界で最も人口の多いアジア・太平洋地域に経済的な打撃を与え、約20億人の人々の食生活と栄養改善のための取り組みを脅かしています。

報告書「アジア・太平洋地域の食料安全保障と栄養の概要2020:栄養改善の中心にある母子の食生活」(原題:Asia and the Pacific Regional Overview of Food Security and Nutrition 2020: Maternal and Child Diets at the Heart of Improving Nutrition)によると、19億人の人々は、経済と個人の生活に深刻な影響を及ぼしているCOVID-19の流行以前から健康的な食生活を送れなくなっていたと指摘します。

果物や野菜、乳製品の価格高騰により、アジア・太平洋地域の貧困層が健康的な食生活を送ることはほぼ不可能になっています。すべての人、特に母親と子どもたちのための食料安全保障と栄養を確保するためには、それらの食料が手に入る価格であることが非常に重要です。

食料価格と世帯収入を基準に、それぞれの家族はどのような食事をとるかを決めます。しかし、食料システムと市場の著しい不確実性に加え、COVID-19の流行と各地での働き口の不足は不平等の拡大につながり、所得が減少している貧困家庭は、より安く栄養価の低い食品を選択するようになっています。

■ 栄養価の高い食品を手頃な価格で手に入れやすくする

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アジア・太平洋地域では、2019年に3億5,000万人以上の人々が栄養不良に陥っており、これは世界全体の約半数を占めています。地域全体では、推定7,450万人の5歳未満の子どもが発育阻害(年齢に対し低身長)、3,150万人が消耗症(身長に対し低体重)です。これらの子どもたちの大部分は南アジアに暮らし、約5,600万人が発育阻害、2,500万人以上が消耗症になっています。同時に、特に東南アジアと太平洋地域では、推定1,450万人の5歳未満の子どもが過体重や肥満になっており、その人数は急速に増加しています。

貧しい食生活と不十分な栄養摂取は現在進行形の問題です。健康的な食事は、十分なカロリーを摂取できるが栄養価に欠ける食事よりもはるかに費用がかかり、すべての人に栄養価の高い食事の選択肢を手頃な価格で提供するためのフードシステムに深刻な格差があることを表しています。これらの影響は、女性と子どものさらなる栄養ニーズを考慮すると、さらに大きくなります。

本報告書は、栄養価が高く、安全で持続可能な食事をより多くの家族がより手ごろな価格で手に入れられるよう、アジア・太平洋地域の食料システムの変革を求めています。栄養価が高く健康的な食生活は、どこにいても誰もが享受できるものでなければなりません。それを確実に実現するためには、統合的なアプローチと政策が必要であると報告書は提言しています。これらのステップは、手の届かない食料という問題を克服するために、また、健康的な母子の食生活を確保するために不可欠です。

■ 母子の食事を改善するにはシステム強化が必要

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栄養は、人の一生を通じて極めて重要です。貧しい食生活の及ぼす影響は、妊娠中から2歳の誕生日を迎えるまでの3年間、つまり最初の1000日で最も深刻です。特に生後6カ月で離乳食を食べ始める頃には、より良く成長するために必要な栄養が多く、一回一回の食事が大切です。

栄養に焦点を当てた行動変容の促進を中心に据えることで、人々は知識を得て健康的な食事を実現する行動を続けることができるはずです。

健康的な食生活を構成するものは何か、また、家庭、学校、コミュニティでどのように衛生的な環境を整えたらよいのかといった教育は、女子教育や良い水と衛生習慣の基盤となるインフラへの投資とともに、非常に重要です。そのため、すべての人に栄養価が高く、安全で、手頃な価格で、持続可能な食事を提供するためには、食料、水と衛生、保健、社会保護、教育システムのパートナーと連携して環境を整えなければなりません。

また、社会保護の取り組みによって、災害や危機の間、所得を保護して安定させ、健康的な食べ物へのアクセスを向上させることができます。アジア・太平洋地域の少なくとも9カ国の政府は、社会保護制度の中に、対象を絞ったCOVID-19母子支援を設けています。しかし、この地域での母子の食生活改善における社会保護の有効性を文書化するためには、さらなるデータ収集と分析が必要です。

■ 連携して取り組む

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アジア・太平洋地域では、加工度が高く安価な食品が容易に手に入るようになり、栄養不良の現状が変化しつつあるため、これらの対策がこれまで以上に必要とされています。このような食品は、砂糖や不健康な脂肪が多く含まれており、成長と発達に必要なビタミンやミネラルが不足しています。これらの食品の消費は、肥満、糖尿病や心血管疾患のリスクを高めます。

各国政府は、健康的な食生活を促進するために、生鮮食品やストリートフード市場の栄養と食品の安全性に投資する必要があります。消費者、特に子どものための食品の販売やマーケティングの規制によって、過体重、肥満や関連する疾患や病気を抑制することが重要です。

報告書はまた、健康的な食生活を実現するためのフードシステムの変革を支援する上で果たすべき重要な役割があるとして、企業にも行動を求めています。

健康的な食生活へのアクセスと消費における課題に対処する機会を拡大するために連携し、これらのシステムを活用することは、各国やアジア・太平洋地域の人々がCOVID-19の経済的影響からより早く回復し、将来の危機に備えるのに役立つでしょう。

* * *

■ 新型コロナウイルスに関するユニセフの情報はこちらからご覧いただけます。
特設サイト: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/
COVAX情報ページ: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/covax/

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)

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