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ユニセフなど新報告書:世界の11人に1人が飢餓に直面【プレスリリース】

PR TIMES / 2024年7月30日 15時43分

アフリカでは5人に1人



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リバーナイル州の保健施設で受けた、上腕計測メジャーを使った栄養検査で、「赤」=重度の栄養不良と診断された1歳の子ども。(スーダン、2024年6月撮影) (C) UNICEF/UNI607338/Ahmed

【2024年7月24日 リオデジャネイロ(ブラジル)発】
ユニセフ(国連児童基金)など国連の5つの専門機関が本日発表した最新の「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」報告書によると、2023年には約7億3,300万人の人が飢餓に直面しており、これは世界では11人に1人、アフリカでは5人に1人に相当します。

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[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2380/5176-2380-f042b3a6789081f0af6e33c076c7d05f-703x1001.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
新報告書「The State of Food Security and Nutrition in the World 2024」
ブラジルで開催されたG20飢餓と貧困に対抗するグローバル・アライアンス・タスクフォース閣僚会合に合わせて発表された本年の年次報告書は、2030年までにSDGs(持続可能な開発目標)の目標2「飢餓をゼロに」を達成するには、世界は大きく後れをとっていると警鐘を鳴らしています。報告書によると、世界の栄養不足の現状は2008年~2009年当時の水準に相当しており、15年後退しています。


発育阻害(スタンティング)や完全母乳育児など特定の分野では一定の進展が見られるものの、世界の飢餓水準は3年連続で高止まりしており、2023年には7億1,300万人から7億5,700万人という驚くべき数の人々が栄養不良の状態にあり、これを中間値(7億3,300万人)で比較すると2019年より約1億5,200万人多いことになります。



飢餓の傾向は地域によってかなり異なっています。飢餓に直面している人口の割合は、アフリカ(20.4%)では上昇が続いています。アジア(8.1%)は横ばいであるものの、世界で飢餓に直面している人々の半数以上がアジア地域に住んでいるため、依然として大きな課題です。一方で、ラテンアメリカ(6.2%)では進展が見られました。2022年から2023年にかけて、西アジア、カリブ海諸国、アフリカのほとんどの地域で飢餓が増加しました。


ユニセフをはじめとする5国連機関は、現在の傾向が続けば、2030年には約5億8,200万人(そのうち半数はアフリカに暮らす人々)が慢性的な栄養不足に陥る、と警鐘を鳴らしています。この予測は、SDGsが採択された2015年の水準に酷似しており、進捗の停滞が懸念されます。


飢餓以外の重要な結果
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2380/5176-2380-979c85b38d5bae2475129a35cd634270-1536x1024.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
ムランジェ県で、母親の母乳を飲む1歳のカティリーナちゃん。(マラウイ、2024年5月撮影) (C) UNICEF/UNI584468/Mmina/Elephant Media
本報告書は、何十億もの人々が十分な食料を手に入れられないままであることを指摘しています。2023年には、世界で約23億3,000万人が中程度または重度の食料不安に直面しており、この数字は新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まった2020年に急増して以降、大きく変わっていません。このうち、8億6,400万人以上が、丸1日以上食べる物がないような、深刻な食料不安を経験しました。この数字は2020年以降も依然として高く、ラテンアメリカでは改善が見られるものの、特に人口の58%が中程度または重度の食料不安を抱えるアフリカでは、より広範な課題が存続しています。



健康的な食事への経済的なアクセスも依然として重大な問題であり、世界人口の3分の1以上が影響を受けています。新しい食品価格データと方法論の改善により、2022年には28億人以上の人々が健康的な食事をとる経済的余裕がないことが明らかになりました。この格差は低所得国で最も顕著で、高所得国の6.3%に対し、71.5%の人々が健康的な食事をとる余裕がありません。注目すべきは、この数字がアジアと北米、欧州ではパンデミック前の水準を下回ったのに対し、アフリカでは大幅に増加したことです。


乳児の完全母乳育児率は48%まで向上していますが、世界的な栄養目標の達成は困難です。低出生体重児の有病率は15%前後で推移しており、5歳未満児の発育阻害は22.3%に減少しているものの、目標にはまだ到達していません。さらに、子どもたちの消耗症の有病率は顕著な改善が見られない一方、15~49歳の女性の貧血は増加しています。


同様に、成人の肥満の新たな推計値は、過去10年間で確実に増加しており、2012年の12.1%から2022年の15.8%に増加しています。予測によると、2030年までに、世界の成人の肥満は12億人を超えると予測されています。栄養不良の二重負荷(栄養不足と過体重・肥満の共存)も、世界的にすべての年齢層で急増しています。痩せと低体重は過去20年間で減少しましたが、肥満は急激に増加しています。


こうした傾向は、あらゆる形態の栄養不良が抱える複雑な課題を浮き彫りにしており、2030年までに世界が掲げる7つの国際栄養目標を達成するめどが立たない中、的を絞った取り組みが急務であることを、5つの機関は指摘しています。


食料不安と栄養不良は、多くの国々で多数の人々の経済的利益を損ない続けている食料価格の持続的な高騰を含む、複合的な要因によって悪化しています。飢餓の大きな要因である紛争、気候変動、景気後退は、以前よりも頻発し深刻さも増しています。こうした問題は、健康的な食品が手頃な価格で手に入らない状況、不健康な食環境、根強い不平等といった根本的な要因とともに、今や同時多発しており、個々の影響を増幅させています。
飢餓撲滅のための資金調達

[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2380/5176-2380-d64e636b87c08a26aaf8bdc567d49baf-1536x1024.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
ゴール州病院のユニセフが支援する栄養治療食ユニットで、重度の急性栄養不良のための治療用ミルクを飲ませてもらう、生後45日のムスタファちゃん。(アフガニスタン、2024年5月撮影) (C) UNICEF/UNI601461/Naftalin
今年の報告書のテーマである「飢餓、食料不安、あらゆる形態の栄養不良をなくすための資金調達」は、SDGs目標2の「飢餓をゼロに」を達成するためには、農業食料システムの変革と強化、不平等への取り組み、すべての人が手頃な価格で利用できる健康的な食事の確保など、多面的なアプローチが必要であることを強調しています。また、食料安全保障と栄養のための資金調達の定義を明確化かつ標準化し、より多くの、そしてより費用対効果の高い資金調達を求めています。



ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルをはじめ、報告書を作成した国連5機関の長は、報告書のまえがきで次のように述べています。「食料安全保障と栄養のための資金がどれだけ不足しているかを見積もり、その差を埋めるための革新的な資金調達手法を取ることは、私たちの最優先事項の一つでなければなりません。SDGs目標2.1にある、飢餓をなくし、すべての人々が安全で栄養価が高く十分な量の食料を入手できるようにするための政策、法律、介入および、SDGs目標2.2の、あらゆる形態の栄養不良をなくすための政策は、多大なリソースの動員を必要とします。これらは未来への投資であるだけでなく、私たちの義務でもあります。私たちは、現在および将来の世代が十分な食料と栄養を得る権利を保障するために尽力します」


ニューヨークの国連本部で先ごろ開催されたハイレベル政治フォーラムでの中で強調されたように、報告書は、資金不足が迫り来る中、特に気候変動の影響によって悪化した高レベルの飢餓と栄養不良に直面している国々にとって、革新的で公平な解決策が求められていることを明確に示しています。


資金調達の拡充が最も必要な国々は、アクセスの面で大きな課題に直面しています。分析対象となった低・中所得国119カ国の約63%は資金調達へのアクセスが限られているか、あってもわずかな程度です。さらに、これらの国の大部分(74%)は、食料不安や栄養不良を引き起こす大きな要因の1つもしくは複数の影響を受けています。この格差を埋め、世界の食料安全保障と栄養の枠組みを強化するためには、データを調和させ、リスク許容度を高め、透明性を向上するための協調的な取り組みが不可欠です。


ラッセル事務局長は次のように述べています。「栄養不良は、子どもの生存、身体の成長、脳の発達に影響を及ぼします。世界の子どもの発育阻害の割合は、この20年間で3分の1(5,500万人相当)減少しており、母子栄養への投資が実を結んでいることを示しています。しかし、世界の5 歳未満児の 4 人に 1 人は栄養不良に苦しんでおり、栄養不良は子どもたちに長期的な悪影響を及ぼす可能性があります。私たちは、子どもの栄養不良をなくすために、早急に資金調達を強化しなければなりません。世界はそれを実行することができますし、また実行しなければなりません。それは道義的な必然であるだけでなく、未来への健全な投資でもあるのです。

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■ 報告書について
「世界の食料安全保障と栄養の現状(原題:The Latest State of Food Security and Nutrition in the World 〈SOFI〉)」は、国連児童基金(ユニセフ)、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)が共同で作成する年次報告書です。


1999年以来、報告書は、飢餓の撲滅、食料安全保障の確保、栄養の改善に向けた世界の進捗状況を監視・分析しています。また、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の文脈において、これらの目標を達成するための重要な課題についても詳細に分析しています。本報告書は、政策立案者、国際機関、学術機関、一般市民など、幅広い人々を対象としています。


本年9月に開催される「国連未来サミット」、および2025年に開催される第4回開発資金国際会議に向けて、今回の報告書はそれらと関連性の高い課題をテーマにしています。


■ 補足
・食事の質、または健康的な食事(Diet quality or healthy diets)
次の4つの重要な側面から構成される:多様性があること(食品群内および食品群間において)、食料の量や質が適切であること(すべての必須栄養素の必要量が満たされている状態)、ほどほどの摂取にすること(健康状態の悪化につながる食品および栄養素において)、バランスがとれていること(エネルギーと主要栄養素の摂取量において)。
また、摂取される食品が安全であること。


・食環境(Food environment)
消費者が食料の入手、調理、消費に関する意思決定を行うために農業食料システムに関与する際の物理的、経済的、政治的、社会文化的背景。


・飢餓(Hunger)
食事から摂取するエネルギーの不足によって引き起こされる、不快なまたは苦しい感覚がある状態。本報告書では、飢餓は慢性的な栄養不足と同義で用いられており、栄養不足のまん延率(PoU)によって測定される。


・栄養不良(Malnutrition)
主要栄養素および/または微量栄養素の摂取不足、偏った摂取、または過剰摂取によって引き起こされる異常な生理的状態を指す。栄養不良には、栄養不足(子どもの発育阻害や消耗症、ビタミン・ミネラルの欠乏)のほか、過体重や肥満も含まれる。


・中程度の食料不安(Moderate food insecurity)
人々が食料の入手について不確実な状況に直面し、お金やその他のリソースが足りないために、年に何回か、消費する食料の質および/または量を減らさざるを得ないようなレベルの食料不安の深刻さを表す。これは、食料を安定的に入手することができない状況を指し、食事の質を低下させ、通常の食事の摂取パターンを阻害する。「食料不安の経験尺度」を用いて測定され、SDGsのターゲット2.1(指標2.1.2)に向けた進捗状況の把握に寄与する。


・重度の食料不安(Severe food insecurity)
1 年のある時点で、食料が不足し、人々は飢餓を経験し、最も極端な場合は 1 日以上食べ物を口にせずに過ごすような食料不安の深刻さのレベルを指す。食料不安経験尺度で測定され、SDGsのターゲット2.1(指標2.1.2)に向けた進捗状況の把握に寄与する。


・栄養不足(Undernourishment)
個人の習慣的な食料消費量が、通常の活動的で健康的な生活を維持するために必要な食事エネルギー量を賄うには不十分な状態。低栄養のまん延率は、飢餓状況とSDGsのターゲット2.1(指標2.1.1)に向けた進捗状況を測定するために用いられる。


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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます


■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)

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