「出生登録」に関するユニセフ新報告書~未だ1.5億人の子どもが法的に存在せず【プレスリリース】
PR TIMES / 2024年12月11日 10時45分
サハラ以南アフリカなど地域格差も
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2447/5176-2447-77c8d553fd6f0a03a7fef3d11f80d9ca-1536x1024.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
ユニセフの支援により、ザンベジア州で出生登録を推進する取り組みが行われ、出生登録証を受け取った女の子(モザンビーク、2024年5月6日撮影)(C) UNICEF/UNI577144/Fauvrelle
【2024年12月11日 ニューヨーク発】
本日発表のユニセフ(国連児童基金)の最新報告書によると、 過去5年間に出生登録された5歳未満の子どもは5億人を超えました。割合にすると10人中8人近くが出生登録されており、このことは、身元を法的に証明するための取り組みが世界中で大きく進展していることを示しています。
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78回目にあたるユニセフ創設記念日の本日12月11日に発表された「人生の正しいスタート:出生登録の世界的現状と傾向、2024年版(原題:The Right Start in Life: Global levels and trends in birth registration, 2024 update)」は、世界的な出生登録率が75パーセントだった2019年の数値を更新した最新の報告書です。現在では出生登録されている子どもの割合は77パーセントに増加しているものの、5歳未満児のうち1億5,000万人、つまり10人に2人が未登録で、政府にとっては見えない存在となっています。
また、出生が登録されている子どものうち5,000万人以上が、その証明書を持っていないことも、この報告書で明らかになりました。この重要な書類は出生の証明であり、国籍取得、無国籍状態の回避、そして子どもが誕生時から自らの権利を享受できるようにするために不可欠です。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2447/5176-2447-1bd25b6e7e4444f942a5a9936fd6c069-1536x1024.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
東部州にあるビンディア村で、子どもの出生登録証を、地域で活動するコミュニティーワーカーから受け取る母親(カメルーン、2023年6月13日撮影)(C) UNICEF/UNI405838/Dejongh
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、次のように述べています。「出生登録により、子どもたちは法律の下で直ちに存在を認められ、危害や搾取から保護される基盤がつくられるとともに、予防接種、保健医療、教育といった基本的なサービスの利用も可能になります。子どもの権利の実現に向けて78年間取り組んでいるユニセフとして、多くの子どもたちが法的な身元証明を手にできるようになった進展を祝うとともに、世界中のすべての子どもが出生時に登録されることを確実にするためのさらなる取り組みを呼び掛けます」
出生登録に関する世界的な進捗は、主に、迅速な登録を優先し、保健・社会的保護・教育システムを活用し、登録サービスの提供場所を増やし、手続きをデジタル化し、費用を削減した国々によってもたらされました。
出生登録の割合は、中南米およびカリブ海地域では95%、東・東南アジアでは94%、中央・南アジアでは78%に達しました。しかし、サハラ以南のアフリカでは51%と大幅に後れを取っており、未登録の子どもの数は9,000万人と、世界の未登録の子どもの半数以上がこの地域の子どもたちです。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2447/5176-2447-b4bf6df83614f513a15d675da5e7d840-1536x1024.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
出生登録証を受け取ったシャネルちゃん。出産時に母親を亡くし、祖母たちに育てられている(グアテマラ、2019年10月17日撮影)(C) UNICEF/UNI235520/Willocq
サハラ以南のアフリカの中でも、出生登録の水準や取り組みの進捗状況は地域によって大きく異なります。例えば、南部アフリカでは88%と最も高く、また西部アフリカではこの15年間で最も大きな進歩が見られ、63%に達しています。一方、東部アフリカと中部アフリカは共に41%で、他より後れを取っています。しかし、改善の進み具合が遅いサハラ以南では子どもの人口が急増し、今後数十年のうちに世界の子どもの大半が暮らす地域になると予測されており、このままでは2030年以降には未登録の子どもが1億人を超える可能性があります。
政治的な取り組みが不十分である、登録施設が遠方にある、登録に何度も足を運ばなければならない、登録の仕方がよくわからない、登録料が払えない、関連費用が高すぎる、そして一部の地域ではジェンダー、民族、宗教に基づく差別があるなど、世界中の多くの家庭が依然として、出生登録に対するさまざまな障壁に直面しています。
こうした課題にもかかわらず、大きな進展を見せた国々もあります。サハラ以南のアフリカでは、ボツワナが出生登録の完全実施を達成し、コートジボワールでは90%以上に達しています。ルワンダ、シエラレオネ、タンザニアなどでも、過去10年間で着実な改善が見られています。こうした成功事例は、他の国々の貴重な模範となります。
すべての子どもが確実にその存在を認められ、保護されるために、ユニセフは以下の5つの主要な行動を呼び掛けています。
- ライフサイクル・アプローチ(子どもの健やかな発達のため、乳幼児期~青年期までの人生における各ステージで直面する特有の課題に応じて支援介入する、ライフステージを軸にした支援方法)の基盤となる法的な身元証明を得られるよう、出生時にすべての子どもを登録する。
- サービスの提供を拡充するため、登録手続きを効率化し、デジタル変革を推進する。
- 出生登録を促進するために、保健、社会的保護、教育プログラムを活用する。
- インクルーシブ(包摂的)で公平な市民登録および人口動態統計システムのための主要な法制改革を実施する。
- 市民登録サービスは誰もが持つ権利であることを、コミュニティの人々に啓発する。
「進展は見られるものの、依然としてあまりにも多くの子どもたちの存在が把握されず、考慮もされていません。政府や法律の目には事実上、見えない存在なのです。すべての子どもは、出生登録され、出生証明書を発行される権利があります。そうすることで、子どもたちは存在を認められ、保護され、支援されるのです」(ラッセル事務局長)
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■ 報告書「人生の正しいスタート:出生登録の世界的現状と傾向、2024年版(原題:The Right Start in Life: Global levels and trends in birth registration, 2024 update)」(英語原文)は、こちらからご覧いただけます。
https://data.unicef.org/topic/child-protection/birth-registration/
■ 「子どもの権利条約」の第7条は、子どもは、出生登録により、出生後「ただちに」身元が確認される権利を有していることを確認しています。子どもの権利条約についてはこちらをご覧ください。
https://www.unicef.or.jp/crc/
■ 報告書の推定値は、2014年から2023年の間に収集された、世界の5歳未満児人口の98%を占める173カ国の一部の国々の比較可能なデータに基づいています。これらの国々の約80%について、利用可能な最新データは過去5年間のものです。データソースには、複数指標クラスター調査(MICS)や人口保健調査(DHS)などの全国レベルの代表性を持つ世帯調査、市民登録システムからの人口動態統計、国勢調査、および比較可能な手法を用いたその他の全国レベルの代表性を有す調査が含まれます。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(https://www.unicef.or.jp )
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