トークで笑わせ、歌で泣かせて。唯一無二の個性と歌に対する真摯な姿勢を見せつけた、研ナオコ、デビュー45周年記念コンサートをWOWOWで放送。
PR TIMES / 2015年8月3日 13時57分
研ナオコ LOVE・LIFE・LIVE ~雨のち晴れ、ときどき涙~ 8月16日(日)夜9:30[WOWOWライブ]
[画像: http://prtimes.jp/i/1355/2812/resize/d1355-2812-173859-0.jpg ]
独り言のように歌うひとだ。決して朗々とは歌わない。高らかに希望を歌ったりもしない。それよりも後悔や諦念を歌で表現する。すれ違う様や、生きづらさや、行き場のない気持ちや、ささやかな願いを、あの独り言のような独特の歌唱で表現する。世の中には明るくて元気な歌が溢れている。が、落ち込んでいたり、何かを悔いていたり……そういうときに聴きたいのは、元気で明るい歌ではなく、むしろそんな自分の気持ちに静かに寄り添うような歌だ。あるいはちょっと投げやりなくらいの歌のほうが、そういうときにはフィットする。だから、研ナオコの歌があってよかった、研ナオコがいてくれてよかったと感じているひとはたくさんいるだろうし、この日会場に集まった大勢のひとたちもきっとそうに違いない。
6月7日(日)、中野サンプラザホール。デビュー45周年を記念するツアーの東京公演。それは述べたような研ナオコという歌手の圧倒的な個性と表現力がどの場面からも感じとれるものだった。しかも絶好のタイミングで行なわれた。というのも、彼女は5月に7年ぶりとなるアルバム『雨のち晴れ、ときどき涙』を発表したのだが、これが現在、品切れ店続出の大ヒットになっているのだ。
1部ではまず、出生から1971年の歌手デビュー、そして「愚図」「あばよ」「かもめはかもめ」とヒット曲を続けて放っていた70年代後半までを、スクリーンに映された過去の写真とナレーションと当時の歌で振り返った。歌がいまより人々の暮らしと密接に結びついていた昭和の時代が、その頃の写真と「アカシアの雨がやむとき」「夢芝居」「別れの朝」など新作にも収録された懐かしい曲によってそこに立ち現われる。自身のヒット曲も続けて歌われたが、わけても「あばよ」はヴァイオリンのもの哀しい音色と相まって心の深くに沁み入った。
そんな1部は、研は黙って歌うことに集中していたが、2部ではバラエティ番組などでお馴染みのオモシロトークで観客を笑わせながらショーを進めた。また、歌手として活動する娘のひとみと親子トークを繰り広げたり、ふたりで中島みゆき楽曲をメドレーで歌ったり。なかでも出色の深みを感じさせたのが、玉置浩二が書き下ろした新曲の「ホームレス」だ。弱い者が切々と思いを伝える、その歌表現に魂がこもっていて、目頭が熱くなった。トークで笑わせ、歌で泣かせる。45年を通過点と捉え、まだこの先へと向かおうとする研ナオコの、歌に対する真摯な姿勢と矜持が伝わるコンサートだった。
(文●内本順一)
■■■WOWOW番組情報■■■
「研ナオコ LOVE・LIFE・LIVE ~雨のち晴れ、ときどき涙~」
放送日:2015年8月16日(日)夜9:30 [WOWOWライブ]
収録場所:東京 中野サンプラザ
収録日:2015年6月7日
WOWOW特設サイト http://www.wowow.co.jp/music/naoko/
研ナオコ オフィシャル http://www.kens-family.co.jp/naoko/
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