純水素型燃料電池の熱を吸収式冷凍機(空調機)で活用する実証を開始
PR TIMES / 2024年7月29日 15時15分
[画像: https://prtimes.jp/i/3442/5823/resize/d3442-5823-44237df5f700e3444bc7-0.jpg ]
パナソニック株式会社(以下、パナソニック)は、燃料電池工場の生産に必要な電力を再生可能エネルギーで賄う実証施設「H2 KIBOU FIELD」(滋賀県草津市)において、純水素型燃料電池の発電時に発生する熱を吸収式冷凍機(空調機)の熱源として活用する実証実験を開始しました。
これまで、純水素型燃料電池から回収できる熱(最高60℃)と吸収式冷凍機に必要な熱源(最低80℃)には20℃の乖離があり、純水素型燃料電池が発電時に発生する熱を吸収式冷凍機の熱源として活用することが困難でありました。今回、純水素型燃料電池と吸収式冷凍機双方で温度差を10℃ずつ歩み寄る改良を施し、70℃の熱で燃料電池と空調機を繋ぐ新たな連携を可能にしました。H2 KIBOU FIELD内で、出湯温度の改良を施した純水素型燃料電池10台を用い、新開発の低温廃熱利用型吸収式冷凍機1台を新設し、新たな熱利用の実証実験として施設内管理棟の冷暖房に活用します。実証実験を通じ、燃料電池のコージェネレーション(熱電併給)によるエネルギー効率の向上と冷暖房設備としての消費電力低減を図り、熱連携ソリューションの市場性や有効性について検証を行います。
パナソニックの草津拠点にあるH2 KIBOU FIELDでは、5 kWタイプの純水素型燃料電池99台を用い、約570 kWの太陽電池と約1.1 MWhの蓄電池を組みあわせ、3電池を高度に連携制御し、燃料電池工場の電力を再生可能エネルギーによる自家発電で賄っています。燃料電池の生産工程における電力需要変化や天候による太陽電池の急激な出力変化にも追随するエネルギーマネジメントにより、発電の余剰や電力使用のムダを抑えて再生可能エネルギーを効率良く安定的に供給する実証実験を2022年度から行っています。今回、新たに実施する熱利用の実証実験では、純水素型燃料電池内の発電部に現在開発中の新規触媒を搭載するとともに、本体の耐久性を高める改良を実施し、回収できる熱の温度を60℃から70℃へ10℃上昇させています。今回の実証実験により、電力に加え熱も同時に利用することでエネルギー効率95%を実現していきます。また、給湯・暖房が中心であったこれまでの熱利用が、吸収式冷凍機を通じて冷房として活用することが可能となり、産業用途におけるコージェネレーションシステムとしての実用性を高め、熱利用の新たな可能性を追求します。
一方、国内トップクラスのシェア(※1)を誇るパナソニックの吸収式冷凍機は、高効率な空調システムです。自然冷媒である「水」を利用することにより、特定フロンや代替フロンを使用せず、オゾン層破壊・地球温暖化の影響を低減した環境に配慮したシステムで、工場等で排出された熱を運転に活かす「廃熱利用型」もラインアップしています。今回、吸収液の濃縮・吸収過程を改良した吸収式冷凍機を新たに設置、既存製品と同等サイズながら最低熱源温度を80℃から70℃に10℃引き下げ、純水素型燃料電池が発電時に発生する熱の利用を可能にしました。そして、実証施設内の管理棟の冷暖房に使用している業務用エアコンに、吸収式冷凍機で生成した冷水を活用します。吸収式冷凍機の冷水を業務用エアコンの省エネに活用するのは業界初(※2)の試みで、空調消費電力50%の削減を目指します。加えて、吸収式冷凍機の最低熱源温度の引き下げは、工場等から排出される産業用の廃熱において、全体の約70%を占める80℃未満の熱については有効な活用手段がない(※3)という現状を打開する可能性を秘めています。
今回の実証実験では、事業や組織の枠を超えて業界トップクラスの強い製品同士の利点を掛け合わせることで、単独の事業や製品だけでは実現できないパナソニック独自の顧客価値の創出を目指しています。パナソニックは今後も、自社の強みを掛け合わせる最適なソリューションを開発し、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
<特長>
1. 吸収式冷凍機の最低熱源温度を10℃引き下げ
2. 純水素型燃料電池の出湯温度10℃上昇で吸収式冷凍機に活用、95%のエネルギー効率を実現
3. 業界初(※2)、吸収式冷凍機の冷水を個別空調の運転に活用し、空調消費電力を50%削減
※1 日本冷凍空調工業会「2023年度 吸収式冷凍機国内出荷実績(冷凍トンベース)」からパナソニック試算
※2 業務用エアコンを水冷化し、吸収式冷凍機で生成した冷水に対し、全量放熱することで省エネを実現するシステム実証は業界初(2024年7月現在、国内において。パナソニック調べ)
※3 出典:『産業分野の排熱実態調査報告書』(未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合、2019年3月)からパナソニック試算
全文は以下プレスリリースをご覧ください。
▼[プレスリリース]純水素型燃料電池の熱を吸収式冷凍機(空調機)で活用する実証を開始(2024年7月29日)
https://news.panasonic.com/jp/press/jn240729-1
<関連情報>
・Panasonic GREEN IMPACT
https://holdings.panasonic/jp/corporate/panasonic-green-impact.html
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