進歩した乾癬治療、患者さん一人ひとりに合った治療の実現を

QLife / 2019年4月24日 17時0分

周りの目が気になりうつ病の併発も。早い段階から適切な治療を
帝京大学医学部皮膚科学講座主任教授 多田弥生先生

 皮膚が赤く盛り上がり、フケのような銀白色の鱗屑(りんせつ)が出てくる慢性の炎症性皮膚疾患、乾癬(かんせん)。皮膚に症状が現れるため周りの視線が気になることが多く、精神的な負担を抱える患者さんも少なくありません。近年、乾癬の治療は進歩しており、患者さんのニーズにあわせて治療を選択することができるようになってきています。アッヴィ合同会社は4月9日、「患者さん中心の乾癬治療の実現に向けて~患者さんの求める乾癬治療とは~」と題してメディアセミナーを開催。帝京大学医学部皮膚科学講座主任教授の多田弥生先生が講演し、乾癬患者さんらがご自身の経験を語りました。

 乾癬は、日本国内では約43万人の患者さんがいるといわれています。乾癬の皮膚症状は基本的に全身に現れますが、特に症状が現れやすいのが、擦れやすい肘や腰回り、毛が皮膚を擦る頭皮です。鱗屑は擦れるとパラパラと落ちるため、フケのように見えることや、決して感染しない病気であるにも関わらず、「かんせん」という言葉から「うつるのでは?」と誤解されてしまうことなど、患者さんは日常生活のさまざまな場面で生活の質(QOL)が障害されています。また、乾癬患者さんは、免疫に関わる疾患や心血管疾患、メタボリックシンドローム、乾癬性関節炎など、様々な疾患を合併しやすいといわれています。さらに、皮膚の症状に関連した精神的な負担が蓄積することで、結果的に心の病気になってしまう患者さんも。多田先生は、「乾癬は早い段階で適切な治療を行い、早期に症状を改善することが大切です」と述べました。

 乾癬の治療ではまず、塗り薬による治療や、光線療法、内服療法が行われます。これらの治療を行っても症状がよくならない、より重症な患者さんに対して、近年、生物学的製剤という薬を用いた治療を行われるようになり、治療の選択肢が広がりました。治療に使用する生物学的製剤は7種類あり(2019年4月現在)、薬を投与する期間の違いや、適応としている疾患の種類が異なるなど、それぞれに特徴があります。そのため、重症の乾癬患者さんでも、「患者さんのニーズにあわせた治療選択ができるようになってきました」(多田先生)

患者さん自身も正しい知識を持つことが、適切な治療を受ける近道
(左)から乾癬患者の添川さん、ことさん

 セミナーでは、乾癬患者さんも登壇しました。患者のひとり、添川さんによると、「症状と向き合う期間が長い患者ほど、心の傷は深い」そう。同じく乾癬患者のことさんは、小学生の頃から乾癬の症状が現れていましたが、すぐには乾癬とは診断されず、症状に悩まされる日々を送っていたそうです。徐々に自分を否定するようになり、不登校も経験したと、診断がつかずに苦しんだ日々を振り返りました。ことさんのように、なかなか乾癬と診断されず、正しい治療を受けられずに苦しんでいる患者さんも少なくないといいます。乾癬と診断され、適切な治療によって症状が落ち着いたとき、ことさんは「やっと人生を取り戻した」と思ったそうです。お2人とも声を揃えて、早期診断・早期治療の大切さを訴えました。

 患者さんのなかには、乾癬と診断されていても、治療に関する正しい情報を得られずに、症状がよくならず苦しみが続いている人もいます。添川さんは、乾癬の認知度向上と正しい情報発信のために活動する一般社団法人INSPIRE JAPAN WPD乾癬啓発普及協会にも参加。同会の活動を通じて、治療の最新情報を知らずに、症状の改善が見られないまま同じ治療を続けていた患者さんに出会うこともあるそうです。「乾癬患者さんには正しい知識を持って、適切な治療を受けてほしい」と添川さん。治療が進歩し、乾癬患者さんのニーズにあわせた治療も検討できる時代になったとはいえ、知らなければ自分に合った治療を受けられないことも。患者さん自身が治療について正しい知識を持ち、最新の情報にも触れ理解を深めたうえで、治療に臨むことが大切だといえそうです。(QLife編集部)

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QLife家庭の医学 尋常性乾癬 INSPIRE JAPAN WPD

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