発作性夜間ヘモグロビン尿症に対する治療薬として「ボイデヤ」承認、C5阻害剤と併用
QLife / 2024年2月8日 15時0分
C5阻害剤でEVHが生じるPNH患者さん向け経口補体D因子阻害剤
アレクシオンファーマ合同会社は2024年1月19日、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対する治療薬として「ボイデヤ(R)」(一般名:ダニコパン)が承認されたことを発表しました。ボイデヤは、C5阻害剤の「ユルトミリス(R)」(一般名:ラブリズマブ(遺伝子組換え))または「ソリリス(R)」(一般名:エクリズマブ(遺伝子組換え))と併用する薬剤として開発された経口補体D因子阻害剤で、C5阻害剤の治療中に血管外溶血(EVH)が生じるPNH患者さんのニーズに対応しています。
PNHは、血管内溶血(IVH)として知られる血管内の赤血球破壊と、白血球および血小板の活性化を特徴とするまれな重度の血液疾患です。疲労感、貧血、暗色尿、息切れなどの症状のほか、血栓症が原因の臓器障害で早期死亡に至る可能性もあります。
PNHの治療で使用されるC5阻害剤(ユルトミリス、ソリリス)は、補体C5を阻害することで症状と合併症を軽減し、生存率への影響も期待できます。一方、使用している患者さんの約10~20%に血管外で赤血球が除去される「血管外溶血(EVH)」が生じ、その結果、貧血症状が持続して定期的な輸血が必要となることが問題視されています。
C5阻害剤に追加投与の有効性・安全性を確認今回の承認は、国際共同第3相試験(ALPHA試験)から得られた肯定的な結果に基づくものです。同試験は、臨床的に問題となるEVHを示すPNH患者さんを対象に、ユルトミリスまたはソリリスにボイデヤを併用した際の有効性・安全性を評価しました。
その結果、プラセボ群と比較した投与 12週時点のヘモグロビンのベースラインからの変化量という主要評価項目を達成したほか、輸血回避および慢性疾患治療の機能的評価-疲労(FACIT–Fatigue)スコアの変化量を含む主な副次評価項目を達成。これらの結果から、ボイデヤは概して良好な忍容性を示し、新たな安全性の懸念も示されなかったとしています。
同社は「C5阻害剤へ追加投与されるボイデヤは、すでに確立されている治療を中断することなく、臨床的に問題となる EVHの影響を受けている患者さんのニーズに対応可能だ。日本でこの症状を有する患者さんに新たな進展をお届けできると期待している」と、述べています。(QLife編集部)
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