品格ある子どもの育て方第三章 「中学受験」で品格をどうつけさせるか(41)

クオリティ埼玉 / 2014年1月30日 15時0分

品格形成を阻害する敵になってはならない
~開き直ることは「逆転」への重要な要素~
 
 今度はサッカーを題材にしながら受験とからめて、子どもの品格形成を阻害するものについて述べます。
 2006年6月、サッカーW杯1次リーグでジーコジャパンはブラジルに完敗しました。1対4と逆転負けを喫して3度目のW杯を終えたのです。
 勝負は、「心・技・体が揃っていないとダメ」という典型になってしまったこの試合。特に受験生を持つ親御さんは、前半ロスタイムに同点にされた後のズルズルっぷりをよく目に焼き付けておきたいところです。
 受験でも番狂わせで失敗してしまう生徒の大半は、日本代表と同じ原因、心の冷静さを欠いているのです。
 ブラジル戦を前にした練習で、おそらくジーコはものすごい形相だったのではないかと想像します。TV・新聞の報道でしか知る由もないのですが、練習の雰囲気がよくなかったという複数の声を聞きました。
 勝つしかない状況で監督がヘラヘラできるわけがないことは当然ですが、「開き直って元気に!」という練習であれば、雰囲気も違ったものであったのではないかと推測しました。
 後がない状況で開き直ることは逆転への重要な要素です。
 保護者を含めていわゆる監督者と呼ばれる人の役割は、いかにこの環境を作ってあげられるかの一点に尽きると言ってもよいのではないでしょうか。
 受験生の家庭を思い浮かべてください。どの親だって子どもに合格してほしいに決まっているわけです。
 その願いがエスカレートして、「合格しなければならない」「合格して当然だ」となったときの親の顔つきはどうでしょうか。
 親自身が子どもと向き合うとき、今どんな顔をしているかを冷静に見直すことができなければ、間違いなく受験は失敗に終わるでしょう。親の不安は必ず子どもに伝わるから、です。
 受験前日の夜、少なくとも楽しく・おいしく食事をすることは合格への要素のひとつだと思います。「○○ちゃん、明日は頼むわよ!」と血走った目でにらまれながら食事をしても、そりゃおいしいわけがありませんね。
 特に、親のウエイトが大きい中学受験において多くの場合、開き直る必要があるのは親だったりします。親自身が開き直ることができるならば、その気持ちは必ず子どもに伝わります。
 これこそが、逆転Vへの唯一の手段かもしれません。
間違っても、「今の公立なんてダメなのよ、だから私立に受かりなさい」なんて言ってはいけません。この場合、子どもは「もし受からなかったらどうしよう、公立に行くことになったらどうなるの」と100%考えるからです。
「この期に及んで励ましではなくプレッシヤ―をかけてどうするの!?」と言いたくもなりますが、これに近いやりとりを身近で経験された方もいるのではないでしょうか。
 この心理状態で、入試当日もしも最初の科目で失敗でもしたら。頭の中は「どうしよう、どうしよう、どうしよう」と不安でいっぱい。こうやって子どもはズルズル失速していくのです。
 これを読んでいる受験生の親のみなさん、そして品格ある子どもを育てたいと考えているみなさんは、「自分がジーコだったら、どうやって選手の士気を高めただろうか」という視点で考えてみてください。
 受験であれスポーツであれ、ご自身のお子さんが「未知の世界にチャレンジしよう」としているとき、ぜひこの視点を実践してあげてほしいのです。
 「背水の陣」をプレッシャーにしないこと、これは保護者として留意しておきたいことなのです。
「品格ある子どもの育て方(PHP文庫) 秋田洋和著」より 

クオリティ埼玉

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