進化した公共図書館

クオリティ埼玉 / 2014年4月29日 0時23分

 2年ほど前、東京・西浅草の台東区立中央図書館にある池波正太郎記念文庫を訪ねた際、図書館内が中高年の人々であふれているのを見て、驚くとともに図書館の存在意義を再認識させられた。今年になって所用で浦和駅東口前のコムナーレに行ったついでに、8階のさいたま市立中央図書館をのぞいたら、満席状態で静かな熱気に満ちていた。年配者だけでなく、高校生や大学生など若者の姿も多かった。
 ここは蔵書も豊富で、古本がそろっている大型書店という感じだ。読みたかったのに書店から姿を消した本や、未知の世界への好奇心をかきたてられる本などが並び、書架をながめるだけでも楽しい。30冊まで借りられるので、何冊も借りて帰路、本の重さに悲鳴を上げたこともある。
 ベストセラーの新刊は貸し出し中のことが多く、図書館では読み終わった手持ち本の提供を呼びかけているが、高価本は別にして書店で買える本を多数置いておく必要があるのだろうか。この辺に今の出版不況の一因があるとしたら、皮肉な話だ。
 書架の前に立たなくても本探しは可能だ。書名や著者名、あるいは具体的なテーマから館内のパソコンで検索できる。その図書館にはなくても、さいたま市内の市立図書館の在庫状況がわかるので、注文すれば取り寄せてくれる。市内の図書館にない場合には、県内の公共図書館、さらには制限付きながら県外の図書館や国会図書館にも照会してもらえる。自分のパスワードを登録しておけば、自宅のパソコンからも検索や借り出し申し込みができる。
 本が貸し出し中の場合、前の人が返却した後に順番が回ってくるのだが、やっと手にした本がかなり傷んでいることも珍しくない。何人もの人が読んできたのだから致し方ないともいえるが、なかには度を越した傷み方もある。『アンネの日記』のページを切り取った事件は論外だが、図書館においても公徳心の欠如を見せつけられるのは辛い。
(山田 洋)

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