円安不況への対策をいそげ

クオリティ埼玉 / 2014年11月20日 14時27分

10月末に発表された黒田バズーカ砲第2弾(日銀黒田総裁による追加金融緩和策発表)は投資家や専門家にとってもサプライズのタイミングだったため、株価は1日で700円以上高騰し日経平均17,000円台を回復した。一方、通貨下落により円相場は1ドル=118円台まで円安が進んでいる(11月20日段階)。ちょうど2年前の2012年11月14日、当時の野田佳彦首相が解散を表明したときの円相場が1ドル=79円台だったので、この2年で39円も下げたことになる。
 
長らく続いた円高不況をこの円安により脱却できるかとおもいきや、そうはならず「円安不況」とも言える経済状況が引き起こされている。1990年代までのわが国の産業構造は加工貿易というもので、安い原材料を輸入して高い製品にして輸出して稼ぐ国であった。そのときは円安が日本の電子製品や自動車の輸出を加速させた。しかし、今日ではわが国の産業構造において製造業は生産拠点の多くを海外に移転させている。そのため、円安が進むことによっても輸出は増えず、ただでさえ高騰している燃料費がさらに上昇し、また小麦や大豆といった輸入食材の価格も高くなり、物価(特に中小企業にとっては仕入れ価格)を結果的に押し上げることになった。
 
わが国は震災のあった2011年から貿易赤字になっており、一国が海外との取引で生じた差額を表す「経常収支」も年々下がっており、2015年には赤字に転じるとみられている(下図参照)。ここでいう「経常収支」は大きく下記の3つの収支から成り立っている。
 
1)輸出入収支……輸出額-輸入額
2)サービス収支……旅行、輸送、その他(業務サービス、情報サービス等)において、日本で利用された額から日本人が海外で利用した額との差額
※ 1)+2)で貿易収支
3)所得収支……日本企業が外国で得た収益から外国企業が日本国内で得た収益を引いた額
 
 
上の推移をみると明らかにかつての「加工貿易立国」というビジネスモデルは終焉を迎えている。新たな日本のビジネスモデルを打ち出していくと同時に円安対策を打つ必要がある。12月にも行われるとされている総選挙においては、円安に対する政策を各党がどのように打ち出すか注目だ。
 
筆者が考えるところ、燃料費高騰に対しては小手先のことではなく、低炭素・省エネを社会に根付かせることによりエネルギー利用の効率を高めるという長期的な打ち手を推進していくことが重要だろう。燃料電池自動車の普及促進のための水素ステーション整備なども一例である。また、サービス収支の改善として、旅行における赤字はかなり改善されているものの黒字には至っていない。これを黒字転換するために日本国内での長期に滞在してもらえるようなプランを各地域が提案していく。さらには円安によって海外に進出した製造業が国内に戻ることはないので、改めて産業空洞化を防ぐため、円安を逆に活かして海外からの直接投資を受け入れるべきであろう。そのためには法人税減税やビジネス環境整備のための規制緩和などをすすめていく。ひいてはそれが国内での需要および雇用を創出することにつながるのではないだろうか。
(小林 司)

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