歓喜したサンアントニオ、怪物ウェンバンヤマがもたらすインパクト【6月23日(金)午前9時 NBAドラフト2023】
NBA Rakuten / 2023年6月22日 11時30分
レブロンが「宇宙人」と称する圧倒的な才能
オフシーズンの一大イベントであるNBAドラフトが、日本時間6月23日(現地22日)にバークレイズ・センターで開催される。今年のドラフトで最も注目されているのが、NBA史上最高の逸材とも称されるビクター・ウェンバンヤマ(メトロポリタンズ92/フランス)だ。
トップ指名がほぼ確実とされる中、5月に行われたドラフト抽選会で1位指名権を引き当てたのがサンアントニオ・スパーズ。チームの代表として抽選会に出席していたオーナーのピーター・J・ホルトは、1位指名権獲得の瞬間に「Let’ go!」と雄叫びを上げ、その様子が映された地元のバーでは、集ったサンアントニオ市民がまるで優勝したかのごとく歓喜に沸いた。
運命に導かれた1位指名権獲得
2013-14シーズン以来優勝がなく、4年連続でプレイオフから遠ざかっていたスパーズにとってそれが待望の瞬間だったのは間違いない。2018年7月にカワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)を放出して以降、フランチャイズプレイヤーと呼べるような選手とは無縁で、常勝チームと呼ばれた時代は過去のものとなっていた。そんな時に現れたフランスの至宝。スパーズが最後に1位指名権を獲得した1997年のドラフトで指名したティム・ダンカンのように、チームを再び頂点に導くことがウェンバンヤマには期待される。
対するウェンバンヤマもスパーズが1位指名権を獲得した際にどこか安堵の表情を浮かべた。「スパーズとフランスは特別な関係にある」と母国のレジェンドであるトニー・パーカーやボリス・ディアウなど、多くのフランス人選手がプレイしていた例を挙げ、「フランス国民の半分、もしかしたら全国民が、スパーズの1位指名獲得を望んでいたと思う。みんなが喜んでいたから、僕も嬉しくなったんだよ」と本人はその時の心情を説明した。
1年目から期待される攻守でのインパクト
スパーズがウェンバンヤマを指名する前提ではあるが、彼の獲得は攻守でチームに大きな影響を与えるだろう。最もインパクトが大きいとされるのがディフェンスだ。推定身長223cm、そして243cmとも言われる長いウイングスパンを駆使し、昨季はフランスリーグ最多の平均10.4リバウンド、3.0ブロックと守護神として躍動。高さと長さのアドバンテージをしっかりと理解しており、素早い相手ガードを守る場面でもタフショットを打たせることができる。NBAのプレイスピードやフィジカルレベルに慣れるまではファウルトラブルに苦戦する可能性もあるが、その超人的なサイズは相手チームにとって驚異でしかなく、1年目からブロック王に輝いたとしてもなんら驚きはない。
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オフェンスでは何よりもそのビッグマン離れのテクニックが目を引く。外からのシュートやポストムーブ、またガードのようなボールハンドリング力を活かして自らドリブルで仕掛けることもでき、とにかくオフェンスのレパートリーが豊富。直近のシーズンでは平均21.6点を記録して得点王となり、フランスリーグ史上最年少でのシーズンMVPも獲得した。3ポイント成功率こそ27.5%(47/171)と低かったが、シュートタッチは柔らかく、シュートに躊躇もないため、確率の改善は見込めるだろう。
「自分がアグレッシブに行けば、相手はファウルする以外止める術はない」と絶対的な自信を持つウェンバンヤマだが、昨年10月に行われたGリーグ・イグナイトとのエキシビションマッチでもそれを実証。ドラフト上位指名候補のスクート・ヘンダーソンとの対決が注目されたなか、2試合で平均36.5点、4.5ブロックと大暴れ。このパフォーマンスにヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)は「彼は史上最高の選手になれる逸材だ」と絶賛し、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)も「彼は宇宙人だね」と、その才能に驚愕する声が相次いだ。
昨季のスパーズはディフェンシブ・レーティングがリーグ最下位(119.6)で、オフェンシブ・レーティングがリーグワースト2位(109.7)。1年でどこまでチームを立て直すことができるのか注目だ。
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サポート役に黄金期のメンバーを招集か
過去のドラフトにおけるスパーズの1位指名は、前述のダンカンと、1987年のデイビット・ロビンソンだ。どちらも1年目から活躍して新人王を獲得(ロビンソンは海軍兵学校出身のため2年間海軍で兵役に就き1989-90シーズンにデビュー)し、最終的には殿堂入りを果たしている。エリートビッグマンの育成に実績のあるスパーズというチーム環境に加え、両選手と共闘してきた名将グレッグ・ポポビッチHC(ヘッドコーチ)から学べることはウェンバンヤマにとって大きな財産になるはずだ。
また、現地メディアによれば、2000年代に入ってからの黄金期を支えたダンカン、パーカー、マヌ・ジノビリをメンターとして招集するという話も出ているようだ。万全な援護体制のもと、ウェンバンヤマがどのような活躍を見せてくれるのか。その期待は膨らむばかりだ。
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