復活の狼煙を上げる2010-11シーズンMVPのデリック・ローズ
NBA Rakuten / 2018年11月20日 13時8分
現在はミネソタ・ティンバーウルブズの控えガードとして鳴りを潜めるデリック・ローズ。実は彼の全盛期の活躍ぶりを知らない人は意外に多い。ここ数シーズン、大きなケガを負ったことでファンは彼のプレイを目にする機会を失ってしまったからだ。ブルズではマイケル・ジョーダン以来となるフランチャイズプレイヤーとしての地位を確立しつつあったローズだったが、度重なる大ケガが彼のキャリアを変えてしまった。彼の苦悩と挫折を知り、すべてを乗り越えコートに立つ今シーズンの彼の姿を見た時、きっとあなたもローズを応援せずにはいられないだろう。
ローズは既に高校時代からスターだった。シメオンキャリア・アカデミー高校ではチームを州チャンピオンへ導き、自身はアメリカ代表チームへも選出されたことから、この世代で既にNo.1ポイントガードとの呼び声が高かった。その後、メンフィス大学へ進学し、入学1年目からチームの顔として活躍したローズは、NCAAトーナメントでチームを準優勝へと導き、オールアメリカン3rdチーム(NBAでいうオールNBA3rdチームにあたるもの)にも選出された。
地元であるシカゴ・ブルズがドラフト1位指名権を引き当てた影響もあり、トップ指名をほぼ確実視された状態でNBAドラフト当日を迎えることとなる。予想通り、地元シカゴ・ブルズへの入団を果たしたローズは、寡黙で謙虚な性格も相まって、ファンからの人気度は人一倍高く、ルーキーイヤーからチームのエースとしての活躍が期待された。さっそくシーズンを通して平均37分の出場時間を得ると、平均16.8得点、チーム最高となる6.3アシストを記録し、ドラフト1位指名の重圧に負けない見事な活躍で新人王を獲得している。
また、チームは勝率5割でプレイオフへ返り咲き、そのファーストラウンドで、ブルズは前年の王者、ボストン・セルティックスを相手にNBA史上でも死闘と呼べる戦いを繰り広げることとなる。7戦目まで突入した両者の戦いだが、そのうち4戦はオーバータイムへもつれ込む大接戦。4戦目はダブルオーバータイム、6戦目はなんとトリプルオーバータイムまでもつれ込んでいる。
そんな中、ローズは第1戦で36得点、11アシストのダブルダブルを記録。第4戦ではトリプルダブルに迫る勢いの活躍を見せ、シリーズを通して平均19.7得点、6.4アシスト、6.3リバウンドというルーキーらしからぬ活躍を見せた。最後は惜しくも力尽き、ブルズはファーストラウンド敗退という結果に終わったが、前年王者を相手に奮闘したチームにはマイケル・ジョーダン、スコッティ・ピッペン、デニス・ロッドマンとNBAで最も有名なトリオを主軸に三連覇を達成した三銃士時代のシカゴ・ブルズを彷彿とさせる強さと期待感があった。
ローズは早くも2年目にリザーブメンバーとしてオールスターへの出場を果たすと、3年目となる2010-11シーズンにはファン投票によりスターターの座を獲得し、トップ集団の仲間入りを果たす。チームへはリーグトップとなるシーズン62勝をもたらし、その積極果敢なプレイスタイルに磨きがかかったローズは、なんとNBA史上最年少となる22歳と6ヶ月でシーズンMVPに輝いた。チーム状況、個人成績、そしてリーグへインパクトを与えたプレイスタイルを考えれば当然の結果だったかもしれない。
その年第1シードとしてプレイオフ進出を果たし、勢いに乗るブルズは順当にカンファレンス・ファイナルまで駒を進めた。しかし、そんな彼らの前に最大の敵として現れたのがレブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュで結成された”スリーキングス”要するマイアミ・ヒートだ。
全盛期のスーパースター3人がトリオを結成した、NBA史上でも稀にみるスーパーチームを相手に初戦を奪い、善勝したものの、レブロン・ジェームズを止めることはできなかった。シリーズは1勝4敗で敗れ、ファンの優勝という期待は泡となって消えた。そして、デリック・ローズにとってスーパースターの階段を一気に転げ落ちることとなる魔の2011-12シーズンを迎えることとなる。
NBAライター ゆーきり
幼少期の10年間をアメリカで過ごす。初めて行ったNBA観戦で間近で見る選手に強い衝撃を受けNBAにどっぷりのめり込み、自身もバスケットボールを始める。ファン歴は20年を超え、これまでの自身の知識を発信しNBAファンを増やしたいという想いから、ブログ「NBA journal」を開設。現地の情報をもとに、わかりやすくもマニアックな内容を届けることを意識し、日々奮闘している。
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