絶好調ネッツの“ミスタークラッチ”渡邊雄太 増える勝負所での起用【12/22(木)午前9時30分『THE MATCHUP』ウォリアーズ対ネッツ】

6連勝と波に乗るネッツでも欠かせない存在となりつつある渡邊

日本時間12月17日のブルックリン・ネッツ対トロント・ラプターズ戦、ネッツの1点ビハインドで迎えた試合時間残り14秒。コーナーでカイリー・アービングのパスを受け、一時逆転となる3ポイントを成功させたのは渡邊雄太だった。

「カイが素晴らしいパスをくれたから感謝しています。僕は打っただけです」

試合後、古巣相手に沈めたこのビッグショットについて尋ねられた渡邊は笑顔でこう答えた。謙虚な姿勢を崩さない渡邊だが、現地実況が「ミスター・クラッチ！」と讃えるなど、今季の試合終盤における活躍は我々の想像をはるかに超えるものとなっている。

日に日に高まる存在感とチームからの信頼

今季の渡邊は、試合終盤の勝敗がかかる重要な場面、いわゆるクロージングラインアップでの起用が増えている。クォーター別で見ても第4クォーターの出場時間が平均7.1分と最も長く、3.7得点、3ポイント成功率70.6%も最多だ（スタッツはすべて12月18日時点のもの）。

また、試合残り時間5分5点差以内の状況を指す「クラッチタイム」では、＋35.3というチームトップのネットレーティングを残している。さらに 3ポイントは8本中7本成功と“ミスタークラッチ”ぶりを存分に発揮。今や勝負所ではケビン・デュラント、アービングに次ぐオフェンスオプションと言っても過言ではない。

渡邊の活躍に対し、デュラントは「正しいプレイをしている。渡邊がいてくれてよかった」と大絶賛。これほどの活躍を見せられるとジャック・ボーンHC（ヘッドコーチ）がクロージングラインアップとして起用することも必然と言えるだろう。

変わらないディフェンスへのプライド

そんなオフェンスにスポットが当たる今季だが、13日のワシントン・ウィザーズ戦後に渡邊は、「試合に出してもらえるのはディフェンスで信頼されているから。そこを忘れず、ディフェンスが一番だと頭に置いてやっていく」とディフェンスファーストのマインドは大学時代から変わらない。

今月11日に右ハムストリングのケガから10試合ぶりに復帰を果たしたものの、復帰後2戦はなかなかシュートが決まらず、オフェンスで波に乗れなかった。それでもデュラントやアービングといった主力が欠場したインディアナ・ペイサーズ戦では最大14点をリードされる苦しい展開のなか、プレイ時のディフェンシブレーティングで104.2（オフコート時は145.6）を記録するなどとディフェンスで流れを呼び込み、終盤での逆転につながる働きを見せた。

13日のウィザーズ戦でも72.3という驚異的なディフェンシブレーティングを残し、守備を引き締める存在として勝利に大きく貢献。バスケットボールの世界では“ディフェンスにスランプはない”としばしば言われるが、渡邊はまさしくその言葉を体現している。先述のコメントは渡邊のディフェンスへのプライド、“ディフェンスでNBAに生き残る”そんな思いを表しているようにも感じる。

契約打診もあったウォリアーズとの今季初対決

22日にゴールデンステイト・ウォリアーズとの今季初対決に臨む渡邊だが、昨季チャンピオンのウォリアーズは開幕前に自身の獲得に興味を示していたチームの一つであることを明かしている。魅力的なチームではあったが「ジャパンゲームのために獲得したと思われたくない」というなんとも渡邊らしい理由でウォリアーズのオファーを断り、ネッツとの契約を決めたという。

そんな信念の強さもNBAで最もロスター争いが激しいネッツで生き残る事ができている一つの要因ではないだろうか。オファーをくれたウォリアーズとの初対決でどのようなプレイを見せるか。“逃した魚は大きい”そう思わせるような活躍を是非とも期待したい。

■【THE MATCHUP】ゴールデンステイト・ウォリアーズ対ブルックリン・ネッツ
日時：日本時間12月22日（木）午前9時30分
会場：バークレイズ・センター
解説：塚本清彦 / 実況：加藤暁
視聴可能プラン：LEAGUE PASS（BASIC PASSでのLIVE・見逃し配信はございません）

（C）2022 NBA Entertainment/Getty Images. All Rights Reserved.