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人生における「完璧な日々」とは?名匠ヴィム・ヴェンダース監督と役所広司が、東京を舞台にそのヒントを描く

Rエンタメディア / 2025年1月16日 12時0分

言葉ではなく、平山の選曲センスや読書の趣味、立ち居振る舞いが人となりを雄弁に語ってくれる。平山の妹であるニコの母の言動から、彼にワケアリの過去があることが察せられるが、インテリジェンスを感じさせる平山だからこそ、日常の中に潜む哲学的なテーマを引き立たせることができるのだろう。

彼が従事するトイレ清掃員という仕事は、この作品でたびたびフィーチャーされている。それもそのはず、この映画は、渋谷区などと連携して公共トイレを刷新するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の延長線上で制作されたものだ。このプロジェクトは、「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリング社の取締役である柳井康治氏が、世界的建築家やデザイナーの力を借りて進めた取り組みである。そして、このプロジェクトの一環として、「東京に新しく誕生した公共トイレと清掃員を題材にした物語を作ってほしい」という依頼をヴィム・ヴェンダース監督が引き受け、完成したのが本作である。

小津安二郎監督を敬愛するドイツの名匠ヴィム・ヴェンダースが、現代の日本で公共トイレを題材に日本を代表する俳優・役所広司と「小確幸(※小さいけれども、確かな幸福という意味)」を描き出し、人生における「完璧な日々」は劇的なものではないと教えてくれる。
そんな日本的な価値観を再認識させてくれるところが小津作品のように世界の人々を魅了したのだろう。「たいくつだ」と感じている私たちの毎日も「PERFECT DAYS」なのかもしれないと思える、日々の幸福度を少しだけ上げてくれる作品だ。

(文・坂本ゆかり)

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