サカナクションが紅白内定 先鋭的な音楽性で“お茶の間”進出を果たしたワケは?

リアルサウンド / 2013年11月21日 16時53分

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 サカナクションが年末のNHK「紅白歌合戦」に初出場すると日刊スポーツが報じ、話題となっている。

 サカナクションは、ロック、ポップ、テクノ、エレクトロなどを融合した音楽性が特徴的で、若い音楽ファンを中心に人気を集めている。今年3月にリリースされたアルバム『sakanaction』はオリコンチャート初登場1位を獲得。収録曲の「Aoi」は、本年度NHKサッカーのテーマ曲にも起用された。

 ライブでは最新のテクノロジーを投入して映像や音響にも力を入れており、その先端的な表現全体も評価されている一方、広く世の中に受け入れられるバンドとしても認識されている。サカナクションは、一見すると相反するように思える二つの特性をどう両立させ、今のポジションを獲得することができたのだろうか。

 その理由を、音楽ライターの柴那典氏は次のように語る。

「そもそもサカナクションは、デビュー時から大衆性のある音楽と先鋭的な表現を両立させるというコンセプトを持ったバンドでした。作詞・作曲を担当している山口一郎さんは、2008年のメジャーデビュー時点のインタビューで『日本の音楽はエンターテイメント性の高い音楽とアンダーグラウンドな音楽の間で二極化している。僕らはその中間を射抜きたい。いつか主流になると信じて新しいシーンを作っていきたい』と語っています。つまり彼らは、なにか偶然の追い風が吹いたとかがあったわけではなく、明確なビジョンをもって着々と今のポジションを築き上げてきたのです」

 サカナクションは実際、CM曲やタイアップ曲などにも積極的に取り組んできた。

「特に2012年以降は、タイアップの機会が多くありました。ドラマ『37歳で医者になった僕〜研修医純情物語〜』の主題歌として『僕と花』という曲を提供したり、モード学園のCMソングとして『夜の踊り子』を提供したりしました。2013年には「Aoi」がNHKサッカー中継のテーマ曲になっています。山口さんはほかのミュージシャンへの楽曲提供も行っており、2012年にはSMAPに『Moment』という曲も提供しています」

 意図的に大衆性の高い活動に取り組むだけではなく、楽曲にもまた、多くの人の心を捉えるポイントがあるという。

「サカナクションのサウンドは非常に先鋭的ですが、メロディや歌詞には日本的な情緒があります。彼自身、童謡や唱歌からインスピレーションを得ているといいますし、たとえば『夜の踊り子』や『アルクアラウンド』ではヨナ抜き音階(唱歌で使われている音階で、いわゆる“日本らしい”響きを持つ。参考:『きゃりーぱみゅぱみゅは日本最大の輸出品!? 和の心が凝縮された“ヨナ抜き音階”とは』)が効果的に使われています。また山口さんは詩人としての意識も強く、日本語にもこだわりがあります。歌詞とメロディだけを抜き取れば、彼のルーツの一つである70年代のフォークに通じるような叙情性もあるといって良いでしょう。つまりサカナクションは、単に先鋭的なサウンドを表現しているというよりも、それを使って日本人の心に響くような普遍的な情緒を表現しているバンドなんです。サカナクションが多くの日本人に受け入れられるのは、ある意味当然ではないでしょうか」

 紅白歌合戦は近年、最先端のテクノロジーを導入するなど、Perfumeや嵐といった映像技術などを駆使したパフォーマンスを得意とするミュージシャンにとっては、演出しやすいステージとなっている。サカナクションの先端性と大衆性を兼ね揃えたパフォーマンスは、今の紅白歌合戦にもふさわしいのかもしれない。(リアルサウンド編集部)

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