「初音ミクを介してローティーンにBUMPの歌が届いた」柴那典+さやわかが語るボカロシーンの現在

リアルサウンド / 2014年4月15日 19時38分

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 音楽ライターの柴那典氏と物語評論家のさやわか氏が4月6日に五反田のゲンロンカフェで行ったトークセッション『★さやわか式☆現代文化論 第6回『初音ミクの真実!』さやわか×柴那典』の模様を取材。前編【初音ミクはいかにして真の文化となったか? 柴那典+さやわかが徹底討論】では、テレビ論や音楽ビジネスのあり方、電子音楽の系譜における初音ミクの存在について会話が展開した。後編では、教育の現場などに導入され始めているボカロの現状や、ヤンキー文化とオタク文化について語り合った。

・「初音ミクが『ここにいるんだよ』って歌うときのエモーションに中二病を感じる」(柴)

さやわか:これはあえて聞きたいのですが、柴さんは初音ミクが将来的にもっと普及したら、紅白に出たりするようになるというふうに考えていますか?

柴:可能性としてはあると思いますけれど、初音ミクのキャラクター人気がどれだけ普及するかというより、将来を見通して僕が考えるのは、むしろ音楽の需要のされ方がどれだけ変わるかということですね。今の若い世代は、すでにCDで音だけを聴くのとは違うスタイルで音楽を消費している。たとえばカゲロウプロジェクトの曲って、やっぱり音楽だけ聴くよりニコ動やYouTubeで映像と一緒に聴く方がずっと感情に訴えかけると思うんです。曲の持っているイメージや伝えたいものが、映像と共になって初めて伝わってくる。CDやレコードが要らない、というつもりは全くないんですけれど、音楽ファンであればあるほど、パッケージメディアを大前提に考えがちで。

さやわか:言ってみれば音楽至上主義なわけですよね。だから音楽が別メディアと一緒になって遍在している状態を、「音楽が生き延びている」と捉えない。レコードとかCDとか、単一のメディアで扱える場合の音楽を重視したい。

柴:少なくとも、音楽の文化がこれから変わっていくのは明らかだと思うんです。宇多田ヒカルの『First Love』が1999年にリリースされたというのは、今振り返ると、すごく象徴的なことだと思っていて。というのは、少なくとも日本においてあれを越えるセールスのCDは、おそらくこの先ないですよね。そういう作品が20世紀の終わりにリリースされた。要するに、レコード文化というのは、20世紀の音楽文化だったと思うんです。エジソンが蓄音機を発明したのが19世紀末で、20世紀初頭に今あるレコード会社というものが登場しました。当時は音楽を一つの円盤に録音すること自体がものすごいイノベーションだと思うんですね。それが今に至るまで続いてきたけれど、マーケットの主流はこの先別のものになっていくはずだと思います。

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