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ソフトバンク「最大の補強」は城島&平石!キャンプで絶大な存在感、盤石の常勝軍団へ死角なし

REAL SPORTS / 2020年2月27日 19時0分

この5年で4度の日本一。まさに我が世の春を謳歌する福岡ソフトバンクホークス。今オフにはバレンティンを獲得したことが大きな話題となったが、それ以上にキャンプで絶大な存在感を見せつけていた“新加入”の二人がいた。ホークスが常勝軍団の座をさらに盤石にするべく目を付けたのは、選手“以外”の補強だった。

(文=花田雪、写真=Getty Images)

城島健司と平石洋介、キャンプで見せつけた絶大な存在感

東京五輪開催の影響で、例年よりも1週間ほど早い3月20日に開幕を迎える今季のプロ野球。

開幕まで1カ月を切ったこのタイミングは、各球団のチーム体制が少しずつ見えてくる時期でもある。

昨季まで3年連続日本一と、圧倒的な結果を残し続ける福岡ソフトバンクホークスは今季、東京ヤクルトスワローズを退団したウラディミール・バレンティンを獲得。NPB通算9年間で288本塁打を放っている球界屈指の長距離砲の加入で、12球団一の選手層はさらに厚みを増した。

筆者も2月上旬にキャンプ地である宮崎県宮崎市・生目の杜運動公園野球場を訪れたが、やはり最大の関心は大砲・バレンティンの動向だった。

しかし、実際にキャンプ地での光景を目の当たりにして、感じたことがある。

それは、プロ野球チームにおける「補強」とは、なにも「選手の加入」だけを指すわけではないということだ。

確かに、バレンティンの存在感はスター軍団のホークスにおいても抜群だ。チームリーダーの松田宣浩は相変わらず球場中に響く大きな声でチームはもとより観客までも盛り上げる。育成選手ながらA班に抜擢された砂川リチャードの打撃も特筆ものだった。

ただ、そんな常勝軍団において、春季キャンプで彼ら「選手」より大きな存在感を放っていたのが、城島健司と平石洋介の二人だ。

「キャンプで一番人気」、別格の城島

城島はダイエー時代からホークスの正捕手としてプレーし、その後メジャーリーグ、さらには阪神タイガースでもプレー。2012年限りで現役を引退して以降は、一度もユニフォームに袖を通すことなく、地元九州で趣味としても知られる釣り番組に出演するなど、球界からは一定の距離を置き続けてきた。

それが今季、恩師でもある会長・王貞治氏の要請を受けて球団会長付特別アドバイザーに就任。久しぶりにホークスに戻ってきた。

肩書上、選手を指導する監督、コーチではないため、キャンプ地でも比較的「自由」に回る城島の姿を追うのは至難の業だ。

A班がメイン球場として使うアイビースタジアムに顔を出したかと思えば、気付くとブルペンにふらっと現れる。

ただ、それでもやはり、城島の存在感はこと「ホークス」という球団においては別格だ。

移動中、ファンに声をかけられてサインに応じていると、そこにはすぐに長蛇の列ができて即席のサイン会が始まる。

メディアの間では「今年のキャンプ、一番人気は城島だね」という声も聞かれたほどだ。

もちろん人気だけではない。ホークス、メジャーリーグ、そしてセ・リーグでのプレー経験もある城島のキャリアは、間違いなくチームにとってもプラスになるだろう。

特にチームの正捕手に君臨する甲斐拓也を筆頭に、捕手陣からは「その経験や技術について少しでも学びたい」という姿勢がひしひしと感じられた。打者としても超一流の実績を残しているだけに、伸び悩む若手野手陣にとっても彼の存在は大きなプラスになるはずだ。

今季は前述の球団会長付特別アドバイザーとしてチームに帯同するが、昨季まで出演していたレギュラー番組なども継続予定だという。

憶測にすぎないが、1年間かけて指導者としての下準備、身辺整理を済ませ、2021年からは満を持してユニフォームに袖を通す――。そんな青写真も見えてくる。

「動」の平石コーチ就任は大きな武器になる

一方、今季から1軍打撃兼野手総合コーチに就任した平石洋介は、城島とは違いホークスとは縁もゆかりもないキャリアを歩んできた。PL学園、同志社大、トヨタ自動車とアマチュア野球の名門チームを経て、2004年ドラフト7巡目で東北楽天ゴールデンイーグルスに入団。2011年に現役を引退すると、翌年からは同球団初の生え抜き出身コーチに就任。2018年途中からは監督代行、昨季は監督としてチームをクライマックスシリーズ進出へと導いた。

ホークスにとってはいわば「敵軍の将」。それが、電撃解任からタイムラグなしで、ライバル球団のコーチへと転身を遂げたのだ。

1980年生まれの平石はいわゆる「松坂世代」。今年40歳とまだ若いが、指導者としてのキャリアは同世代でも群を抜く。

春季キャンプから、指導者として精力的に動く姿は一目見て明らかだった。シートノック中はどのコーチよりも選手に近い位置で隅々まで目を配り、積極的に声もかける。工藤公康監督、森浩之ヘッドコーチがどちらかといえば「静」の指導者なだけに、「動」の平石コーチとの相性も良さそうだ。

キャンプ中、少しだけ話を聞くことができたが、「まだまだ慣れないところはありますけど、少しずつね。これから、監督の目指す方向性や選手の要望も取り入れていきたい」と新天地での指導にも確かな手応えを感じている。

また、昨季まで同リーグの楽天を率いていたことも、シーズンを戦う上で大きなアドバンテージになる。楽天は今季、FAで鈴木大地、メジャーリーグから牧田和久、トレードで涌井秀章、美馬学のFA人的補償で酒居知史と、大幅な補強を敢行。戦力的には優勝争いのライバルになる可能性は非常に高い。

そんなライバルを知り尽くした男がベンチにいるとなれば、これほど心強いことはないだろう。

3年ぶりのリーグ優勝奪還、4年連続日本一を目指すチームにおいて、確かにバレンティンの加入は大きな戦力アップになるはずだ。

しかし、2020年を戦うホークスにとっての最大の「補強」は、選手ではなく城島と平石の二人なのではないか。

チームの補強とは、なにも「選手の加入」だけを指すのではない――。

宮崎の地で、それを実感した。

<了>







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