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広島・森下暢仁、覚醒の転機とは? 順風満帆ではなかった大学時代の知られざる変化 

REAL SPORTS / 2020年9月8日 11時30分

昨年のドラフトで1位指名を受け、プロへの道を踏み出した、森下暢仁。ルーキーながらチームトップタイの5勝を挙げるなど、今季低迷にあえぐ広島カープで数少ない希望ともいえる存在だ。若鯉はいかにして野球人生を歩んできたのか。決して順風満帆とはいえなかった明治大時代に覚醒した理由とともにひも解く。

(文=西尾典文、写真=Getty Images)

今季低迷の広島で気を吐くドラ1ルーキー、森下暢仁

シーズンの約半分が終わった今年のプロ野球。そんな中で最も活躍を見せているルーキーといえば、広島カープの森下暢仁になるだろう。ドラフトでは佐々木朗希(ロッテ)、奥川恭伸(ヤクルト)、石川昂弥(中日)の高校生3人に人気が集中したこともあって、広島の単独指名に落ち着いたが、9月6日時点でチームトップタイの5勝をマークし、防御率も2点台と見事な成績を残している。下位に低迷するチームにとって、数少ない明るい要因といえるだろう。

そんな森下だが大学から注目を集めるようになったわけではない。その名前が大きく取り上げられたのは2015年6月のこと。森下の所属していた大分商が関東に遠征し、2カ月後の甲子園で優勝を果たすことになる東海大相模を相手に10奪三振、無四球で2失点完投と好投を見せたのだ(試合は2対2で引き分け)。それまでも大分県内では評判だったが、全国レベルの強豪を相手に結果を残したことで一躍ドラフト候補に浮上することとなった。

それから約1カ月後の2015年7月16日。大分大会の初戦で森下のピッチングを実際に初めて見たが、最速148キロを記録したストレートと多彩な変化球を高い制球力で操り、高校生ではトップクラスという印象を受けた。この試合には8球団のスカウトが視察に訪れていたが、この数字も森下への注目度の高さがよくうかがえるだろう。最終的には決勝で明豊に敗れて甲子園出場はならなかったものの、5試合、42回を投げて失点4、与えた四死球はわずかに6と圧倒的な成績を残している。

高校の時点でドラフト上位候補も、明治大へ進学

当時寄稿していた『アマチュア野球』(日刊スポーツ出版社)では毎年この時期に高校生のドラフト候補へのインタビューを行っていたが、この年は迷わず森下を選んだ。インタビューは甲子園大会の準決勝が行われていた8月19日。翌日には正式に森下はU18の日本代表に選ばれることになるが、この時点でも選出が濃厚といわれていた。ちなみにこの時に選ばれたメンバーで、2015年春夏の甲子園に出場していないのは森下だけである。

この時のインタビューでは高校入学当初は内野手としてプレーする方が好きで投手に専念し始めてからわずか1年程度ということ、フォームやコントロールについては悩んだことはないということを聞いて驚かされたことをよく覚えている。また、大分商の渡辺正雄監督も森下について、何か言わなくても自分で取り組める選手だということを話していた。

この時点でも素質の高さから上位指名の可能性は高かったが、進路についての話になると歯切れが悪くなり、結局森下は明治大への進学を選ぶこととなる。後から聞いた話だが、6月の関東遠征の際には明治大の善波達也監督(当時)がその年のドラフトでともに1位指名を受ける高山俊(→阪神)と上原健太(→日本ハム)を伴って森下の視察に訪れていたという。明治大としてもそこまでして欲しかった選手だったということである。

順風満帆ではなかった大学時代、覚醒の転機

大学での森下は決して順風満帆だったわけではない。1年春の新人戦では試合中に右肘を骨折。この試合もたまたま現場で見ていたが、投げ終わった後に崩れ落ちるようにしてマウンドにうずくまった姿は痛々しいものだった。2年春にはリーグ戦初勝利をマークするものの、秋には肩を痛めてわずか1試合の登板に終わっている。3年までの6シーズンが終了した時点で残した9勝8敗。ポテンシャルの高さから大学日本代表には選出されていたものの、ドラフト1位候補としてはかなり物足りない印象が強かった。

そんな森下が大きく変化したのは最終学年になってからである。一つの転機となったのは主将を任されたこと。本人もそのことでさらに意識が高まったと語っていたが、3年秋までと4年春からでは投げるボールのすごみが明らかにワンランク上がったことは間違いない。そのことはリーグ戦の成績でも顕著に表れている。3年時と4年時の投球成績を並べてみると以下のようになる。

3年:17試合 118回2/3 被安打99 被本塁打8 110奪三振 32四死球 自責点40 防御率3.03 被安打率7.50 四死球率2.42 奪三振率8.34

4年:15試合 107回1/3 被安打77 被本塁打4 116奪三振 25四死球 自責点18 防御率1.51 被安打率6.46 四死球率2.10 奪三振率9.73

防御率は約半分の数字に改善し、被安打率、奪三振率もはっきりと向上しているのがよく分かる。3年までは良い時はすごいボールを投げるがそれが続かないという印象だった。だが4年になると毎試合150キロをコンスタントに超えるようになり、それが9回まで落ちることがなかった。筋力が増えてスピードアップを果たすと、それまでのバランスが崩れてコントロールが悪化するような投手も少なくないが、四死球率を見ても分かるように森下は制球力もむしろ向上している。最終学年にここまで分かりやすくレベルアップを果たした例は決して多くはないだろう。

大学時代と同じ水準を保つプロ1年目の成績。気掛かりなのは……

そして森下のすごみはこの投球がプロのレベルでもできているという点である。9月4日終了時点の10試合での成績をまとめると以下のようになっている。

10試合 64回2/3 被安打56 被本塁打2 68奪三振 23四死球 自責点18 防御率2.51 被安打率7.79 四死球率3.20 奪三振率9.46

大学4年時と比べると被安打率と四死球率は悪化しているが、奪三振率については変わらない水準を保っており、被本塁打数も先発投手としては極めて少ない。少し慎重になって四球は増えても、手痛い一発を浴びずに防いでいるということがよく分かるだろう。また登板した10試合全てで151キロ以上のスピードをマークしており、ストレートの平均球速は広島の先発投手陣の中でもナンバーワンの数字となっている。また右打者、左打者に対する被打率もともに2割台前半という点も見事という他ない。

シーズン前半戦で、プロでも先発として十分に抑えられることは証明した森下だが、あとはこの水準をどこまで維持できるかがポイントとなってくる。少し気掛かりなのはここまでの10試合中5試合で120球以上の球数を放っているという点だ。すぐに戦列には戻ったものの、7月上旬にはコンディション不良で登録抹消されて、一度ローテーションを飛ばしている。投手としてのスケールの大きさは申し分なく、大瀬良大地とともにチームのエースとなれるだけのポテンシャルを秘めているだけに、首脳陣にはくれぐれも無理のない起用法を望みたいところだ。

<了>







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