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巨人軍「逆転優勝へのラストピース」捕手・小林誠司。守備の要が過小評価される2つの理由

REAL SPORTS / 2021年6月22日 12時10分

プロ野球は、2年ぶりに開催された交流戦が無事に終了し、前半戦の終盤となる同一リーグの戦いが再開した。そこで今回は、『巨人軍解体新書』(光文社新書)の著者で、プロ野球選手を始め巨人ファン中心に数多くの野球ファンから支持されているゴジキ氏(@godziki_55)に、巨人軍の逆転優勝に必要不可欠な守備の要である小林誠司について分析してもらった。

(文=ゴジキ、写真=Getty Images)

小林誠司が過小評価される2つの要因

今シーズン、なかなか一軍に出場することができなかった小林誠司だが、守備力に関しては巨人軍の捕手の中ではもちろんのこと球界の中でも頭一つ抜けていることは間違いない。その小林がなぜ過小評価されているかを考察していきたい。

1つ目は、阿部慎之助の次に正捕手の座になったことだ。

阿部は、巨人軍の球団史を見ても、歴代最高捕手といっても過言ではない。打っては通算406本塁打と2132本安打を記録しており、打撃タイトルも2012年に首位打者と打点王を獲得した。さらに、WBCは2度代表入りしており、2013年の大会では4番捕手も経験した。守っては4度のゴールデングラブ賞を獲得する等のキャリアを構築させて、文句なしで原巨人の黄金期を支えた。

また、昨シーズン小林はけがのため長期離脱をしていたが、阿部には劣るものの、打撃型捕手の大城卓三が、チームトップの71試合のスタメンマスクを被り、優勝に導いたことも大きいだろう。この大城も打力を生かしてベストナインに輝いている。

センターラインでありながら、守備の要で負担が大きい捕手が打撃型の場合、ある程度アドバンテージを取れることは明確であることから打力に難がある小林の優先度が下がることが多々ある。

2つ目の要因は、パフォーマンスの低下からくる多発的なミスや、時期・タイミングの悪さである。

小林は、起用する首脳陣から見ると調子が下降するタイミングの悪さも露呈しているだろう。プレーの面を見ると、シーズンで比較的疲労が少ない開幕した後の春先は、打撃面でも活躍する場面はある。しかし、疲労が溜まる時期になると、打撃は急降下し、球界の中でもトップクラスにある守備面でも粗っぽさが目立つ傾向がある。そのことが、優勝争いが激化する夏場に頼りにできないイメージになっているのだろう。ただ、2017-18年の場合は、捕手を小林だけに依存していた部分も大きかったため、首脳陣の過失でもあるという見立てである。

昨シーズンは、小林とはプレースタイルが異なる大城がメインでリーグ優勝を飾ったが故に、小林に逆風が吹いていることも否めない。この状況でも、リーグの覇権争いに小林は必要な選手であることは間違いない。

捕手としてのディフェンス力は球界トップクラス

出番がなかなかない小林だが、捕手としては欠かせない能力でもあるリード・フレーミング・スローイング・ブロッキングなどの総合的な守備力は、チーム内では間違いなくずば抜けて一番だ。また、現在の球界を見てもトップクラスの実力である。

疲労が蓄積されるとパフォーマンスが下がることが懸念材料と前述したが、原巨人第三政権初年度だった2019年は、小林・大城・炭谷銀仁朗の3選手をローテーションのように運用した結果、打撃と守備ともに高いパフォーマンスを維持し続けたシーズンだった。

下記が捕手3選手の成績である。

・小林誠司  92試合 打率.244 2本塁打 19打点 守備率.995 阻止率.419
・大城卓三  109試合 打率.265 6本塁打 30打点 守備率.993 阻止率.172
・炭谷銀仁朗  58試合  打率.262  6本塁打  26打点  守備率1.000  阻止率.250

上記の成績を見ても、小林の守備力が頭一つ抜けていることがわかる。特に盗塁阻止率はダントツの成績であり、投手陣に与える安心感は相当なものだろう。

守備面以外に打撃面を見ても、規定打席には到達していないがキャリアハイの成績を残している。小林と組む投手で合わない投手はほとんどいない中で、疲労の度合いや、大城や炭谷が引き出せる投手の登板日に休養させることによって、このような結果が生まれたのではないだろうか。

また、このシーズンに限らず“スガコバ”ことエース・菅野智之とのバッテリーの安定感は現在の巨人軍では、すさまじいものがある。菅野のキャリアの全盛期は2017年と2018年のシーズンと見ているが、小林のリードの貢献度もあったからこそ、高いパフォーマンスを残せたのだろう。この2年間は菅野自身の圧倒的なピッチングのすごさもあったが、菅野の調子が悪い試合で、女房役として立て直せる小林のリードのうまさが際立ったシーズンでもあった。さらに、このシーズンはともに優勝はできなかった中で、沢村賞を2年連続で獲得している。

2019年も、山口俊が投手三冠を記録するなどのキャリアハイの活躍を見せたが、全試合小林がマスクを被った。そのため、小林がバッテリーを組んだ投手は、2016年から2019年まで4年連続で先発投手の主要のタイトルをシーズンで複数獲得したことになる。

2016年:菅野智之 9勝6敗 勝率.600 189奪三振 防御率2.01 最多奪三振・最優秀防御率
2017年:菅野智之 17勝5敗 勝率.773 171奪三振 防御率1.59 沢村賞・最多勝・最優秀防御率
2018年:菅野智之  15勝8敗 勝率.652 200奪三振 防御率2.14 沢村賞・最多勝・最多奪三振・最優秀防御率
2019年:山口俊  15勝4敗  勝率.789 188奪三振 防御率2.91 最多勝・最多奪三振・最高勝率

各シーズンでエースと呼ばれる投手の活躍は、その投手の力量はもちろんだが、陰で支えながらリードする捕手の能力の高さも伺える結果なのは間違いない。

逆転優勝へ欠かせないラストピース

セ・リーグ首位を走る阪神に競り勝ち、逆転優勝をするためには、小林のディフェンス力は必要不可欠だ。

チームのセンターラインで見ても、チームリーダーでありながら長年遊撃手として支えていた坂本勇人や、中堅手の丸佳浩が復帰したものの、昨シーズン初の規定打席に到達し、ディフェンス面でも支えていた吉川尚輝が骨折のため、長期離脱が余儀なくされている状態である。

現在、巨人軍の失策数は12球団トップの23(6/20時点)である。昨シーズンも固いディフェンス力をストロングポイントとしていたが、今シーズンはさらに野手陣の層の厚さも兼ね備えている。離脱者が多発している中で上位を維持しながら耐え抜いている状況だ。

また、現在スタメンマスクを被ることが多い大城は、昨シーズンと比較すると、あまりパフォーマンスは高いとはいえない。特に、守備面は阻止率はキャリアで一番高いものの、リードの面では裏目に出ている場面が多々見られる。さらに、数字上には表れないミスも増えており、試合終盤におけるクローザーがマウンドに上がる場面でも、直近は炭谷または小林がマスクを被る機会が多い。

3連覇を目指していくのであれば、5月から打撃も低調の大城に休養を与えた上で小林にスタメンマスクを被らせる機会を増やしていき、投手陣のリードを含めたディフェンス力を高めていくことがポイントになっていくだろう。

<了>






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