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毎年「赤字5000万」でもクラブを手放さない理由 加藤明拓がアジア・アフリカから目指す“メッシ超え”

REAL SPORTS / 2021年11月20日 10時15分

スポーツ界・アスリートのリアルな声を届けるラジオ番組「REAL SPORTS」。元プロ野球選手の五十嵐亮太とスポーツキャスターの秋山真凜がパーソナリティーを務め、ゲストのリアルな声を深堀りしていく。今回はWebメディア「REAL SPORTS」の岩本義弘編集長が今一番気になるアスリートやスポーツ関係者にインタビューする「岩本がキニナル」のゲストに、実業家でサッカークラブオーナーである加藤明拓氏が登場。カンボジアとナイジェリアという2つの国で世界ナンバーワンのクラブと世界ナンバーワンの選手輩出を目指す加藤氏のクラブ経営のリアルに、関東2部リーグ・南葛SCのGMも務める岩本編集長が迫る。

(構成=篠幸彦、写真提供=アンコールタイガーFC)

毎年5000万円の赤字でも持ち続けるクラブオーナーの夢と志

岩本:加藤さんは2015年からカンボジアのサッカークラブ「アンコールタイガーFC」のオーナーをされていますが、なぜカンボジアのクラブの経営権を取得しようと思ったんですか?

加藤:もともと会社の事業として資金をためてJリーグのクラブのオーナーになって、世界ナンバーワンのクラブをつくろうと思っていたんです。一方で事業を伸ばしていく中で東南アジアとか、経済が伸びている国でもビジネスがしたいと思っていました。それで東南アジアを回っていたら、これから伸びていきそうな熱気と可能性を感じたんですよね。「このエリアでもサッカークラブを持てたらな」と思っていたところに、Facebookで「カンボジアのクラブが消滅するから誰か救ってくれませんか?」という投稿が回ってきたので、メッセンジャーで連絡をして財務状況と買収金額を教えてもらって決断しました。

岩本:淡々と話していますけど、五十嵐さん、なかなかできないですよね?

五十嵐:金額にもよると思うんですけど、その金額に見合った魅力があったということなんですよね?

加藤:金額は日本円で500万円だったんですね。でも財務状況を見ると毎年4000万円は赤字が出ていました。新興国のサッカークラブは大体赤字で、オーナーのポケットマネーから補填(ほてん)するというのが多いんですけど、まさにそんな感じでした。

岩本:今は黒字にしているということですよね?

加藤:その当時は「4000万の赤字を黒字化するなんて簡単でしょう」と思っていたんですが、赤字幅が拡大して一時は6000万円くらいになったんですよ。でも去年は戻って4000万くらいの赤字でした。

五十嵐:毎年赤字を出しながら経営をしなければいけない苦しさがある中で、それでもクラブを持つという志はどこにあるんですか?

加藤:「アジア・アフリカから世界ナンバーワンのサッカークラブをつくる」というのが僕の人生のテーマなんですね。それでアンコールタイガーとナイジェリアのイガンムFCのオーナーをしていて、ナイジェリアも現状は毎年1000万円くらいの赤字ではありますが、イガンムは僕が死ぬまでに世界ナンバーワンはいけると思っています。

 カンボジアはレベル的に難しいので東南アジアナンバーワンを目指していますが、毎年赤字が出るので「本当にこれはどうしたらいいんだろう」と思いながらやっています。世界ナンバーワンという目標にはナイジェリアのほうが近いので、もうカンボジアのクラブは売ってナイジェリアのほうに資金を突っ込もうかと、ナイジェリアから帰ってくるたびに思っているんです。

 でも僕がやりたいのはサッカー後進国から世界ナンバーワンを取ることなんです。夢とか、希望とか、勇気とか、「自分でもできるかも」と思ってもらえるようなことをできたらなと思っているんですね。そういう意味ではカンボジアで世界ナンバーワンは無理だけど、タイやベトナムのクラブに勝つことで、経済的にもサッカー的にも後れをとっているカンボジアの人に勇気を与えられるかなと思うんですよ。それと最近は「これくらいちゃんと黒字化して大きくできなければ、どこでやっても無理だな」とも思っています。

世界大会初出場で優勝 ナイジェリアに感じるポテンシャルと課題

岩本:ナイジェリアのクラブが世界ナンバーワンになる可能性があるというのは、アフリカの身体能力の高さとか、そういうところに可能性を感じるということですか?

加藤:身体能力もそうですけど、サッカーの強さは国の人口に対するサッカー人口の比率だと思っているんです。例えば日本はサッカー、バスケ、野球がすごく人気ですよね。そこで野球の大谷翔平選手やダルビッシュ有選手、バスケットボールの八村塁選手とか、他競技のトップ選手全員がサッカーをやっていたら日本のサッカーはもっと強いと思うんです。

 ナイジェリアの場合は人口の半分が20歳以下で、男性の半分はサッカーをやっているんですね。ポテンシャルはものすごくて、ダイヤの原石がゴロゴロと転がっているんです。ただ、それを磨く環境がないだけなんです。だからそこを整備できれば本当にいけるんじゃないかなと思っています。

岩本:育成年代の選手たちに可能性を感じているわけですね?

加藤:そうですね。2019年に「U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ」という12歳以下の世界大会を大阪でやったんですけど、その年代の子どもたちをセレクションして集めてナイジェリア選抜として連れて行ったんです。2019年は大会7年目で、過去5大会でFCバルセロナが優勝していました。でもナイジェリア選抜が初出場でいきなり優勝しちゃったんですよ。決勝の対戦相手は中国の広州富力足球倶楽部というクラブだったんですけど、10年後のFIFAクラブワールドカップの決勝もそういうカードになってくるんじゃないかなと思いながらやっていましたね。

岩本:その決勝の映像を見たんですけど、衝撃的でした。今までの育成の概念を超えたスケールの選手がナイジェリアにたくさんいるんですよ。あれは日本のサッカー関係者は度肝を抜かれましたよね。

加藤:そう思いますね。身体能力も高いんですけど、みんなサッカーがすごく好きなんですよ。例えばハーフタイムになったらベンチに戻って監督の指示を聞くのが普通だと思うんですけど、この時のチームはセレクションで集めた子たちだったので2週間しか一緒に練習していなかったんです。

 だからハーフタイムに入ったらまず自分たちで話してからベンチに戻ってきたりとか、監督やコーチが指示を出してもわかる時は「はい」という感じなんですけど、そうじゃない時は「俺はこう思うんだ」と言い返してくるんですよね。

 そういう強い意志を持っていて性格もすごくアグレッシブで、サッカーが大好きで能力もある。ただ、育成環境がほとんどないんです。中学生年代以降の指導者やグラウンド面の整備というのは、ナイジェリアに限らず、アフリカ全土の課題ですね。

クラブのブランド力を生かした新たな収益構造

岩本:先日、アンコールタイガーでホテル&レストランの経営も始めると発表されていましたけれど、詳しく教えてもらえますか?

加藤:サッカークラブだけでは収益が全然出ないことは、毎晩のように寝る前に考えているんですよ。それでもタイガーはカンボジアで一番集客力のあるクラブなんです。人気があるのに稼げないというのは何かがおかしいと思っていて、コミュニティの価値をちゃんとマネタイズできていないんですよね。

 なかなかチケット収入だけでは難しい状況ですが、集客があるということはその人たちはいろんなサービスを消費しているんです。そこで3年前くらいからサッカーの人気とシナジーを生める事業を自分たちでつくっていこうという発想を持ち始めていました。

 サッカーの世界では多くの政治家や財閥、王族といった資金力のある人たちがサッカークラブのオーナーとなっていますが、僕は逆の発想でサッカークラブをベースにした財閥をつくっていこうと思ったんです。そこで最初に「タイガーキャッシュ」という名前で、バイクや車を買う人にローンを出したり、土地を担保にお金を貸したりという金融事業を始めました。

岩本:その次の事業としてホテルとレストランを選んだのはどういう理由だったんですか?

加藤:次はホテルをやりたいとずっと思っていたんですけど、シェムリアップがコロナでずっとロックダウンだったんです。世界遺産のアンコールワットがある観光の街なのに、観光客が全く来ないので失業率が75%くらいなんです。ホテルも廃業や休業がものすごく多いというのを目の当たりにして苦しい状況だと思う一方で、廃業・休業ばかりなのでコロナが明けたらめちゃくちゃチャンスだと思ったんですね。

 そこで売りに出したり、貸し出したいというホテルがいくつかあるというのを聞いたので、9月下旬に案件を探し始めて、10月2日に良さそうなホテルを見つけました。翌週には前金を入れて、ちょうど先週に契約ができました。タイガーのブランドを使ってホテルの集客をして、火鍋屋のレストランは「試合に勝ったらみんなでそのまま行こうぜ」みたいな場所にできればいいなと思っています。トラベルバブルは絶対にくると思っているので自信がありますね。

岩本:ホテル、レストランの次の事業も考えていたりするんですか?

加藤:「タイガーエナジー」みたいな感じで太陽光発電もやりたいと思っています。なぜならカンボジアはめちゃくちゃ電気代が高くて、ホテルの経費も電気代がかなりかかるんですよ。専門家に聞いても太陽光発電で回るというので、そういう事業もやっていきたいなと思っています。

 そうやってタイガーブランドで事業展開をして、その収益でサッカーに投資していく。サッカーが人気になればブランド力がさらにつくので、他の事業にもシャワーのように収益アップにつながるという構造をつくっていきたいと思っています。

岩本:なんかもう普通のサッカークラブのオーナーという話じゃないですよね。政治家が街づくりをしていくような感じです。

五十嵐:でもこのタイミングでホテルを買うのはかなり勇気がいりますよね。

岩本:これは言おうか迷っていたんですけど、その話をいろいろ聞いていたら興味が湧いてホテルの一室を買っちゃいました。そのホテルが23部屋あって、23人のオーナーを募集するという話なんですよね。

加藤:普通に経営しても面白くないと思うんですよ。共同オーナーが増えれば増えるほど、「これ俺のホテルだから今度来てね」という人が増えるじゃないですか。そっちのほうが成功確率は高くなるし、日本でももっといろんな人にアンコールタイガーに関わってもらいたいなと思って企画しました。岩本さんから連絡いただいて、すぐ決めていただいたんです。さすがだなと思いました。

“メッシ超えバルサ超え”をテーマに目指す世界ナンバーワン

岩本:これまでいろんなことにチャレンジしていますけど、加藤さんの人生の目標はなんですか?

加藤:世界ナンバーワンの選手と、世界ナンバーワンのクラブをつくるということで、「メッシ超えバルサ超え」というのをテーマにしています。そろそろ(リオネル・)メッシが引退したらどうしようと思っていますが、タイガーやイガンムを日本から応援してくれるスポンサーのメッセンジャーグループがあるんですけど、それも「メッシ超えバルサ超えグループ」という名前でやっています。

五十嵐:なかなか難しいところもあると思いますが、響きがすごく良くて、常に夢を持ち続けて顔も輝いているので、なんかやってくれるんじゃないかという期待感がありますよね。

岩本:僕も同じくサッカークラブの経営に携わる人間としてすごく刺激を受けます。

秋山:これから本当に楽しみですね。

五十嵐:メッシ超えが出てくるかですからね。

岩本:先ほどのナイジェリアの話を聞くとそっちのほうがより早く実現できそうな気がしますね。

五十嵐:ポテンシャルの高い選手が多いというところではそうですよね。ナイジェリアは行ってみたいですね。

加藤:来年1月にまたナイジェリアに行くのでぜひ。治安も僕たちと一緒なら大丈夫です。うちのクラブはスラムの中にあるので、僕や共同オーナーのナイジェリア人と一緒なら入れます。一人では絶対に入れない場所ですね。ナイジェリアもエネルギーがすごいんですよ。

五十嵐:それはいい意味で捉えていいのか微妙なところですね(笑)。

加藤:人それぞれですね(笑)。人によっては無理という場合もあるし、ものすごく興奮する人もいます。でも人口が2億人いて、30年後は4億人といわれているんですよ。じつはナイジェリアでもカタツムリの養殖事業をちょうど始めたところなんです。それも今は2億人の胃袋ですけど、30年後は4億人、80年後は9億人といわれているので、これから経済も伸びていきます。

 経済が伸びたらサッカーの環境は絶対に整っていくので、ポテンシャルある選手たちをちゃんと育てて海外のクラブに出していったり、自分たちの事業が大きくなれば海外よりもサラリーを払って国内にとどまってもらうこともできます。それでアフリカナンバーワンになって、クラブワールドカップで優勝するというのが目標ですね。口で言うのは簡単で、いくらでも言えるんですけど(笑)。

五十嵐:でもそれを行動に移しているので楽しみです。

<了>






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InterFM897ラジオ番組「REAL SPORTS」(毎週土曜 AM9:00~10:00)
パーソナリティー:五十嵐亮太、秋山真凜

2019年にスタートしたWebメディア「REAL SPORTS」がInterFMとタッグを組み、ラジオ番組をスタート。
Webメディアと同様にスポーツ界やアスリートのリアルを発信することをコンセプトとし、ラジオならではのより生身の温度を感じられる“声”によってさらなるリアルをリスナーへ届ける。
放送から1週間は、radikoにアーカイブされるため、タイムフリー機能を使ってスマホやPCからも聴取可能だ。
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