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DeNA入江大生が語る、逆襲の2年目への決意。苦難を踏み越える“プラス思考”の真価と静かな闘志

REAL SPORTS / 2022年1月18日 11時42分

入江大生は昨季、苦しいシーズンを過ごした。横浜DeNAベイスターズにドラフト1位で入団するも、4戦4敗と期待に応える結果は残せず、夏には右肘手術に踏み切った。振り返れば、高校、大学とその野球人生は苦難の連続だった。それでも一つ一つの障害を乗り越えプロの世界にたどり着くことができたのは、ある思考法があったからだ。捲土重来(けんどちょうらい)のシーズンに向け、入江大生の本音を聞いた――。

(取材・文=石塚隆、写真=(C)YDB)

ドラフト1位で入団も苦しんだデビューイヤー。2年目に向けて…

即戦力としてドラフト1位で入団し、期待に応えられぬまま右肘に違和感を覚え、その後クリーニング手術を決断。戦線を離脱した。昨シーズンの入江大生の成績は4試合に登板し0勝4敗、防御率7.85というものだった。忸怩(じくじ)たる思いは当然あるが、もはや過去のことと入江は割り切っている。気持ちの切り替えについて尋ねると、入江は落ち着いた口調で言うのだ。

「一度起こったことに対しては引きずらないタイプなんです。だから切り替えという部分では早いと思います」

決して開き直るのではなく、厳しい経験を糧として、ただただ前へ進む。

「いろいろとありましたが、一歩一歩成長していく中の、一つの障害として考えていますし、しっかりとそこを考えて乗り越えていきたい。今は我慢の時、きっとこれから先もしんどいことがあると思いますからね」

ドラフト1位というと野球エリートを想起するものだが、入江のこれまでの歩みは決してそういった華々しいものではない。

高校時代も大学時代も苦しい時間を過ごした

作新学院高時代は、3年の春にエースとなったが、県大会で打ち込まれ、その座を後に埼玉西武ライオンズに入団する今井達也に奪われてしまう。また明治大時代は3年生になるまでなかなか芽が出ず、苦しい時間を過ごしている。ただこれも入江にとっては挫折や失敗ではなく、成長の一つの過程だと認識している。

「これまでの野球人生を振り返ると、自分自身で結果を出してきたとは思ってはいないんですよ。どちらかというと誰かに助けてもらいながら出せた結果が多かったと思います」

これが入江の野球に対する思考だという。

「自分はできる、と思いながら練習やプレーをしていますが、あとはもう“助けていただいている”という感謝の気持ちを持つことが大切だと思っているんです」

だからこそ誰かのために頑張ることができる。自分一人に向き合って、自分のためだけに戦うことは非常に難しいものだ。ともすれば利己的なプロスポーツ選手にあって、入江には応援してくれる仲間やファンのために戦いたいという気持ちが強い。

結果が出ず野球に真っすぐ向き合えていなかった大学時代、故郷の友人に「プロになって」と背中を押され、自分を変えることができ、夢への扉は開いた。その思いは今も変わらず、入江の大切なモチベーションになっている。

「地元(栃木)に帰ると、学生時代の友達が毎回『野球、がんばれ!』って言ってくれるんですよ。僕が活躍することで、地元のみんなに勇気や喜びを与えることができるし、そういった姿を見ることであらためて僕もがんばることができるんですよ」

辛酸をなめたことで、その根底には悔しさを感じられるが、入江の言葉の中にはポジティブな要素が多く見られる。昨年味わったことは挫折や失敗ではなく“一つの障害”と入江は語っていたが、誤解を恐れずにいえば、目の前の事実を受け止め、いかにそれを攻略するかを楽しんでいるようにも感じられる。

「ああ、そういったところはあるかもしれませんね」

入江はそう言うと柔らかな表情を見せてくれた。入団時には“プラス思考”の持ち主と語っていた男の真価の見せどころはこれからということだ。

昨夏の手術後に取り組んできたこと。新シーズンへ手応え

昨年8月中旬に行った手術後はリハビリと並行して肉体改造にフォーカスした。下半身の筋量増加をメインに体重アップを試み、入江は手応えを感じているという。入団時87kgだった体重は、90kg台半ばにまでなった。また空いている時間は主に読書に費やした。スポーツや肉体をテーマにしたもの、またビジネス書や各分野の世界で成功した人物の本などでインプットを増やした。この雌伏の時間で心身ともにレベルアップしなければいけないという意気込みが入江からは感じられる。

11月の秋季トレーニングではブルペン入りし、新任の齋藤隆チーフ投手コーチから「春季キャンプまでにしっかりと投げられる身体をつくってきてほしい」と伝えられた。昨年いっぱいでリハビリ組を卒業して、これからは通常の練習組に合流する。リリースポイントの意識や下半身の使い方、変化球の調整など、課題は明確になっている。あとは捲土重来となる今シーズンに向け本格的に投げ込んでいくだけだ。

「もう問題なく100パーセントの力で投げることができるので、あとは実戦を意識しながら調整していく感じです。以前は100パーセントで投げていたボールを、今は80~90パーセントぐらいの力で投げられている実感がありますし、あとはそのボールを投げる際、対バッターのときはどうなのか。キャンプに入ったら紅白戦やシートバッティング、オープン戦などを重ねていく中で、自分のピッチングをできるようにしたいですね」

同期入団でブレイクした牧秀悟に受けた刺激、燃え上がる闘志

昨年は開幕1カ月しか投げられなかった1軍のマウンドへ再び。果たして楽しみと不安は、どちらが大きいのだろうか。

「うーん、楽しみ半分、不安半分といったところですが、やっぱりつくり上げていく過程を考えたら楽しみの方が大きいですね」

張りのある声で入江はそう言った。目指すは2年分の活躍。そして昨季、破格のバッティングでDeNAの中心選手となった同期入団の牧秀悟との共闘も楽しみにしている。

「昨年の牧の活躍には本当に刺激を受けました。同学年で同じ寮生ですし、仲も良いので会うたびにいろんな話をしています。牧は『今年は一緒にがんばろうね』と言ってくれますし、本当、負けてられないなって」

静かな口調ではあるが闘志を燃やす。

苦汁をなめるも、未来を見据えた選択をして、あらゆることにポジティブに取り組んできた。失うものは何もない。この春、心身ともに一回り大きくなった入江のマウンドでの躍動にぜひ刮目(かつもく)してほしい。


<了>






PROFILE
入江大生(いりえ・たいせい)
1998年8月26日生まれ、栃木県出身。作新学院高では3年時に夏の甲子園優勝。一塁手として史上7人目の3試合連続本塁打を放ち、同校を54年ぶりの全国制覇に導く。明治大では投手に専念。1年春からリリーフとしてベンチ入り、4年秋にリーグ戦初完投初完封。2020年ドラフト1位で横浜DeNAベイスターズに入団。1年目から開幕ローテーション入りするも、8月に右肘クリーニング手術を受ける。チームの将来を担う存在として期待される。

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