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長身Jリーガーに聞く身長を伸ばす方法 188センチ中島大嘉の矜持「中学3年間で24センチ伸びました」

REAL SPORTS / 2023年9月1日 11時0分

188センチ・88キロ――。近年輪をかけてフィジカルの重要性が増しているサッカー界において、ワールドクラスといえるサイズを持つ21歳のストライカー中島大嘉。今季から名古屋グランパスで熾烈なFW枠争いに身を投じ、世代別の日本代表にも名を連ねる将来を嘱望される逸材だ。彼はその長身を手にするため、中学時代からあらゆる方法を試し、効果があるものとないものを取捨選択し、試行錯誤を重ねてきたという。中島大嘉はなぜ身長を伸ばすことにそこまでこだわり、そのために必要な努力をし続けられたのか?

(文=池田タツ、写真=YUTAKA/アフロスポーツ)

中学卒業時に183センチ「中学校3年間で24センチ伸びました」

――中島選手は身長が188センチあり、Jリーグではかなりの高身長です。以前SNSでの発信で身長を伸ばすためにいろいろなことを試されたと語っていましたが、どんなことにトライされたのですか?

中島:まず、夜は10時に寝るようにしていました。10時に寝るために生活を逆算して、8時にはお風呂に入るようにして、風呂上がりにストレッチして、9時には電子機器は一切触らないようにして、本などを読んで10時までには寝つけるようにしていました。それ以外にも子どもなりにいろいろ調べて、どの時間に何を食べたほうがいいか、成長ホルモンはどうしたら多く出るかなど、調べたものを実践していました。

――当時はどんな方法で調べていたのですか?

中島:基本的にはスマホで調べ漁っていました。「身長を伸ばす方法」みたいなワードで検索してましたね。その中で「成長ホルモンは運動後20分から数時間後までに多く分泌される」というようなものを目にしました。正確には覚えていませんが。そこからは食事や飲み物などは摂取する質や量だけでなく、時間にも気を使っていました。例えばカフェインは睡眠の妨げになるから、時間帯によっては一切取らないようにするなど。

――身長は遺伝も大きいと思うのですが、ご両親やご兄弟の身長はどれぐらいですか?

中島:父は172センチですが、母が170センチ近くあり女性としては身長が高いほうだと思います。高校2年生の弟も中学生の弟も、2人とも175センチ程度。妹は中学生で165センチ近くあります。

 自分は、中学入学のときは159センチ。クラスの中でもちょっと高いぐらい。中学校3年間で24センチぐらい伸びました。中学卒業のときに183センチまでいきました。

身長を伸ばすために最も重要なことは「とにかく寝ること」

――自分の中で成長を伸ばすためによかったと思うのはなんですか?

中島:いろいろ試したのですが、身長を伸ばすために最も重要なことは寝ることだと思います。自分は中学校3年間の間で学校もサッカーもどちらもいけない時期がありました。そのときは家に引きこもってずっと寝ていました。そこで大きく身長が伸びたので結局寝るのが一番かなと。

――学校もサッカーも行けなかった時期は、なにが原因だったのですか?

中島:中学校1年生のときに、うつ病で外に出られなくなってしまいました。そのときは10時に寝るなど、そういったことは一切やっていませんでした。夜中の3時までYouTubeを見て、次の日はお昼の12時に起きて、また寝てみたいな生活をずっとやっていました。結局そのときが一番身長が伸びたんですよね(笑)。だから全国の少年少女に言いたいのは、無理せず学校やサッカーを休むと身長伸びますよっていうのはあります(笑)。こんなことあんまり言っちゃいけないのかもしれませんが……。

 でも本当にサッカー少年少女の親御さんたちに言いたいのは、お子さんを休ませることの大事さです。中学校のときにちょっと学校に行かなかったり、ちょっとサッカーに行かなかったりしても、その後の人生が大きくどうのこうのなることは絶対ない。それだったら身長を伸ばせるときに伸ばしておいたほうがいいんじゃないかと。夜遅くまで練習して、さらに朝練までしていると身長は伸びないと個人的には思いますよ。僕の考えとしては、本当にとにかく寝ることが一番大事だと思っています。

――現在京都サンガF.C.に所属する原大智選手も、高校1年生時に膝のケガで1カ月ほど入院した期間に5センチ以上身長が伸びたといいます。

中島:ちゃんと栄養を取って寝ることが大事ですね。あと自分は寝るときに祈ってましたね(笑)。「身長よ伸びろ!」って祈りながら寝る(笑)。

――そういう自己暗示も身長を伸ばすには大事そうですよね。学校に行くようになってからも夜はちゃんと寝る生活をしていたんですね。

中島:そもそも夜遊びに行くのが好きじゃないんですよね。それは体にも良くないことだと思っているし。プロになった今でも寝るのはすごく早いです。そもそも寝ることがすごく好きなので。寝るのが幸せです。

「たぶん自分は天与呪縛のフィジカルギフテッドなんで」

――「とにかく寝ること」のメリットは身長以外にどんなことがありますか?

中島:プロになってから今まで一度も大きなケガをしたことがないんですよ。長期離脱は一度もないですし、1週間以上の離脱もありません。寝ると体は強くなると思いますよ。もちろんもともと持っている素質という部分もあったりするとは思いますが。『呪術廻戦』は見てますか? たぶん自分は天与呪縛のフィジカルギフテッドなんで(笑)。自分は頭があんまり良くない代わりに体が強いんですよ(笑)。いや、呪力を感じられないと言っておきましょう。

――食べ物で一番気をつけていたことはありますか?

中島:自分の家は外食を全然しないんですよ。何年かに1回行くかなぐらい。毎日母のご飯を食べていました。母がオーガニックとか好きで、無農薬の野菜とかでしっかり毎日ご飯を作ってくれていました。それを食べていたら体が強くなったので、子どもたちは文句を言わずに親が作ってくれたご飯を食べることが大事ですよ(笑)。

――それは中島選手のお母さんが本当に素晴らしいですね。

中島:自分の母は最強ですよ。自分は母のことめっちゃ好きで、自分の車のナンバーは母の誕生日です(笑)。自分の母は最強。頭もいいし、自分のフィジカルギフテッドは母からだし、身体能力は母からの家系。まあまあ顔も綺麗だし、欠点ないですよ。

――身長がそれだけ急激に伸びた中で、体のバランスを崩して動きづらくなったりなどはありませんでしたか?

中島:一番伸びた時期は学校も行ってなかったですし、サッカーもやっていなかったから、そういうことはなかったですね。でも基本はずっと体は動けたし、足もずっと速かったですね。

――足の速さは小さい頃からですか?

中島:小学校のときはすごく速かったけど、中学に入ったときには真ん中よりちょっと速いぐらいになって悔しかったですね。でも中学1年の途中から引きこもって身長めっちゃ伸びたら、足もめっちゃ速くなっていましたね。ホンマ天与呪縛ですよ自分(笑)。

「死ぬかサッカー頑張るか、どっちかしかないと思っていた」

――学校にまた行き始めるきっかけはなんだったのですか?

中島:中学3年生の夏ぐらいから、週1〜2回ペースで学校に行くようにしました。そのときは本当に死ぬかサッカー頑張るか、どっちかしかないと思っていました。だから、一回サッカーを頑張ろうと。高校受験も近かったので、さすがにこのタイミングで動き出さないと俺の人生が終わると思って、頑張って抜け出しましたね。それでも最初はサッカーも週1〜2回行っては休んでを繰り返していました。

――サッカーをまた始めたときは「サッカーは楽しい」という感覚はありましたか?

中島:サッカーをしないと生きていく術がないから、サッカーをやるしかないという感覚でした。

――高校時代は4センチほど身長が伸びていますがどんな生活を送っていたのですか?

中島:国見高校は朝練もあったし、夜も家に帰ってくるのは8時ぐらいでした。でもご飯はよく食べて、なるべく早く寝るようにはしていました。国見は夜やることもないですから10時か10時半ぐらいには寝て、朝5時に起きて朝練という生活でした。授業中に寝たら怒られますからね(笑)。

 あと高校時代は3食以外に補食を取るようにしていました。おにぎりやバナナなどですね。お腹が減ってなくても無理やり食べるとかではなく、たくさん体を動かしていると自然とお腹が減るのでそのときに食べるようにしていました。

――中島選手は身長が高いだけでなく体重も88キロと、日本の選手としては珍しくしっかり重さもあります。なにか体を鍛える努力はしていたのですか?

中島:体を大きくすることも考えていましたが、中学や高校でめちゃくちゃ筋トレしまくるというのは、そんなに意味があるとは思えないですね。必要なときに必要な分だけやることが大事です。自分も上半身はまだプロとしては弱いのでそこは今も鍛えているところです。

「最高到達点で負けることはほとんどない。あと…」高身長のメリットは?

――中学年代から身長を伸ばそうと努力していたわけですが、そこまでモチベーション高く身長を伸ばそうと思えた理由はあるのですか?

中島:サッカー選手として飯を食うためです。それだけを考えていました。ただ、思っていたより大きくなりました。欲をいえば195センチいきたかったですね。『ジョジョの奇妙な冒険』が好きなんで(笑)。ジョジョに出てくる主人公たちって195センチの人が多いんですよね。

――プロになっても身長の高さのメリットを感じることは多いですか?

中島:やっぱり大きい分当たりは強くなりますし、高さはヘディングの強さに直結します。自分がもし175センチしかなかったら、ヘディングでのゴールはもっと少なかったと思います。自分はジャンプも高く飛べるほうなので、自分にしか届かないボールは増えますよね。プロになっても最高到達点では負けることはほとんどありません。でも身長が高い選手はフィジカルに頼ってしまうことがあるので、自分もポジショニングはもっともっとうまくなる必要があると思っています。

 あとは単純に身長が高いとカッコいい(笑)。強そうに見えますよね(笑)。

――中島選手から見てポジショニングがうまいと思った選手は誰かいますか?

中島:(北海道)コンサドーレ札幌で一緒にプレーしていた興梠慎三選手ですね。どこに位置を取るか、どんなタイミングで動くかなどめちゃくちゃうまかった。本当にたくさん盗めるものがありました。慎三さんから学んだもので、練習や練習試合の中でゴールを取れるシーンが増えました。もう少し公式戦の出場機会が増えていったらニアでヘディングで決めるようなシーンも見せられると思っています。

「今は代表というより名古屋を優勝させることだけを考えている」

――昨年のAFC U23アジアカップではU-21日本代表としてゴールも取りましたが、準決勝でウズベキスタンに敗れて涙を流す悔しい思いもされました。あそこからの成長についてご自身で感じていることはありますか?

中島:自分の中ではもちろん成長を感じていますが、見え方によっては札幌から逃げてきたように見えてしまうかもしれません。名古屋ではベンチ外で試合をスタジアムの上から見るのは絶対嫌。だから覚悟を持って名古屋に来ています。ここからの半年は自分の人生にとっても本当に大事な半年になります。

 プロになってからはミシャさん(北海道コンサドーレ札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督)のサッカーしかしたことがなかったので、名古屋に来て新しいものを吸収しています。札幌と名古屋でやり方がここまで大きく違うのかという驚きがありましたね。長谷川健太監督は、FW出身で同じポジションなのでFWとして学べることがたくさんあります。この半年で一つでも多く健太さんから学んで成長したいですね。むしろこの機会で成長できなきゃダメですよ。

――来年はパリ五輪もあります。オリンピック代表についての思いはいかがでしょう?

中島:自分は当落線より下にいる選手です。今は代表についてというより名古屋でいかに結果を出すか。名古屋を優勝させることだけを考えています。優勝チームで得点を取っているFWであれば、自然と代表に選ばれると思います。

<了>






[PROFILE]
中島大嘉(なかしま・たいか)
2002年6月8日生まれ、大阪府出身。Jリーグ・名古屋グランパス所属。小学1年生時にサッカーを始め、高校進学時に親元を離れて長崎県の国見高校に入学。188センチ・88キロの大型ストライカーとしてプロ注目の選手に成長し、高校卒業後の2021年に北海道コンサドーレ札幌に加入。2023年6月、名古屋グランパスに期限付き移籍。2022年にU-21日本代表のメンバーに選出され、AFC U23アジアカップに出場した。

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