フィリピン、米軍地位協定破棄の効力停止、同盟決裂ひとまず回避も失効の可能性残る

Record China / 2020年6月6日 12時20分

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フィリピン政府は国内で米軍の法的地位を定めた「地位協定」を破棄するとした米国への通知の効力を停止した。同盟関係が決裂する事態は回避されたが、協定が失効する可能性は残されている。写真はフィリピン。

フィリピン政府は2日、米軍の国内での法的地位を定めた「訪問軍地位協定(VFA)」について、破棄するとした米国側への通知の効力を停止した。VFAは米比合同軍事演習の根拠ともなっており、伝統的な同盟関係が決裂する事態はひとまず回避されたが、VFAが失効する可能性はなお残されている。

VFAをめぐりドゥテルテ政権は2月11日、破棄を在比米大使館に通知した。破棄は警察長官在任中に強権的な麻薬犯罪対策を指揮したデラロサ上院議員の入国ビザ発給を米国が拒否したのが表向きの理由。デラロサ上院議員はドゥテルテ大統領と近く、大統領が対抗措置として破棄手続きの着手を指示し、8月に失効する予定だった。

地位協定は1998年に締結された。米比両国による合同軍事演習の根拠となっているほか、有事における米軍の迅速な援助を可能としている。一方、殺人や性犯罪の容疑者となった米兵の拘束を比側が拒否された事件があり、「不平等だ」と批判されていた。

両国が締結している相互防衛条約や防衛協力強化協定は存続するため、直ちに安全保障に波及するわけではないが、エスパー米国防長官が南シナ海情勢を念頭に「米国と地域の同盟諸国が中国に国際的規範を守るよう求める中、誤った方向に向かうものだ」と遺憾の意を表明していた。

米国はフィリピンとの合同軍事演習などを通じて、南シナ海の広範な領有権を主張して着々と軍事拠点化を進めてきた中国をけん制していた。ドゥテルテ大統領は前任のアキノ大統領に比べて親中姿勢が目立つ。VFA失効が現実となれば、南シナ海をめぐる米中の勢力図にも影響する。

効力停止に関して比外務省は「地域の政治状況を踏まえた」とだけ説明。ロクシン外相は2日、すでに米国側に通知しており、米国は好意的に受け止めていると指摘した。マニラの米国大使館は「長きにわたる協定は両国の国益に資してきた。安全保障や防衛面で引き続き両国の緊密な協力を期待する」と歓迎した。

今回の決定の背景としてロクシン外相は3日の記者会見で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に言及。ロイター通信は「外交関係の多様化を図るため」と報じたが、破棄の撤回ではなく、6月1日から「6カ月間の停止」の条件付き。将来的にVFAが失効する可能性は依然として残されたままだ。(編集/日向)

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