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すぐ隣にある異世界、在日コリアン式結婚披露宴への参加記録

Record China / 2024年4月26日 22時30分

手元に「同胞ブライダルガイドブック」(2021年版。企画・編集/有限会社チョンシル・ホンシル/同胞結婚相談中央センター)という資料がある。京王プラザホテルのほか、ホテル椿山荘東京、ホテル雅叙園東京など一流ホテルの広告が並ぶ。各ホテルとも「同胞ウェディングプラン」と銘打ち、在日コリアン向けのプランを用意している。

キムチと餅の持ち込みは、特にキムチは披露宴終了後もしばらくにおいが残るため、1日1回しか受けられないとも聞いた。披露宴では本来持ち込みはNGの会場が多いが、柔軟に対応している。日本人の結婚披露宴が最近小規模だったり、そもそもやらなかったり、結婚しなかったり(これは在日コリアンも同様と聞くが)する中で、「月はどっちに出ている」の頃のように豪奢で大規模な在日コリアン式の結婚披露宴はホテルもホクホクで、お得意さまなのだ。

お色直しは一度で、新婦は鮮やかなチマ・チョゴリに着替えた。韓服(ハンボッ)ともいわれるが、北ではチマ・チョゴリという。ここの区別はしっかり押さえておきたい。「韓国の服とはなんだ?」と言われてしまう。

出し物は歌舞団による朝鮮語の歌と踊りだ。彼らの広告も先の同胞ブライダルガイドブックに入っている。出し物が一段落して、演者のチマ・チョゴリ姿の女性が鉦を打ち鳴らした。それを合図に新郎新婦の友人がガタッと立ち上がる。統一列車の始まりだ。

統一列車とは、結婚披露宴だけでなく、日朝交流のイベントだ。学校の文化祭などでも最後の方で行われて盛り上がる。つまるところは大人のハイテンション電車ごっこだ。いい歳をした大人たちが電車ごっこの要領でヘビのように会場を10分ほど練り歩く。

立ち上がり損ねたわれわれ新郎側参加者の日本人3人にも手招きが入った。「どうすれば?」と戸惑いながら聞くと、「適当にやればいいです」と答えられた。こう言われるのが実は困る。

「そもそも今、統一列車で大丈夫なのですか?」と周りの人に聞く。というのも最近、北朝鮮は韓国との「統一」姿勢を転換した。国歌の歌詞も変わり、「統一」という言葉の利用を避けている。平壌を走る地下鉄駅「統一駅」も今はただの「駅」と名称を変えているという報道もあった。周りの人も「確かにそうだ。そうするとただの列車かな」と迷っていたが、答えが出る前に鉦が再び発車を告げるように打ち鳴らされ、肩をつかまれ、私も前に立つ人の肩をつかんで走り回った。

先頭では新郎の友人たちが騎馬戦の要領で新郎を担いでいる。「騎馬戦だ」「新婦の父親はどこだ?」という声がする。鉦を打ち鳴らしていた女性が慌てて「駄目駄目。騎馬戦は駄目」と止めに入った。

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