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金正恩総書記を呼び捨て、サムズアップ連発、ソニー製のヘッドホン…北朝鮮の新曲「親近なる父」が話題

Record China / 2024年5月20日 21時30分

北朝鮮に関する知識の深い在日コリアンの方数人とこの歌について議論した。「この歌は金正恩時代の新たな始まりを意味する。金正恩時代は一つの段階に到達した」との見解で一致した。

一方で「金正恩総書記は自らを称える歌や宣伝する事業はあまり好まないのではないか」と私は考えていた。その点でこの歌は衝撃的だった。金正日時代をほうふつさせるような歌をなぜ今?というのが疑問だった。

思慮の末、私は金正恩総書記の自信と覚悟が現れたものと判断した。以前コラムでも言及したが、私は2010年10月、金正恩総書記の公式デビュー直後に訪朝している。この際に当時デビューしたばかりの銀河水管弦楽団の公演を見たが、上演開始を告げるアナウンスで「尊敬する金正恩青年大将同志」という表現があった。

当時まだ20代の金正恩総書記は若かった。金正日総書記も存命だった。青年大将同志という尊称は早々に消え、やがて元帥様という表現が定着した。

しかし、金正恩時代は決して順風満帆ではなかった。金正日総書記の死去、厳しい経済と経済制裁、人事、米朝首脳会談や南北首脳会談などの厳しい外交戦、新型コロナの影響など、なるほど先の労働新聞の記事にも「苦難と試練が重なるほど温かく」とあるわけだ。

今ようやく、その苦難と試練を越えられるめどが付いたと判断したのではないか。米韓との離隔は進んだが、中ロとの関係はより強固となった。経済問題や国内の諸問題など他の問題も解決できるという自信の裏打ちではないか。

この歌は世界でも影響があるだろう。「親近なる父」を耳にして北朝鮮に興味を持つ人もいるだろうし、今はまだ難しいが一度訪問してみようと思う人も少なからず出るはずだ。北朝鮮は世界に例がなく独特な存在で、レトロなエッジが効いて映(ば)える魅力があるかもしれない。北朝鮮を訪問した人はお金を落としていく。この「親近なる父」は北朝鮮のイメージを変え、インバウンド需要を喚起し、北朝鮮経済を回復させる起爆剤になる可能性を秘めている。北のクリエーターと、この歌の制作にGOサインを出した北朝鮮の首脳部が、そこまで緻密に計算していたとしたらすごいことだ。

40代を迎えたばかりの金正恩総書記は世界各国のリーダーと比べて圧倒的に若い。健康問題が懸念されるが、あと30~40年はトップとして君臨するだろう。

青年大将の時代、十余年の曳航の時代は終わり、自らの腕(かいな)でこぎ出すことを金正恩総書記は改めて決意した。オボイ(父)と呼ばれることと、その名にふさわしい環境を人民に用意することを覚悟し宣言した。つまりこの歌はオボイ(父)の出帆を告げるファンファーレではないかと感じている。そしてその動きはわれわれの想像を超えた大胆かつ早急なものになるのではないか。

蛇足だが、「今後5年以内に金正恩総書記の徽章や肖像画が一定数普及する」という点について、この歌について議論した在日コリアンと私の見解は分かれた。「普及する」と主張する私に対し、「普及しない」という在日コリアン男性。果たしてどちらが正解だろうか。

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