中国自動車大手の長城汽車が欧州本部を閉鎖、背景にEV販売の減速?
Record China / 2024年6月8日 6時0分
中国の自動車大手メーカーの長城汽車は5月末、欧州本部の閉鎖を発表した。現地でEVの販売が減速していることなどが背景にあるとみられる。写真は長城汽車。
中国の自動車大手メーカーの長城汽車(GWM)は5月末、欧州本部の閉鎖を発表した。8月31日にはすべての雇用契約を終了する。現地で電気自動車(EV)の販売が減速していることなどが背景にあるとみられるが、中国メディアは「欧州市場から撤退することはなく販売は継続」と伝えた。
GWMは1984年設立で生産拠点は河北省保定市にある。2023年の新車販売台数は前年比15.3%増の123万1000台で、うち海外は前年比82.5%増の31万6000台で過去最高となった。
今年1月にはタイで中国車メーカーとして初めてEVの生産を始めた。2016年には横浜市に研究開発拠点として「長城日本技研」を置いた。
GWMは21年11月、ドイツ・ミュンヘンに欧州本部を設立。欧州市場を開拓するための中心部とした。複数の海外メディアの報道によると、事務所閉鎖に伴い、現地の約100人の従業員が解雇され、欧州新市場開拓計画を中止する。
中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報がGWMの関係者を取材したところ、閉鎖の原因については「欧州のEV市場が日増しに苦しくなっている」説明。さらに間もなく欧州で導入される関税により、グループの未来の欧州における戦略も調整されるという。
同時にGWM側は欧州市場から撤退することはなく、引き続きドイツや英国を含む既存の欧州市場で自動車を販売すると表明。欧州事業は中国事業部門によってリモートで監督管理される。
関係者は「GWMの欧州部品倉庫をドイツのニュルンベルクからオランダのアムステルダムに移すとともに、倉庫の面積を倍に拡大し欧州の取引先にサービスを提供する」と述べた。
中国汽研北京院のグローバル化研究専門家の許広健氏は「GWMのこの措置には二つの原因があるとみられる」と指摘。「まず経営レベルで必要な調整を行い、海外事業を最適化する。次にEU(欧州連合)の貿易の新たな情勢を考慮し、一部の措置を講じることで未来の投資の損切りを行い、重大な影響を回避する」と言及した。
その上で許氏は「中国自動車メーカーは現地の資源を十分に利用し、現地の企業および機関と各種形式の協力関係を構築することを検討すべきだ」と提案。「現地のディーラーとの協力は売買関係のみに限られず、深く結び付くことでブランドの樹立とマーケティングの全過程に参加し、かつ現地企業と互恵関係を構築するべきだ」などとして、「中国が海外に持つ既存のネットワーク資源を含め、各レベルで協力してリスクを事前に認識・判断することで効果的に対応することが可能だ」との見方を示した。(編集/日向)
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